さて、今日は心理学についてお話ししてみましょうか。

今日は、「ダメな自分」を受け入れると、なぜ人間関係がうまくいくようになるのか、というお話です。

多くの人が、「もっとうまくできるようになりたい」とか、「もっとよくなりたい」と思ってるものですよね。

それ単体はとても健全で素晴らしいことなんですよ。
でも、人によっては「今のままじゃだめだ」とか、「こんな自分じゃだめだから」、「もっとよくならなきゃいけない」といった風に、自己否定をベースにしている人も多いものなんですよね。

で、実はこの自己否定を元に成長しようとしている限り、どんなに力を得ても、幸せになれない……という現象があったりします。

逆を言うと、「誰かに喜んでもらいたいから」とか、「こんな風にできたら楽しいな♪」とかいう自己肯定ベースであれば、力を得る前から、すぐにでも幸せになれるという。

そして長期的に見ると、結果的に自己肯定ベースの人の方が成長し、長続きして、生き生きとして、効率的になり、そして人々に喜んでもらえる価値を提供できるようになるんですよ。

 

「恐怖を元に行動すると、恐怖を増大する」という心理メカニズム

これはどういうことかというと、アメリカの精神分析医でジョージ・ウェインバーグという人がいます。

この人が言っていることで、「その人の行動は、行動をするごとに、その背後にある動機を強化する傾向にある」という心の現象があるんですよ。

つまり、人は恐怖を元に行動すると、ますます恐怖を強くする
喜びや幸福感を元に行動すると、ますます喜びや幸福感が大きくなる……ということです。

例えば人と接する場合、相手に喜んでもらえたら、普通は嬉しいものですよね。
でも、「嫌われたくない」という動機で人と接していた場合、相手に喜んでもらったとしても、「次は嫌われないように、もっと頑張らなきゃいけない……」と、さらに恐怖を募らせてしまうものです。
そして、喜んでもらえれば喜んでもらうほど、次のハードルが上がって、「もうこれ以上は喜んでもらえない……」と苦しむわけです。

そういう経験、あるでしょ。

 

「ダメな自分でいい」と許せると、恐怖を元に行動することがなくなる

同じように、不安とか恐怖を元に行動を選択すると、その根底にある思いを強化してしまうわけです。

「自分には価値がないから、頑張らなきゃ」とか「こんな自分じゃだめだから、成長しなきゃ」と思っている場合、行動すればするほど「自分には価値がない」、「こんな自分じゃだめだ」と思い込むようになるということです。

これだと、どこまで行っても幸せなんかありませんよね。

だから、大成功している人が、ある日突然、小さな失敗で自殺してしまったりすることとかあるんですよ。
それは、その人の行動の背後に「こんな自分ではいけない」という動機で動いてしまっていたためですね。

ということもあって、まずは「自分を受け入れる」必要があるわけです。

「ダメな自分でいい」ということを受け入れられれば、行動要因を「こんな自分じゃダメだから」という否定的なものにしなくて済むためですね。

ただ、「自分を受け入れる」というのは、「ダメな自分を嘆く」ではないので注意しましょう。
嘆きは受け入れではありませんよね。
ダメだと思っているから嘆いているわけで。

だから、「ダメな自分でいいんだ」、「ダメな自分を受け入れます」と言ってみるといいでしょう。

 

劣等感を元に行動すると、いつまで経っても幸せは得られない

すると、自然と人間関係が好転してゆくんですよ。

というのも、自己否定は劣等感を生むわけです。
劣等感についてはこのページでも再々触れていますが、劣等感を持っている人は、どうにかして「自分は優れた人なんだ」ということを証明したくなるわけです。

だから、劣等感を持つ人は、自分を周囲と比べて、自分が優れているところを他人に見せつけようとする。
もしくは、他人が劣っているところばかりを見つけて、自分が相対的に優れているように見せつけようとする。

有名人のスキャンダルとか、ゴシップとかが売れるのは、まさにそういう原理ですね。

でも、周囲の人にとっては、そんな人よりも、自分を受け入れてくれて、認めてくれて、いい点を見てくれる人と一緒にいたいものですよね。

だから、劣等感のある人の周りには、よい人間関係ができないわけです。

劣等感のある人はどのような人たちを集めるかというと、同じように劣等感を持ち、ことあるごとに自分たちよりも地位や力のある人たちのゴシップを見つけては、それを非難して、誰も喜ばせず、「自分は周囲の人たちよりもすごいんだ」というメッセージしか発しない、そんな人たちしか集まらないと。
そしてみんなで集まって、「あいつはひどい」、「あれは最低だ」と言って、相対的に「自分はそんな失敗はしないから、相対的に優れている」と錯覚しているわけです。

でも、そんな環境で、最高に信頼しあえる仲間や友なんて、できないものですよね。
というのも、少し隙を見せると、自分も非難されるかもしれないんですから。

自己否定ベースの人は、どれだけ周囲の人よりも自分が優れていることを見せつけようとするか……ということでいっぱいなので、長期的にもうまくいかなくなるものなんですよ。

そして、自己否定ベースの人は失敗を恐れると。

「失敗」というのは、ダメな自分ではいけないという、さえたる事例ですからね。
なので完璧主義になり、行動できなくなり、人を批判することしかできなくなるわけです。

 

劣等感を解決できた「正直者」が、幸せを得られる

「正直者はバカを見る」と言いますが、これは正確な表現ではなくて、「本当は劣等感を持っているのに正直ぶったりするからバカを見る」という表現がより正確でしょう。

正直者は、よい人間関係ができるので、バカを見せられるような人間関係が極めて少ないわけです。
周囲に助けてくれる人ばかりになるからですね。
また、正直者は自分の責任にできます。
だから、失敗も自分の責任にできて、学習できて、バカを見せられたとしても次からは回避できる知恵を得ることができます。

なので、最終的には「本当の正直者は、バカをみない知恵がつく」ということです。

すると、もっと人に喜んでもらえる。
もっと楽しいことを見つけ出せる。
信頼できない人を見極められるようになり、信頼できる人で周囲を固めることができる。
だから、もっとモチベーションも上がって、喜んでもらえて、それがいいサイクルを生んで、向上していくわけですね。

こんな風に自己肯定ベースの人の方が、生き生きとして、元気に、周囲の人に豊かさを与えられるわけです。

 

まとめ

ということもあって、人間関係をよくしたい場合、まずは「ダメな自分を受け入れる」というのをオススメします。
そうすることで劣等感を緩和して、ポジティブな動機で行動を起こせるようになるんですよね。

すると、行動を起こせば起こすほど、よりポジティブさを強めてゆき、結果的にそれが周囲の人たちを変えるということです。

ほんと、劣等感をなくすと、付き合う人たちががらりと変わりますからね~。
私も劣等感を解決し始めてからのある一時期から、がらりと付き合う人たちの種類が変わりましたから。

ってことで、今日はそんな、「ダメな自分を受け入れると、人間関係がうまくいくようになる」というお話でした。

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