今日は、クリエイティブなお話です。

「全世の中に役立ちそうにないものほど、新しい価値になる」、というお話です。

 

「自分がやっていることが、売り物になりそうにない」という不安感

こういう質問をいただいたので、ご紹介。

あやえもさんの成功法則では売り込みやビジネスモデルを考える必要はなくてよかったんですよね?

自分が今やっていることは、全世の中に役に立ちそうになく、売り物にもなりそうにないなと思います。

この場合でも、お客さんが価値に気づいてくれて、オファーやリクエストがあると考えてよいでしょうか?

 

私の方法論で始めようとする場合、最初はまさにこういう感覚になる方が多いんじゃないかと思います。

「自分が大好きで作ったこんなもの、売れるかどうか分からない。本当に大丈夫なんだろうか?」……みたいな。

実はその感覚は正しくて、むしろ最初はそういう感覚であるほどうまくいきます

 

未来が見えやすい近道ほど、激しい競争になる

少し、私が提案している方法論をおさらいしておきましょうか。

私が提案しているスタイルは、「ゴミだと思っているものに価値を見つけようよ」、「好きなことをやって、(自分にとっての)ゴミを出し続けていたら、次第にそのゴミの価値に気づいて、売り方は見えてくるよ!」というものです。

これって、結構あいまいで、とらえどころがないですよね。

すなわち、自分の進む方向や未来が見えにくい、ということです。

 

それよりかは、「こういう漫画をこういう形式で描いて、ここに書類と一緒に送って、ウケればお金が振り込まれる」みたいに具体的な方が分かりやすいわけです。

でも、ほとんどの場合で、未来が見えるのは「他人が敷いたレールの上」なんですよね。

多くの人が安心を求めるので、そういう「ここに応募するだけで、あなたも成功できますよ」とか、「このポジションを得るだけで、あなたも成功できますよ」、「このステータスを得るだけで、あなたは一生安泰ですよ」みたいな場所を好みます。

そして、未来が見えやすくて成功しやすい「近道」ほど、激しい競争になってポジションの奪い合いになります

特に新人賞って、競争が激化しやすい場所になります。

 

大好きなことができて、競争が好きで、しかも勝てるのであれば、それはそれでいいんですよ。

でも、競争が苦手で、競争に勝てないし、他の人を押しのけてでも奪うようなスタイルが苦手な場合、そこで人生に絶望しやすいわけです。

そして多くの人が「自分は大好きなことでは生きていけないんだ」と思って、泥沼のような状態で生きてしまうと。

 

「自分で自分のレールを敷く」というアプローチ

でも、そんな状態だったとしても、大好きなことをして生きる方法はありますよと。

それが、「他人が敷いたレールを歩くのではなくて、自分で自分のレールを作って歩く」、というアプローチです。

 

「好きなことをする」というのは、レールの例で言うと、「こっちの方向に行ってみたい」という感覚のようなものです。

そういう場合、必ず「自分が今やっていることは、全世の中に役に立ちそうになく、売り物にもなりそうにない」と感じます

というのも、藪を切り開かなきゃいけないから、その先に何があるのか分からないからですね。

どこにたどり着くのか(どういう職種になるのか)が分からない中で、「こっちに行きたい(好きなことをしたい)」という方向感覚だけを信じて進むわけです。

当然、自分の作品でどうお金を得ているイメージができないので、「未来がどうなるのか分からない」という不安に襲われます。

 

なら、「近所にあるあの駅で電車に乗れば、すぐにあの街まで行けるのに、なんでわざわざ藪を切り開かなきゃいけないの?」って思いますよね。

でも、そこでとりあえず藪を切り開いてレールを敷いていくと、あるときふと景色が開けるんですよ。

そして、「ああ、ここにたどり着くのか」と分かるような感覚です。

 

そのときに初めて、「ああ、私はこの場所にたどり着くために来たんだ」と分かります。

すなわち、目的地(自分の稼ぎ方やお金を得る手段、ビジネスモデル)が分かる、という流れです。

 

モンスターを妄想するのが好きな人の例

例えば私が以前見たことがある人で、モンスターが大好きな人がいました。

その人はモンスターを妄想して描くのが大好きで、もう奇怪なモンスターばかり描くんですよ。

変なところから目が出ていたり、口が変だったり、手とか足とかもヘンテコで。

そういう妄想なんか、「全世の中に役に立ちそうになく、売り物にもなりそうにないもの」ですよね。

 

でも、それを見事な世界観で、圧倒的に仕上げるわけです。

すると、価値が見えてきます。

その人は、モンスター絵をサイトに公開しまくっていました。

すると、ページに訪れた人から「ジャンル分けして欲しい」とか、「こういうゲーム用モンスターの作り方を教えて欲しい」みたいに言われたりするんですよ。

そしてそこから、「あ、『モンスターデザイン』っていう新スタイルで動けないかな?」と感じます。

 

オリジナルのモンスターを必要とする人なんて、考えてみれば多くいると分かります。

ゲーム業界だって、漫画業界だって、映画や映像業界だって、オリジナルのモンスターデザインを欲している人は多いですからね。

「奇抜なモンスターを考える」なんて、普通のクリエイターにとっては苦痛です。

すると、奇抜なモンスターを作れる人ほど価値があると分かります。

 

こうして、自分なりの道が見えてきます。

 

物語を脳内補完するのが好きな例

私の直近の例で言うと、私は物語を楽しむとき、「こういう設定だったら、もっと面白くなるな」とか、「こういう展開だったら、もっと楽しめるな」とか思って、独自設定で脳内補完をして楽しんでいました。

そういう脳内補完って、どこからどう考えても「全世の中に役に立ちそうになく、売り物にもなりそうにないもの」ですよね。

ただ単純に、私が勝手に妄想して楽しんでいるだけです。

 

でも、その妄想を見事な世界観で、圧倒的に仕上げるわけです。

私の場合、エヴァンゲリオンとかゲド戦記みたいに問題がある作品を、意味が通るように修正して、プロットで公開したと。

すると反響があって、「面白い!」とか「もっとやって!」と言われるようになります。

こうして、「『プロットの手直し』とか、『作家さんのイメージをプロットとして実現する』っていう新スタイルもありそう」とか見えてくると。

これも、一つの新しい道です。

 

おそらく、知名度が高い作品で見事なプロット修正を、後10本とか20本でもやってサイトにまとめると、「このページがすごい」と話題になるかと思います。

だったら、きっと「プロットを作ってください」とか、「プロット修正や確認をしてもらえますでしょうか?」とかいう引き合いも来ると思うんですよ。

私は教えるのも好きなので、教材を作ると売れるでしょう。

作家さんやクリエイターさんもこのサイトを見ているので、私が「プロットの修正サービスをやりますよ」とかすると、利用したくなるかもしれません。

一つの技術から、いろんなアプローチができると分かります。

 

モンスターの例でも、私の例でも、最初から「こういうスタイルでやろう」とは決めていません。

好きなことをしていて、圧倒的なクオリティで仕上げていると、反響があって、そこからスタイルが見えてくるわけです。

自分でレールを敷いて進んでいると、「あ、ここにたどり着くのか」と、後から目的地(職種や独自スタイル)が分かる、そういう流れです。

 

圧倒的なクオリティで仕上げると、価値が見えてくる

重要なのが、どんなことでも圧倒的なクオリティで仕上げることです。

圧倒的なクオリティを実現しさえすれば、話題になって価値が見えてきます。

 

その「圧倒的なクオリティ」というのは、周囲にとっては全く価値がなくていいんですよ。

自分にとって、価値があればいいだけです。

その「自分にとっての価値(行きたい方向)」が、目的地(ビジネスモデルや反響)を導き出す、という感覚です。

 

むしろ、「全世の中に役に立ちそうになく、売り物にもなりそうにないもの」の方が、後々大きな恩恵を与えてくれます

というのも、一見役立ちそうにないものほど、自分なりの独自ポジションが作れるからですね。

逆に、世の中に役立ちそうだと分かっているものって、それは既にレールが敷かれているものになります。

そこは競争世界なので、最初はよくても後からしんどくなるだけです。

 

ビジネスモデルは、後からついてくる

ビジネスモデルは、好きなことをして価値を見つければ、自然と後からついてきます

その価値は、お客さんからのオファーやリクエストとして来る場合もありますし、やっていると自分で気づくこともあります。

「もっとやって!」とか、「これがよかった」という感想やフィードバックとしても来るので、結構分かりやすいかと思います。

ビジネスモデルを考えるのは、その後でいいんですよ。

 

というのも、ビジネスモデルって、簡単に言うと「何を作るのか」、「誰に与えるのか」、そして「どう与えるのか」ということです。

なら、「好きなことをするよりも前に、ビジネスモデルを決める」というのは、何だかおかしいですよね。

言うなれば、友達にプレゼントを与えて喜んでもらおうとする時に、その友人の好みやプレゼント内容を考えずに、百貨店に行くようなものです。

本来ならば、友人の好みを考えて、「こういうのが喜んでくれそう」と考えて、初めて「雑貨屋に行って、こういう包みにしてもらって、こういうサプライズで演出して渡そう」とかいう方法が見えてくるんですから。

 

ビジネスモデルありきで考えるのは、「とりあえずカタログギフトでいいや」と渡すのと同じです。

それは大量生産大量消費時代の古い考え方だということですね。

個性も出ないし、自分なりのスタイルも出なくて当然でしょう。

当然それは相手の心にも響かず、鶏口ではなく牛後になってしまい、価値がないものとして扱われる、ということです。

さらには他の人で代替できるので、何かあれば簡単に捨てられてしまいます。

 

まとめ

そういう風に考えると、私のスタイルが分かりやすいんじゃないかと思います。

レールの上をどれだけ早く進めるのかの競争をするのではなくて、レールから外れて藪の中を歩く道ですね。

でも、あるとき「あ、ここに通じるんだ」と、自分なりの道が見えます。

そうして初めて、自分独自のポジションが決まるわけですね。

 

そのポジションは、自分独自のポジションなので、自分にとって一番有利な土俵になります。

牛後ではなく、鶏口になることで、その業界ではなくてはならない人になる、ということです。

そういう独自スタイルを作るために、自分にぴったり合ったビジネスが得られます。

ただ、その代償として、「独自スタイルにたどり着くまでは、最初は少し、未来が見えませんよ」ということですね。

 

その「未来が見えない不安」を恐れずに進んでみることが大切かな、と思います。

 

ということで、今日は「全世の中に役立ちそうにないものほど、新しい価値になる」、というお話をしてみました。

今日はここまで~。

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