今日は、ビジネスのお話をしてみましょう。

「市場が小さくても、売れる」という考え方についてのお話です。

 

「市場が小さいから、必要な額を稼げない」という勘違い

私はニッチな戦略を推奨している人なんですが、とある場所でこういうつぶやきを見かけたんですよ。

「私はこういうニッチなBLモノ漫画が大好きで、そういう漫画を描いて生活できたら最高だなぁ。

でも、あまりにも市場が小さいから、他のジャンルの漫画やイラストを描いて稼がなきゃいけなくて。

もっとこういうニッチなBLジャンルが流行すればいいのになぁ」……みたいな。

 

ニッチを攻めようとしている人の場合、こういう感覚に陥る人も多いかもしれません。

「もっとこの趣味趣向がはやってくれたら、自分ももっと売れるのにな」

「もっとこのジャンルの知名度が上がって人口が増えれば、自分の商品ももっと売れるのにな」

とか思ってしまうものですよね。

 

でも実は、これが大量生産大量消費時代の古い考え方を引きずっている、大きな勘違いだったりします。

ニッチを攻める場合、その業界の人口が上がる必要はありません。

大切なのは、どれだけその市場を独占できるかです。

独占できればできるほど、利益率は上がりますからね。

この発想の転換が大切なんじゃないかな、と思います。

 

重要なのは、利益率

なら、なぜ独占率(市場占有率)が重要になるのか、この原理を少し説明してみましょう。

実は、ビジネスの善し悪しを判断するのは、売り上げ額ではありません。

ビジネスの善し悪しを判断する基準は、利益率です。

 

ほら、よく宣伝でも「当社は売り上げ額○○億円を達成した、安心優良な企業です!」とか言っているじゃないですか。

ああいうのを見るたびに、私は「アホなこと言ってるなぁ」とか思うんですよ。

売り上げがどんなに多くても、赤字になることなんて山ほどありますからね。

ビジネスについて何も知らない人に対する宣伝としてはいい切り口ですが、ビジネスを知っている人にとっては見当違いな内容になります。

 

だから、そのビジネスが優秀かどうかを決めるのは、利益率になります。

で、利益率は市場占有率(独占率)によって大きく左右します

すなわち、「圧倒的にその業界を独占しているほど、少しの労力で荒稼ぎできる優秀なビジネス」になるわけですね。

この「利益率のトリック」に気づけるかどうかが、重要じゃないかなと思います。

 

人口が増えれば、独占率上位から順に恩恵を受けてゆく

「業界の顧客人口が増えれば、それと同じ比率で全員の売り上げが上がる」のではありません。

「業界の顧客人口が増えれば、市場で最も有名な人から順に、売り上げが伸びてゆく」ということです。

言い換えると、顧客人口が増えたとしても、弱小チームはほとんど恩恵は受けませんよと。

 

これは、感覚で分かりますよね。

流行して新規のお客さんが来る場合でも、今までのお客さんにしても、彼らが何かを買おうとするならば、たいてい最初にその業界で最も有名な人やチームのものを買うものです。

で、それで満足できないか、もしくはそれだけでは満足できなかった場合に、市場第2位も買うようになります。

すると、クオリティの差はごくわずかでも、「最も有名な人から順に、売り上げが高くなる」という現象が起きます。

同じように、流行の恩恵を最も受けるのも、有名な人(市場占有率が高い人)たちからです。

 

図で示すと、次のような感じになります。

blogimg-fig02-market-share

左のように、占有率が業界1位になるほど、利益率は上がります。

右のように、直線的に増えるものではない、ということですね。

 

一方で、流行すれば、その業界に大手が参入してきます。

すると、自分よりも優れた人が入ってくるので、お客は自分の作品よりも、より大手で有名な作品を先に手にするようになります。

こうして「有名度(市場占有率)を失うことで売り上げ減になった額」>「お客が増えることで売り上げ増になった額」という形になりえると。

すなわち、「流行して人が増えた結果、売り上げが落ちる」という現象が起こりえます。

 

勝者総取り社会では、独占することが基本戦略

私たちは資本主義社会に生きていますが、自由競争では基本的に「勝者総取り」です。

「鶏口となるも牛後となるなかれ」というのは、利益率を考えるから、そう言っているわけです。

なぜ鶏口(ニッチ)を目指すのかというと、独占することで、総取りができるようにするためですね。

 

裏を返すと、鶏口になって独占しなければ、意味がないと。

上の図を見ても分かるように、業界で1位から100位まであるとすると、だいたい10位ぐらいまでしか利益は出せません。

10位以下は弱者で、20位以下ともなると番外弱者です。

「私は100位中50位ぐらいだから、中間レベル」ではない、ということです。

「100位中5位ぐらいで、ようやく売り上げ的に中間レベル」だと言えます。

 

多くの人が、この独占の力を知らないんですよ。

小さな市場でも、トップに君臨すれば、信じられないほどの額を稼げます。

サラリーマンの人ほど、ずーっと大手や大企業の牛後にいるから、「トップになればこれほど稼げる」というのを知らないんですよね。

スモールビジネスでは、これが戦略の要(かなめ)になります。

 

戦うからには、トップを目指す

戦うからには、トップ5位には入りましょうと。

で、トップ5位に入るよりも、ワンアンドオンリー(オンリーワン&ナンバーワン)になる方が簡単です。

それが、ニッチで稼ぐための戦略ですね。

 

これは言うなれば、「牛後の人ほど稼げない」ということを意味します。

そもそも、「もっと流行すれば、自分も売れる量が増える」って、「市場が大きくなるほど、売れる」っていう発想ですよね。

その究極は、「顧客数が多いメジャーであるほど売れる」という考え方です。

でも現実は、そうではありません。

メジャーとニッチの間でポジショニングが中途半端な人ほど、能力があっても売り上げが得られないのが現実です。

 

これが分かれば、能力などさほどなくても、利益を上げることができると分かるでしょう。

メジャーで全然売れなくても、ちょっとニッチに移って市場を独占すれば、「こんなにも儲かるの!?」と驚くかと思います。

 

まとめ

だから、市場を独占すればするほど、売り上げは上がります。

市場規模の大きさではなくて、業界での有名度(市場占有率)をメインに考えることです。

これが分かれば、「相当小さな市場でも、圧倒的に君臨すれば、実は意外と稼げる」と分かります。

 

多くの人が、この「利益率のトリック」に気づかないんですよね。

そのジャンルで一番有名な人と、二番目に有名な人がいたとして、ほとんどクオリティは変わらないかもしれません。

でも、その小さな差で、売り上げ額は2倍、3倍、時に5~10倍と変わっていたりするんですよ。

これが、普通の人が気づかない「利益率のトリック」です。

だから、その業界で圧倒的になることが重要なんだと。

 

で、まずは小さな市場を独占した上で、そこから顧客層を広げてゆけばいいわけです。

すると、利益率が高いまま、売り上げを増やしてゆけるようになるかと思います。

 

ということで、今日は「市場が小さくても、売れる」という考え方についてのお話をしてみました。

今日はここまで~。

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