今日は、時代の流れについておはなししてみましょうか。

「無駄をするよりも、無駄をなくすのが格好いい時代になってきた」、というお話です。

 

脱石油、自転車主流、という時代の流れ

ちょっとした記事をご紹介。(別に読む必要はありません)

欧州発、電気自動車シフト 「脱石油」世界の潮流に(日本経済新聞)

ニューヨークで自転車通勤が増加中(New York Times)

自転車の街へ変貌するロンドン。15年間でクルマは半減、サイクリストは3倍に(Gizmodo)

こういう流れが、次の時代を示す鍵のようにも感じます。

 

一昔前は、「無駄をできるほど豊かで格好いい」という感性だったじゃないですか。

例えば車なら、できるだけ排気量の多い車の方が優れているとか、非現実的でもパワーがあるスポーツカーの方がいい、みたいな。

ランクで言うと、徒歩<自転車<車(マイカー)<飛行機(自家用セスナ)、でしたよね。

で、上位のランクを持つほど格好いい、みたいな。

 

家だって、膨大な広さの屋敷で、庭も広すぎて、プールもあって、使用人を何人も抱えている、とか。

食事も食べきれないほどテーブルに並んでいて、その中から好きなものだけをつまんで食べて、後は捨てるのが豊かさだ、みたいな。

本や雑誌に掲載される「お金持ち像」のイラストだって、たいていが「紳士風の服を着た、肥満体質の人」でした。

そんな風に、昔ほど「無駄ができるほど素晴らしい」という価値観だったわけです。

 

無駄をしない方が格好いい、という感性

でも、世の中がより成熟してスマートになって来るほど、次第にその「格好いい」という価値観が変わってきました。

それが、「無駄をしない方が格好いい」という感性ですね。

 

例えばアメリカのアカデミー賞の授賞式では、昔はロールスロイスとかベントレーみたいな、排気量の多い高級車で俳優が乗り付けることがほとんどでした。

それが、2005年ぐらいから、プリウスみたいなエコカーで登場するのが主流になったわけです。

そして去年だったか、授賞式場で、ディカプリオがプリウスを自分で運転して登場した、というほどにもなっていたり。

 

家にしても、Facebook創業者でもあるマーク・ザッカーバーグの家は、(監視カメラやセキュリティはしっかりしていますが)、その資産額からするととても質素な家に引っ越して、話題になりました。

しかも、所有ではなくて、賃貸ですからね。

彼は当然高級車や高品質なものを持っていますが、「使いもしない、身の丈以上のもの」を持たない、というスタイルです。

使うものは高品質なものでそろえるけれども、無駄はしないと。

 

それに、最近のイラストの風潮では、「お金持ちほどスリムで引き締まっていて、貧乏人ほど肥満体質」となってます。

服装で言うと、「お金持ちほど自由でラフな格好をしてくつろいでいて、荷物を持たないでいる。一方で貧乏人ほど、くたびれた背広姿で、大きなカバンを持って、スマホなどを持って会話しつつ、汗をかいて走っている」という形ですよね。

そんな風に、金持ちほど無駄がなく、貧乏人ほど無駄を多く持っている、という形になってきたと。

 

環境問題が、価値観の変化を引き起こした

こういう現象の背景には、環境問題があるでしょう。

昔は環境問題なんてなかったので、「無駄をすればするほど豊かな証」でした。

でも、環境問題が起きてからは、「環境問題を知らない奴は、知性が低い」という認識が生まれて、「無駄をする人ほど知性の低い人」だとみなされるようになりました。

結果として、「無駄をなくして、必要なものだけを持つ方が、知性が高く、教養がある人のすることだ」というスタイルが生まれたわけですね。

 

例えば日本でも、最近はそういう風潮が出てきてますよね。

「ノマド」(定住する家を持たない生き方)とか、「断捨離」(ものを捨てる技術)、「ミニマリスト」(最小限のものだけで生きるスタイル)という言葉もはやりました。

それは、「滅多に使わないものでも所有をする」よりも、「あるものをうまく使う」という方が、知性的だということなんですよね。

そして、それが時代に合っているんだと。

 

資産よりもクリエイティビティーが求められる時代

これはある意味、資産よりもクリエイティビティーが求められる時代になってきた、ということです。

というのも、時代には「安定の時代」と「激動の時代」があります。

そしてその時代によって、必要なものが変わってきます。

 

安定した時代ほど、資産が重要になります

というのも、チャンスは常に変化している場所にあるので、安定しているとなかなかチャンスが生まれずに、価値観が動かないからですね。

そういう場合、大きな資産を持つほど、長く豊かさを保っていられるわけですね。

例えば徳川家が支配していた江戸時代とかは、世の中が安定していて、平民が成り上がろうとしてもとても難しかったんですよね。

そういう場合、どうしても生まれた家だとか、血筋の影響力が強くなってしまうものです。

 

逆に、激動の時代ほど、価値がどんどん変化します

それは、どんどん変化するので、チャンスが生まれるからですね。

戦国時代の信長にしろ秀吉にしろ、幕末の新撰組や薩長にしろ、激動の時代だからこそ普通の平民が英雄になれたわけです。

 

で、そういう激動の時代は、今まで持っていた資産が、一転して無価値になることだってあるわけです。

なら、資産なんていつ無価値になるか分からなくて、そういう場合は「いつでも豊かさを作れるクリエイティビティー」を持つ方が安定できます

 

今は、激動の時代に入った状態

そして今は、その激動の時代に少しずつ入ってきた状態です。

例えば今までは、「石油」がお金持ちの象徴でした。

「石油を持つ」というだけで、お金持ちとイコールでしたよね。

だから、昔の人でお金に不健康な人ほど「石油王と結婚したい」とか夢見て言っていたんですが(笑

 

でも、今ではその石油自体が落ちていく時代です。

アメリカでシェールオイルが出るようになってからというもの、どんどん石油の価値が下落していくようになりました。

すると、最大級の産油国でもあるサウジアラビアですら、今では「石油を脱却して、産業を作らなきゃいけない」と本気で動き始めています。

石油だけでなく、会社であろうが、業種であろうが、5年とか10年で、がらりと変わる時代なんですよね。

 

それはとりもなおさず、資産よりもクリエイティビティーが重要な時代になった、ということです。

「資産を持つのがすごい、買うのがすごい、増やすのがすごい、自分で作らずにすむのがすごい」じゃないんだと。

これからは、「何かを創造できるのがすごい、買わずに済ませるのがすごい、減らせるのがすごい、自分で作れるのがすごい」というスタイルですね。

 

まとめ

そんな風に、今では「無駄をするよりも、無駄をなくす方が格好いい時代になってきた」と言えるかと思います。

それは、激動の時代に入ってきたからこそ、資産よりもクリエイティビティーが重要になってきた、ということです。

この時代を見抜けないと、資産にしがみついて、資産を得るために苦しい思いをして、そしてあるとき資産の価値がなくなって、何もなくなってしまう……というリスクが大きくなるかと思います。

今までは資産を持つことが豊かさの証でしたが、今は豊かさを作り出す力(クリエイティビティー)を持つのが豊かさの証なんだと。

 

価値観は、時代によってどんどん変わっていきます。

昔は「自転車通勤をする人が多い街」と聞くと、中国とかベトナムみたいな発展途上国をイメージしたことでしょう。

でも、今ではニューヨーカーやロンドンの人が、進んで自転車に乗っているわけです。

今では逆に、中国やベトナムほど車が多くて、すごい排気ガスで曇っている世界です。

自転車は貧しい人の象徴ではなく、新時代における知性と感性の象徴になってきた、ということです。

 

古い価値観に縛られていると、無駄をした上に、役に立たない……ということもあるんですよね。

そういう時代の流れを見抜くことが、大切じゃないかな、と思います。

 

ということで、今日は「無駄をするよりも、無駄をなくすのが格好いい時代になってきた」、というお話をしてみました。

今日はここまで~。

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