Project Description

“さあ、ハリウッドで使われているストーリー構成法を学ぼう”

神話の法則:十二のステージとは

このページでは、物語の構成法である、「クリストファー・ボグラーの神話の法則」について説明しています。

  • ハリウッドで使われているストーリー構成法とは?
  • 三幕構成よりも詳細な、十二のステージとは?
  • その具体的な内容とは?

これによって、より詳細な、物語の普遍的な構成を理解できるでしょう。

クリストファー・ボグラーの「神話の法則」とは

「神話の法則」とは、クリストファー・ボグラー著「夢を語る技術〈5〉神話の法則―ライターズ・ジャーニー」で紹介された、物語の普遍的構成になります。

これは三幕構成よりもさらに詳細な内容になっています。三幕構成が三つ区切りなのに対して、神話の法則では十二のステージで構成されています

神話の法則を用いると、それだけ詳細に物語を構成することができる、ということです。

「神話の法則」の構成

実際に、神話の法則で用いられている十二のステージを、以下で紹介しましょう。

神話の法則:十二のステージ

第一幕の各ステージ

ここから、実際にそれぞれのステージで起こる内容を見てみましょう。

なお、ここではその物語で中核となるキャラクターのことを、「主人公」と呼びます。この「主人公」とは、後のキャラクター・アーキタイプで説明する「ヒーロー」と同義です。

第一幕では、日常の世界に住んでいる主人公が、何かしらのトラブルに巻き込まれてスペシャルワールドの存在を知ります。そして、そのスペシャルワールドについての知識を得て、自らの意志でスペシャルワールドに入るまでの過程になります。

1. 日常の世界

まずは冒頭で、主人公が住む「日常の世界」が示されます。

ここで、この物語のテーマ(主人公が抱える問題)が示されます。この段階では、主人公は何かしらの問題を抱えていて、それを態度や行動、言葉などで明確に示す必要があります。

なお、その問題を抱えるようになったまでの経緯が説明されることもあります。

例えば、ディズニーのアニメ映画「美女と野獣」で見てみると、ここでの主人公は「野獣である王子と、美女である少女」の二人になります。

冒頭では、主人公の一人である王子が、魔女に魔法をかけられた経緯が語られます。王子は「人を外見で判断する」という問題を持つため、魔女の魔法によって野獣にされた自分の姿を、大いに恥じ入ることになります。

一方で、もう一人の主人公である少女ベルは、街で一番美しい容姿を持っています。しかし街で一番男らしくて美男子である猟師ガストンには目もくれずに、「人を外見で判断しない」という性格の持ち主であることが示されます。そのため少女は、街の人から「変わり者だ」と陰口をたたかれています。

少女は「自分を理解してくれる、素敵な人」を夢見て、未だに特定の男性に恋をすることはないのです。

このように、二人が抱えるそれぞれの問題が説明されることで、テーマが示されます。

2. 冒険への誘い

問題を持っている主人公に、ここで「冒険への誘い」が起こります。それは、これまでの日常世界ではあり得なかった出会いや事件、事故、トラブルなどの脅威になります。

それらの事件・事故・トラブルなどをもたらす存在をヘラルド(使者)と言い、ヘラルドは主人公に特別な世界(スペシャルワールド)があることを示します

これにより、主人公はこれまでの常識や安定を壊され、混乱します。

この段階で大切なのは、主人公が「日常の世界」で守ろうとしていた大切な日常が、守れなくなってしまうことです。その脅威が大きければ大きいほど、読み手の心をつかむことになります。

「美女と野獣」で言うと、少女の父親が道に迷い、王子(野獣)のいる古城へと迷い込んでしまいます。そして父親は王子から怒りを買い、囚人として幽閉されてしまいます。

その事実を知った少女は、古城に訪れます。そして父親を助けるために、自分が身代わりとなり、古城に居続けなければならなくなってしまいます。

それはすなわち、恐ろしい容貌を持つ野獣と、これから永遠に一緒に過ごさなければならないことを意味します。

一方で王子は、城の召使いたちから「王子があの少女と愛で結ばれれば、魔女にかけられた魔法が解ける」と、王子に伝えます。

こうして、王子と少女に「二人が愛で結ばれる」という冒険への誘いがなされます。

3. 冒険への拒絶

この「冒険への拒絶」の段階は、一つ前の「冒険への誘い」とセットになって同時に現れます。

多くの主人公は、最初は乗り気でないものです。というのも、普通はなかなか変化したがらないものです。そこで、ヘラルドによる誘いを主人公は一度拒絶します。

もし主人公が乗り気である場合、主人公の周囲にいる人が拒絶して、主人公を止める形になります。

「美女と野獣」で言うと、主人公である王子と少女は、それぞれ拒絶を起こします。

少女は、一生を古城に閉じ込められることになり、自分の運命を嘆き悲しみます。

一方で王子は、「あの子は美しい。でも自分はこんなにも醜い」と、自分が少女にはふさわしくないと拒絶します。

こうして両者は、「二人が愛で結ばれる」ことを拒絶するのです。

4. メンターとの出会い

日常の常識を覆された主人公は、なぜそうなったのかという理由を求めます。そこで、メンター(賢者、師匠、導く人)により、スペシャルワールドの説明がされます。

メンターは、なぜこのような事態になったのかを説明して、そして主人公が果たすべき使命を説明するでしょう。同時に、後々必要になってくるアイテムや助言などを与えます。

メンターは年老いていたり、社会的、体力的、能力的な問題などで、知識はあっても何かしらの制約があり行動に移せない人でしょう。そこでそれを実行する人として、主人公が選ばれたことになります。

ここで読み手に対して物語のゴールの設定を行い、何を達成することで物語が終了するのかを明確にしておく必要があります。それによって、読み手は物語の目的を知るのです。

ただし、ここでの主人公は、未だにスペシャルワールドに入る決意はできずにいます。

「美女と野獣」で言うと、ここで城の召使いたちがメンターとなり、王子と少女に果たすべき目的を示します。

城の召使いたちは、王子に対して「外見ではなく、振る舞いで魅力を発揮すればよい」と教えます。そして、相手をおびえさせないしゃべり方や、振る舞い方を教えます。

一方で少女に対しては、この城には秘密があること、すなわち魔女に魔法をかけられてしまったことを、それとなく語ってしまいます。

しかしここでは、王子が丁寧に接しても、少女は心を開きません。王子は心を開かない少女に怒りを覚え、一方で少女も、そんな王子を恐れて、心を開くことができないままでいます。

5. 第一関門

ここで主人公は、第一幕の盛り上がりである第一関門を迎えます。

主人公は今まで冒険への誘いから逃げ続けていましたが、ここでついに追い詰められます。そしてあきらめて今までの世界に戻るか、それともスペシャルワールドに入って、問題を解決するか、どちらかを選ばなければならなくなります。

そこで何らかのきっかけがあり、主人公はスペシャルワールドに入る方を選ぶのです。

そのきっかけとは、「主人公にとっての大切なもの」に対する脅威として訪れます。主人公は、自分にとって大切なものを、失いかけるでしょう。それは、自分の命や未来、大切な人の命や未来かもしれません。それを守るためには、スペシャルワールドに入るしかないのです。

こうして主人公は、自らの意志で、スペシャルワールドへと入ることになります。

「美女と野獣」で言うと、ここで少女は、「王子が魔法をかけられてしまった」という秘密の内容を知り、王子から怒りを買ってしまいます。

少女は「もうここにはいたくない」と城から飛び出しますが、オオカミに襲われて、絶体絶命の状況になります。

そんなとき、王子が少女を助けます。

オオカミたちを追い払った王子は、代償として傷を負い、倒れます。少女は逃げるなら今しかないのに、助けてくれた王子を助けるために、王子と共に城へと戻ることを決断します。

王子は少女から手当てを受けて、少女への態度を改めます。同様に少女も、助けてくれた野獣(王子)に対して恐怖を手放し、思いを改めます。

こうして二人は共に、自らの意志で、「二人が愛で結ばれる」という冒険の旅に出るのです。

第二幕の各ステージ

第二幕では、主人公がスペシャルワールドでの困難に挑むまでが描かれます。

主人公はいくつかの試練を経て、その試練で得た経験を元に、目的である最大の困難に向き合います。そして最大の困難と闘い、結果として何かしらの報酬を得ます。

6. 試練・仲間・敵対者

スペシャルワールドに入った主人公は、自らの意志で、目的を達成しようと行動し始めます。

しかし主人公は、目的を達成するにはまだまだ非力な状態です。ここで主人公は、そのために訓練をして、力をつけてゆくことになります。

主人公は試練を乗り越えてゆくことで、少しずつ訓練を重ねて、力をつけてゆくでしょう。

その過程で、主人公の仲間も登場するでしょう。最初こそ、仲間は主人公に対して好意を持たないかもしれません。ですが、主人公とのふれあいを通して、主人公の味方となってゆきます。

また、主人公にとってのも、ここで登場するでしょう。主人公は、敵の手下と戦うかもしれません。敵の親玉とは直接対決はしないものの、「いつかこの敵(親玉)と戦うことになる」と予感することになります。

この部分は、いくつかのサブプロット(さらに細かいプロット)を用いて構成することが多いでしょう。

「美女と野獣」で言うと、互いに「相手ともっと親しくなりたい」と思った王子と少女は、互いに相手を喜ばせようとして行動してゆきます。

王子は「少女は本が好き」と知ると、城の図書館に案内して、本をプレゼントして喜んでもらいます。

少女は、「王子は指先が不器用で、食事マナーを守れないことに引け目を感じている」と知ると、自分も王子と同じようにマナーを気にせずに食べて、喜んでもらいます。

一緒に野鳥にエサを与えたり、一緒に雪合戦や追いかけっこをして、打ち解け合っていきます。

少女は王子の中にある優しさに気づいてゆき、王子もまた、少女の見かけだけでなく、内面の美しさにも気づいてゆきます。

こうして少女と王子は、少しずつ互いの愛を深めてゆくのです。

7. 最も危険な場所への接近

ここからターニングポイントとなり、主人公は最大の敵のいる場所に近づいてゆきます

これから起こるセントラル・クライシスに向けて、読み手やプレイヤーに緊張感や心の準備を整える段階です。

そんな戦いを前にして、主人公は仲間たちと象徴としての「最後の晩餐」をするでしょう。もし主人公がこれからの戦いに敗れると、全てを失ってしまうのですから。

そして主人公は、決戦の時を迎えます。主人公は仲間たちと共に、スペシャルワールドでの目的を果たすべく、戦いの地へと旅立つのです。

「美女と野獣」で言うと、野獣である王子は、ついに「少女に愛の告白をする」という時を迎えます。そのために、召使いたちは最高の晩餐会を用意して、告白の舞台を整えます。

そんな「少女に愛の告白をする」という、最大の戦いを前にして、王子は身なりを整えます。

鏡を見て自分の姿に自信が持てないまま、それでも王子は戦いに挑むことを決意します。

そして王子は、少女が待つ晩餐会へと旅立つのです。

8. 最大の試練

ここから、スペシャルワールドで果たすべき目的のための戦いが始まり、最大の試練が訪れます。

ここで、主人公と敵との直接対決が行われます。

敵は強く、主人公は劣勢になってしまうでしょう。そして絶体絶命の状態まで追い込まれることで、主人公は初めて、自分の弱さと向き合うことになります。

ここで、主人公は一時的に勝利する場合もありますし、一時的に敗北することもあります。

「美女と野獣」で言うと、ここで王子は少女と晩餐会を楽しみます。

そして大ホールでダンスを楽しんだ後、王子は愛を告白しようとします。ですが、そこで少女の寂しそうな顔に気づきます。

少女は「ここに貴方といるのは幸せ。だけど一目でいいから、もう一度父親の様子を知りたい」と言います。

そこで王子は魔法の鏡を使って父親の様子を見せると、父親は病に倒れていると知ります。少女は父親を深く心配します。

すると王子は、断腸の思いで「父親の元へと行ってあげなさい。君はもう、この城の囚人ではない」と、少女を解放するのです。

少女は父親のために、王子に感謝して城から出て行きます。

9. 報酬

最大の試練を通して、主人公は大きな報酬を手にします。

その報酬とは、「自分にとって、一番大切なものが何かを知る」ということに象徴されます。

一時的に勝利した場合、主人公や仲間はここで歓喜の祝杯を挙げて、自分にとっての大切なものに気づくでしょう。一時的に敗北した場合、それを失ったことにうちひしがれながら、自分にとっての大切なことに気づくでしょう。

そんな「自分にとっての大切なこと」に気づくことで、主人公は成長を遂げるのです。

「美女と野獣」で言うと、少女を城から出した王子は、自分にとって何が大切なのかを知ります。それが、「少女の幸せを願う」ということです。

王子は少女を愛しているからこそ、少女を解放しなければならなかったのです。

しかしその代償として、王子は一生、その野獣の姿でいなければならなくなるのです。王子は魔法を解く最後のチャンスを、失ってしまったのですから。

第三幕の各ステージ

第三幕では、主人公が物語の目的を達成するために、残された最後の問題に挑んでゆくことになります。

この段階から、読み手は物語の終わりを実感でき、これから起こるクライマックスに集中してゆきます。

10. 帰路

ここから主人公は、全ての問題を解決するために、最後の問題に取りかかり始めます。すなわち、日常へと戻る帰路につきます。

主人公が一時的な勝利をした場合、取り組むべき最後の問題が残っているでしょう。敵は何かしらの「置き土産」を残すかもしれませんし、主人公は仲間たちと別れなければならないのかもしれません。

主人公が一時的な敗北を喫した場合、ここで主人公は挽回するための一時的な猶予を得ます。それによって、再び目的を実現するための機会を得ます。

そして主人公は、全ての問題を解決すべく、動き始めるのです。

ここで何かしらの「タイムリミット」が設定されます。これによって読み手に物語の終わりを示して、クライマックスに向けて準備を進めてゆきます。

「美女と野獣」で言うと、少女は父親の元へと戻り、看病して助けます。

しかしここで、猟師ガストンが少女を強引に自分の妻にするべく、動き始めます。猟師は城に野獣(王子)がいることや、少女が野獣に想いを寄せていることを知ると、野獣を退治しようとするのです。

猟師は街の人たちを伴い、野獣退治へと出発します。少女も、猟師を負って城へと向かいます。

ここで、「王子が持つ魔法のバラが全て散ったら、王子は二度と元の姿に戻れなくなる」というタイムリミットが設定されます。バラの花びらが全て落ちる前に、王子は少女からの愛を受けなければならないのです。

こうして、クライマックスに向けて準備を進めてゆきます。

11. 復活

ここから、物語はクライマックスを迎えます。主人公は最後の問題と向き合い、戦うことになります。

しかし、「今までの自分」では、この困難を乗り越えられません。主人公は、「新しい自分」に生まれ変わる必要があるのです。

それは「死と再生」に象徴されます。主人公は今までの執着を完全に手放して、自分にとっての「最も大切なもの」のために、新たな行動を取ることになります。

それによって主人公は、新たな次元での行動を取り、物語の目的を達成します。そして主人公は、スペシャルワールドから日常へと戻ることになります。

「美女と野獣」で言うと、ここから猟師と王子の戦いが始まります。

少女を失った王子は、力を出せずに猟師の矢を受けてしまい、絶体絶命の状況に追い込まれます。しかし、そこで少女が城に戻ってくることで、王子は勇気を得て、猟師を退けます。

王子は猟師との戦いで深い傷を負い、同時にバラの花びらも全て散りかけようとしています。そして最後の花びらが散る直前に、少女は死にゆく王子に対して「愛しているわ」と伝えます。

それによって王子にかけられた魔法が解けて、魔女の奇跡によって傷も癒え、元の人間としての姿を取り戻すのです。

12. 宝を持っての帰還

主人公は旅を終え、スペシャルワールドで得た大切なものと共に、日常の世界へと戻ります

それは、今までと同じような日常かもしれません。しかし、一つだけ違っていることがあります。それが、「冒頭で抱えていた主人公の問題が解決している」ということです。

主人公は手に入れた宝と共に、希望に満ちた、新たな毎日を送り始めるでしょう。こうして全ての問題(テーマ)が解決して、物語が閉じられます。

「美女と野獣」で言うと、魔女からの魔法が解けた城は、元の輝かしい姿を取り戻します。

王子は若々しい人間の姿で、召使いたちも人間に戻り、少女を受け入れます。少女も「自分を理解してくれる、素敵な人」を見つけて、王子を受け入れます。

「こうして二人は、いつまでもいつまでも幸せに暮らしました……」と締めくくられて、全ての問題が解決し、物語が閉じることになります。

まとめ

  • 「神話の法則」を用いることで、より詳細に物語を構成できるようになる。
  • 「神話の法則」は十二のステージで構成される。
前の記事へ
次の記事へ

クレジット