プロット基礎講座(六):プロットの書き方

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プロット基礎講座(六):プロットの書き方2016-11-29T09:04:51+00:00

Project Description

概要

このページでは、実際にプロットを書き出す際の、書き方について説明しています。

  • 複数人で執筆をする場合の「プロット作りのコツ」とは?
  • プロットの詳細度を決める「四つのプロットレベル」とは?
  • そのほか、執筆までに必要な資料とは?

物語を構成する一つ一つの要素

実際に複数人数で物語を作る場合、プロットを記述して共有する必要があります。ここではそんなプロットの書き方を提案してゆきます。主にゲームシナリオなどの複数人で作ることを想定しているものなので、小説などの一人で作る場合は、参考程度に知っておくぐらいで構いません。

物語の設計図をプロットと呼びます。プロットは、物語の詳細度によってレベル分けをしていますレベル1が概要で、レベル4になるほど詳細な設計図になります

それは、大体以下のような区切りになっています。

プロットの用語説明

以下で、プロット作成時における用語とその内容を定義します。

ストーリー(作品)

物語全体。小説ならば一遍の小説。ゲームで言うと分岐を含めた一キャラ分の物語を指します。

プロット

物語内で複数個ある、独立した一連の出来事。プロットが組み合わさって一つのストーリーを構成します。

プロットはさらにメインプロットとサブプロットに分類されます。ストーリー内には、主人公とヒロインの話の流れ(メインプロット)があったり、または主人公と友人の間で別の話の流れ(サブプロット)があったりします。ストーリーはメインプロットとサブプロットの組み合わせで構成されます。

一つのプロットを削除しても、他のプロットには一切影響を与えないという性質を持ち、プロットはそれぞれ独立しているものです。

イベント(出来事)

イベントとは、何かの出来事のことを指します。例えば「主人公が妖怪に襲われて怪我をする」、「ヒロインと仲直りする」など。

シーン(場面)

小さな目的の一連の出来事。例えば主人公とヒロインが神社まで行くシーン。

コマ

一場面の出来事。背景が同一の場所。主人公とヒロインが神社まで行くシーンなら、コマとしては「玄関のコマ」、「田んぼのあぜ道のコマ」、「神社前のコマ」というコマ割り。

以下では、それぞれのレベルでどのような内容を記載するのかを示してゆきます。

プロットレベル1――テーマ、メインプロットを作る

プロットレベル1では、テーマとメインプロットの心の成長(対立関係)、それについてのメタファー、登場人物のキャラと役割、簡単な三幕構成(日常の世界とスペシャルワールド程度)を示します

これで全体の流れと規模を把握します。また、担当シナリオ以外の物語の概要も把握しておきます。

以下に、具体的な記述例を示します。ゲームのように分岐があり、複数シナリオがある場合、それぞれこのプロットレベル1をシナリオ本数ほど作ります。

■テーマ:「人を信じることができない主人公が、恋愛を通して、人との触れ合いができるようになる物語」
■メタファー:「現代風な世界観で、魔法を教えるファンタジーの学校」
■対立関係

ヒーロー:主人公の青年

(○長所)人を信じないことで、裏切られても心が傷つかずに済む。

(○長所:象徴)一人暮らし。孤独を好む。他人に頼らない攻撃・破壊の魔法。

(×犠牲)人を信じないことで、永遠に人とわかり合え、喜ぶことができない。

(×犠牲:象徴)黒魔法使いという悪のレッテル。

(過去の出来事)幼い頃に親に捨てられ、食わなければ食われてしまう劣悪な環境で、身を守り生き延びるためには黒魔法を使うしかなかったということ。

シャドウ:ヒロインの少女

(○長所)人を信じることで、人とわかり合え、喜ぶことができる。

(○長所:象徴)学級委員で人気者。人と一緒にいるのを好む。他人を救う回復の白魔法。

(×犠牲)人を信じることで、裏切られたときに心が傷つく。

(×犠牲:象徴)幼い頃、助けられなかった男の子の持っていた指輪。

(過去の出来事)幼い頃、大好きだった男の子が深く傷ついた時、救ってあげられなかったこと。だから人を助ける白い魔法を使うようになる。

  • トリガー:少女が裏切りに会い、魔法が暴走して、少女を傷つける。
  • 成長:少女が幼い頃に好きで助けられなかった男の子が、主人公のことだったと分かり、主人公は少女を守るために命をかけて強い魔法を使い、魔法の暴走を止めるという行為。

■登場人物

  • ヒーロー:主人公
  • シャドウ:ヒロインの少女
  • メンター:魔法の教師
  • ヘラルド:(なし)
  • トリックスター:男子生徒

■スペシャルワールド

  • 日常の世界:主人公が一人で孤独に生きている世界。
  • スペシャルワールド:他人と信じ合わなければならない世界。ヒロインと絆を深めていく世界。

■盛り上がり部分

  • 第一関門:主人公は成績が悪くて落第が嫌なので、ヒロインと一緒に協力し合う(二人一組になる)ことを決意する。
  • セントラル・クライシス:主人公とヒロインが対立していたが、ヒロインが裏切りにあってしまい、魔法の暴走で傷つく。それがきっかけで恋を成就させて、わかり合える。
  • クライマックス:魔法の暴走を主人公が身をもって止めることで、元の世界に戻る。

■メインプロット:
(第一幕)
主人公は魔法使いの学校で学んでいる黒魔法使い見習いで、周囲から忌避されていて、一人でいることを好んでいる。

ある日、試験でヒロインの少女と二人一組で組んで協力しなければならなくなる。

主人公は落第が嫌なので、協力し合うことを決意する。

(第二幕)
協力して課題に取り組むことで、主人公とヒロインは互いに想うようになる。

しかし人を信じられない主人公と、絆を求めるヒロインとは考え方で対立する。

その時、ヒロインが人から裏切られ、魔法が暴走し傷つくが、主人公が自分自身よりもヒロインを守りたいと思うことでヒロインを救い、恋を実現させる。

(第三幕)
魔法の暴走が止まらずに、学校内は大混乱する。

主人公は自分の黒魔法でそれを鎮められると思い出し、命をなげうって暴走を止める。

主人公の行動に心打たれた教師や生徒が主人公を守ることで、主人公は生きながらえ、周囲と打ち解けることができ、ヒロインとも結ばれてハッピーエンド。

プロットレベル2――サブプロットを作り、メタファーを統合する

プロットレベル2において、メインプロットだけでなく、サブプロットにおいてもプロットレベル1と同等のものを作ります。そして詳細なメタファーを決定してゆきます

また、イラスト設定や背景設定などのシナリオによって決まる他の部分もレベル2の段階でほぼ決定しておきます

メインプロットは、物語の中で最も根幹となるプロットです。これを大黒柱として、他のサブプロットが派生してゆきます。メインプロットは常に頭の中で意識して、メインプロットを大切にする必要があります。

サブプロットとは、その部分がなくても物語が進行できる、メインプロットとは直接関係しない別のプロットになります。サブプロットは、メインプロットを支える支柱のようなものになります。

プロット図

サブプロットがメインプロットのどの部分に組み込まれるかは、プロット図を参照します。プロット図によって、プロットレベル2で示したメインプロットとサブプロットがどのような位置関係にあるのかを把握することができます。複数のプロットが走っている場所では、サブプロットを進行させながらメインプロットも同時に進めるように配慮が必要です。

プロット図は、以下のようなものになります。

背景設定資料

ゲーム制作など、使用できる背景が固定されている場合、使用できる背景の一覧を示します。背景は全てこれらの背景で収まるように場面設定をさせます。それ以外のシーンは全て空の背景や黒背景などになるので注意が必要です。

例えば、「公園」と「集落」の背景があった場合、公園から集落まで続く途中の道」とかいう背景にない中途半端なシーン設定は不可になります。必ず背景のある場面設定にしましょう。

背景地図

各背景の位置関係を示します。同時に距離や必要時間の目安も記載します。これにより、それぞれの場面間を移動する場合の距離的(時間的)な参考にもなります。

プロットレベル3――構成ツールを用いて全体の流れを作る

プロットレベル3では、実際に執筆する際にメインプロットとサブプロットを統合した、イベントの順番を示しています。執筆に際する全体的な「イベントの流れ」を把握することができます。また、各幕での文章量の目安もここに併記します。

実際に記した例を、以下に示します。

~~~~第一幕~~~~
—-日常の世界—-

~~第一.一幕~~

—第一幕 日常の世界—

  • 主人公の日常、環境の説明。
  • 魔法を使えることも説明。黒魔法使いという悪のレッテルを持つ主人公の状態説明。

—第一幕 Call to ADV—

  • ヒロインの説明。主人公との関係など。

▲第一幕:ヘラルド完了:ヒロインが登場している

—第一幕 冒険への拒絶—

  • ヒロインが話しかけてきても、あまり取り合わない主人公。

▲第一幕:拒否完了:主人公は人を信じられず、ヒロインを拒否している。

—第一幕 メンターとの出会い—

  • 学校、教師の説明など。魔法の授業風景など。

—-Call to ADV—-

  • 魔法の試験があること、二人一組でやることを説明している。宝物を探し出すという試験内容。
  • 組み合わせを発表し、主人公はヒロインと組むことになってしまう。

▲第一幕:目的明示完了:ヒロインと組まなければならないという目的を明示し終えている。

▲全体:ヘラルド完了:魔法の試験があることを説明し終えている。

—-冒険への拒絶—-

—第一幕 第一関門—

  • ヒロインと組むのを拒否する主人公。ヒロインには関わろうとせず、一人で何とかしようとする。

▲第一幕:スペシャルワールド突入:ヒロインと組むことを拒否するというスペシャルワールドに突入している。

▲全体:拒否完了:ヒロインと組むことを拒否している。

~~第一.二幕~~
—-メンターとの出会い—-

—第一幕 試練・仲間・敵対者—
(以下略)

プロットレベル4――個別のシーンを作成する

実際に執筆する際に参考にする、各シーンのイベントやネタまで作り込んだ詳細資料です。基本的に、これを元に執筆をします。プロットレベル4は「執筆の手が止まらないようにするために作られたもの」でもありますので、執筆担当者が執筆中に考える余地がない程度にまで詳細に記します。

レベル4の読み方は以下のように、段落をつけた部分が一つ上の段落の説明部分になるように構成されています。

■日付

シーン一

シーン一の説明(一)

シーン一の説明(二)

上の段(シーン一の説明(二))の説明その一

上の段(シーン一の説明(二))の説明その二

上の段(シーン一の説明(二)の説明その二)の説明

……

シーン一の説明(三)

シーン二

シーン二の説明

シーン三

シーン三の説明

そのため、同じ段落を飛ばして読んでゆくことで、全体的な流れを把握すると同時に細かい部分も把握することができるようになります。

注意として、テキストエディタで記述する場合は、ウィンドウ端で文章を折り返さないで表示するように設定しておきましょう。そうしないと、段落が把握しにくくなります。

実際の記述例を以下に示します。

■1日目

~~~~第一幕~~~~

—-日常の世界—-

~~第一.一幕~~

—第一幕 日常の世界—

主人公の魔法を使っての戦闘シーンで開始。

追い詰められるが、黒魔法で撃退する。

ここでは敵がどんな存在かは説明しない。

主人公が他人を信じられないということを強調するための、主人公の日常説明。

学校にたどり着き、登校シーン。

魔法を使えることの説明。

学校は魔法の学校だということと、世界観の説明。

黒魔法使いは忌避されていることを知る。

黒魔法使いは、破壊のみを生むので。人を傷つける魔法なので。

白魔法使いは白いスカーフを、黒魔法使いは黒いスカーフを身につけている。

周囲の人達から白い目で見られる。ほとんどが白か青(防御魔法)とか。

主人公は誰も信じないという思いを持つ。それでは生きていけないと。

だけど、少しだけ羨望もあるような印象を与えられるといいかも。

—第一幕 Call to ADV—
(以下略)

その他必要な設定資料

必要な場合、以下のような設定資料を作るとよいでしょう。

キャラ動機一覧

各キャラクターの動機一覧を示しています。「キャラクターが頭の中で勝手に動き出す」のを効率的に実現するための資料です。筆が勝手に進み、自然なキャラの反応が生まれて(敵キャラでも味方キャラでも)キャラが生きている状態になります。そのためにも、動機の把握と動機の一貫性に注意して執筆することが重要になります。

キャラ呼び方一覧

各キャラクターの一人称、二人称、三人称一覧を示します。また、ゲームなどで必要な場合、会話文の発言者の文字列も明示しておきます。

会話口調一覧

各キャラクターの会話口調の特徴と、会話口調の具体例を示します。

そして、執筆へ――貴方の作品を最高に楽しむのは、貴方自身

さて、これで実際に執筆するのに必要な資料は揃いました。ここまで設計図を作っておくことで、プロットの主目的である「考えていない点を全て明確にする」ことができ、事前に矛盾点などを発見して、安心して楽しみながら執筆することができるでしょう。

執筆中では、常にメインプロットもしくはサブプロットが進行している状態(ストーリーホイールが回っている状態)を保ちます。ストーリーホイールが回っていない部分があると、読み手はとたんにだれたり不安になる危険があります。

貴方の作品を最高に楽しむのは、貴方自身です。是非楽しみながら執筆して下さい。

まとめ

  • 複数人でプロットを作る場合、詳細度でレベル分けを行おう。
  • プロットでは物語の概要を記述して、全体像を把握できるようにしよう。
  • キャラ動機一覧、キャラ呼び方一覧、会話口調一覧なども作っておくとよい。
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クレジット

http://www.flickr.com/photos/wscullin/3770015203/ by Will Scullin (modified by あやえも研究所)
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