シナリオの方程式(六):ストーリー十四のステップ(第三幕)

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シナリオの方程式(六):ストーリー十四のステップ(第三幕)2016-11-29T09:04:55+00:00

Project Description

概要

このページでは、「シナリオの方程式」における、「ストーリー十四のステップ」について説明しています。

ここでは、第三幕について触れています。

  • 第三幕のクライマックスを成功させる方法とは?
  • クライマックスを盛り上げるコツとは?
  • 効果的なラストシーンを作る考え方とは?

ステップ十二:3-1.日常への帰路

第三幕に入りました。第三幕は「3-1.日常への帰路」から始まります。

第二幕でテーマを解決したヒーローですが、まだ旅は終わっていません。スペシャルワールドから出て、元の日常に戻らなければならないのです。ここから用いる、第三幕の対立関係を次図に示します。

「物語の終焉」を読み手に感じさせるステップ

ヒーローは一時の喜びから覚め、旅を終わらせるためには、まだやらなければならないことが残っている事を知ります。

ここでは物語がいつ終わるのか(旅はいつ終わるのか)というものが明確に提示されるでしょう。場合によっては、象徴としてタイムリミットが設定される場合が多いでしょう。

例えば、退治された竜が最後に雄叫びを上げて暴れて、洞窟が崩れ始めるかもしれません。洞窟が崩れ落ちる前に脱出しなければならない、そして脱出したら全ての物語が終わる……ということで、タイムリミットと物語の終焉を示すことになります。

「手放さなければならないもの」を明示する

日常の世界に戻るためには、スペシャルワールドの法則を捨てて、日常の法則を受け入れなければなりません。そのために、本当に必要な宝だけを持ち帰るために、スペシャルワールドで新たに手にしたものをいくつか手放す必要があるでしょう。

最も大切なものを持ち帰るために、二番目以降に大切なものを置いていかなければいけないかもしれません。それはスペシャルワールドでしか生きられない仲間との別れかもしれませんし、スペシャルワールドのために手に入れた特殊能力を手放すことかもしれません。それらは、日常世界では逆に不要なもので、だからこそ手放す必要があるのです。

それらを予感しながらも、ヒーローはなかなか手放せないでいます。そして旅の終わりに向かって進んでいきます。

✎ 作成例:日常への帰路

テーマを解決した主人公たちは、このステップから、スペシャルワールドから出るという方向に移ります。主人公たちは勝利によって告白権を勝ち取りました。後はその告白権を行使したら終了になります。

すぐに終わらせてもいいんですが、どうせなのでここではすぐに告白して終わらせずに、少し時間を引き延ばすことにしましょう。

(ステップ十二:3-1.日常への帰路)

  • 告白権の行使は、文化祭の後夜祭で行われることになる。(タイムリミットの設定)
  • 勝利の余韻から解放された主人公は、「告白」というものを前にしてやっぱりひるんでしまう。だけどやるしかない。
  • 生徒会長から断られるために申し込んだということも、一応触れておく。まだ片思いという形なので、片思いクラブのネックレスもまだ持っている。
  • 副会長のフォローとして、副会長は落ち込んでるとしておく。副会長をなぐさめる立場の人(年下の世話役の男子生徒とか)を出しておくと後腐れがなくていいかも。
  • 大役を果たした主人公は、仲間たちと文化祭の残り時間を精一杯楽しむ。

ここでは、主人公は新しい思想を得ているので、そのままの状態だと告白することにためらいはないでしょう。ですが、ここでは実行を前にいったんひるませることにしています。再度ひるませることで、クライマックスを盛り上げられますので。

第三幕ではシャドウの昇華をさせてもいいんですが、ここではやめておくことにしましょう。昇華させない場合でも、シャドウはハッピーエンドにできます。副会長に片思いする付き人の男の子でも出して、そのキャラと結ばれそうな感じにほのめかしておけば大丈夫でしょう。

誰かを不幸にして終わると後味が悪いので、フォローも最低限はしっかりとしておきましょう。

ステップ十三:3-2.旅との別れ

長かったスペシャルワールドの旅も、「3-2.旅との別れ」のステップで、終焉を迎えます。

ついに別れの時が来ました。ヒーローは、大切なものを持ち帰るために、それ以外の大切なものを手放さなければならないでしょう。

なかなか決断が出来ないヒーローに対して、トリガーを起こします。これによって旅を終焉に導きます

主人公は宝を持ち、全てを解決して元の世界に戻ります。

象徴としての「死と再生」

神話においては、象徴としての死と再生を演出することが多いです。スペシャルワールドでの主人公はいったん象徴としての死を経て、再生して日常に戻ります。

映画「アルマゲドン」では、この死と再生が象徴的に演出されています。地球に向かってくる隕石を無事に爆破した主人公たちは、スペースシャトルに乗って地球に帰還しようとします。その大気圏突入の際に、通信がいったん途切れます。そして大気との摩擦で燃えながら地球に戻りますが、宇宙船からはいっこうに通信が回復しません。不安になった瞬間に通信が回復して、全員の無事が確認されて、喜びが爆発する……というような「死と再生」が演出されています。

✎ 作成例:旅との別れ

ついにクライマックスです。ここでは告白権を行使して、生徒会長と結ばれます。仲間とはスペシャルワールドから出た後も関係は続くので、仲間との別れはなく、「文化祭での戦い」と「生徒会長との関係」のみを終結させます。

(ステップ十三:3-2.旅との別れ)

  • 後夜祭が始まる。主人公は考えがまとまらないうちに、告白権を行使するためにステージに立つ。
  • 主人公が告白しようとしても、断られるのが怖くてできずにいる。片思いクラブのネックレスを握りしめる。
  • トリガー:生徒会長が、自分の持つ片思いクラブのネックレスを取り出す。なんか古いもの。そして「これが何か分かるか」と伝えて、主人公が昔の好きだった男の子にプレゼントしたものだと分かり、生徒会長が昔の男の子だと知る。生徒会長は「ずっと、思い出してくれるのを待っていたんだ」と、主人公を待っていたことを伝える。
  • 互いの片思いクラブのネックレストップを合わせると、一つのハート型になるとか。これで両思いの証にする。
  • 主人公はあの男の子が生きていたことと、そして思い出せなかった罪悪感とに涙を流して謝って、生徒会長の想いを知る。そして告白する。
  • 生徒会長もそれを受け入れて、キス。
  • 主人公はのぼせて鼻血出してぶっ倒れるとかしてフェードアウト。

これで、全ての問題が解決しました。後は最終ステップを残すのみです。

ステップ十四:3-3.問題を解決した日常

旅は終わりました。この「3-3.問題を解決した日常」のステップでは、ヒーローは無事に日常へと戻り、問題が発生する前と同じような毎日を送っているでしょう。

同じような風景、同じような毎日の始まりですが、一つだけ違っている点があります。それは、問題を解決して、宝物を得ているということです。

場合によっては、以前ヒーローを悩ませていた細々とした問題が起こるかもしれません。しかし成長して宝を手に入れているヒーローには長所も犠牲もなくなっていて、その問題にストレスを抱えることもなく、軽やかにこなしていったり、時には全く気にしなくなったりすることでしょう。

日常の問題は解決し、未来は光に輝いています。

ヒーローは幸せな未来に向かって、宝と共に歩いて行くことでしょう。

第一幕「1-2.問題を抱えた日常」との対比

このステップでは、よく最初の「1-2.問題を抱えた日常」と対比されることがよくあります最初と全く同じ出だしであったり、全く同じシチュエーションをオーバーラップさせることで、日常に戻ったことを示します

例えば「1-2.問題を抱えた日常」では、サラリーマンの主人公が忙しく目を覚まして飛び起きて、準備をするシーンがあったとしましょう。すると、ここの「3-3.問題を解決した日常」でも、全く同じように準備をするシーンから始まることで、完全に日常に戻ったことが分かります。しかし、その主人公が扉を開けてキッチンに入ると、それまでは殺風景な風景で忙しく食事をしていたのが、今では色とりどりの朝食が並べられ、そこには愛する人が微笑んでいるかもしれません。その愛を元に、今まではストレスばかりだった毎日が、今では喜びに変わっていることでしょう。

これで、「物語とは、問題を解決する過程である」という、その一つの過程が全て終わりました。完璧な状態に戻ったヒーローは、新たな一歩を踏み出してゆくでしょう。

✎ 作成例:問題を解決した日常

ついにこれで、十四のステップ最後のステップになります。後は最初の日常を繰り返して、幸せな状況を描いて完了です。

(ステップ十四:3-3.問題を解決した日常)

  • 最初の日常場面(起床から登校まで)を繰り返す。
  • 同じような日常に見えて、一つ違っている点は、登校途中で生徒会長が待っていること。恋人同士になった喜びと、新たな日常をかみしめる。
  • シャドウのフォローもしておきます。シャドウは昇華させなかったので、「懲りずに次の恋に向かっている」としておく。
  • 仲間も集まってきて、恋人や友人たちと楽しそうにしながら、新しい未来に向かって歩いてゆく主人公。というところでエンディング。

プロット作りで難しい部分

いかがでしたでしょうか。やはり一番大変だったのは第二幕最初の「2-1.深化」の部分で、ここはいくつも案を出さなければならないので時間がかかるでしょう。緊張と緩和を交互に繰り返して、飽きないようにすることが大切になると思います。

次に難しいのは、おそらく第二幕盛り上がりである「2-3.根本問題(テーマ)との対峙」(副会長との直接対決部分)辺りでしょうか。ここは盛り上げる手順をどう作り込むかが肝要になるでしょう。

今回は第二幕でヒーローがシャドウに打ち勝ち、第三幕で告白して物語の終焉を迎えるという形にしました。ですが、第二幕で告白とキスまでさせて、第三幕ではシャドウの昇華をさせるという流れも十分に可能です。また、第三幕で告白とキスをするのと同時に、シャドウを昇華させるという手もあります。

シャドウの昇華は第二幕でも第三幕でも入れられます。これらは好みで入れてもいいですし、盛り上がりが足りないと思ったり、時間をもう少し伸ばしたい場合に、内容を足すという目的で入れてもいいでしょう。

これで一通りの流れが完成しました。後は見せ方などの仕上げを行って完了にします。仕上げについては次章で説明します。

まとめ

  • 第三幕では、タイムリミットを設定し、旅はいつ終わるのかを明確に示そう。
  • 第三幕で、ヒーローは、スペシャルワールドを去り、旅を終える。
  • ヒーローは無事に日常へと戻り、問題を解決して、物語を完結させる。
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クレジット

http://www.flickr.com/photos/eusebius/4567607384/ by Eusebius@Commons (modified by あやえも研究所)
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