ミステリーの方程式(二):トリックの作り方

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ミステリーの方程式(二):トリックの作り方2016-11-29T09:04:50+00:00

Project Description

概要

このページでは、ミステリーにおけるトリックの作り方について説明しています。

  • トリックの作り方とは?
  • 「常識」を元にトリックを作る発想法とは?
  • 「現象」を元にトリックを作る発想法とは?

トリックを発想する

それではトリックを作ってゆきましょう。

トリックとは「仕掛け」のことであり、ミステリーにおいてはほとんどの場合、読み手や主人公を欺くために配置されるものです。

様々なトリックの種類

トリックには様々な内容があるでしょう。例えば「氷を使って撲殺して、時間が経つと溶けて凶器が消える」といった物質的な変化を利用したものや、「影絵を使って、あたかも自分がそこにいたように人に見せることでアリバイを偽装する」「双子であることを利用して、アリバイを作る」といった心理的錯覚を利用したもの、「不運な事故に見せかける」といった工作的なものなど、ありとあらゆるものがあります。

また、読み手を欺くのは犯人だけでなく、作者自身であることもありえます。「主人公は女性なのに、話し方を男性っぽくすることで、読み手に性別を誤認させる」「読み手には連続した時間のように見せて、実は章ごとに十年ぐらい違う別々の時代だった」といった「書き方」の次元で欺くこともあるでしょう。

トリックとは、「盲点」を利用すること

どれにも共通して言えることは、トリックとは読み手(もしくは主人公)が「常識的に考えていること」の例外を利用する、つまり「盲点」を利用するということです。

「固い凶器が溶けることはない」「窓にその人の影が映っているなら、その人は部屋にいる」「同じ顔の人は世界に一人しかいない」「小説の次のページは、前ページより後の時間について書かれている」……こういった常識を利用して、その常識を破る使い方をするわけですね。

トリックを作り出す、二つの発想法

トリックについては、いろいろな発想法があるでしょう。

ここでは様々な発想法については触れずに、二つだけ発想法を紹介するにとどめておきます。

その二つとは、以下のものになります。

常識を元に、それを打ち破る例外を作る発想法

現象を元に、常識では考えないことを作る発想法

以下ではそれぞれについて説明します。

(一)常識を元に、それを打ち破る例外を作る発想法

一つ目の発想法は、「常識を元に、それを打ち破る例外を作る」という方法です。

まずは私たちの「常識(思い込み)」に目を向けることで、そこからトリックを見つけるというアプローチですね。

私たちはいろいろな常識や思い込みを持っています。例えば「死体」というものを見てみると、「動かない」「冷たい」「脈はない」「しゃべらない」「腐ってゆく」などの、さまざまな常識や思い込みがあるものです。

「水」を考えると、「動く」「触っても指からこぼれ落ちる」「柔らかい」「容器に入れておかなければならない」「水の中では息ができない」などがあるでしょう。

「胃」を考えると、「食べ物を入れる袋」「食べたものが最初に入る場所」「酒を飲むと荒れる」といった思い込みがあるかもしれません。

「本」を考えると、「日本では縦書きは右から左に読む」「時間的に順番に並んでいる」「ページ数は一ページずつ増えてゆく(小数点のあるページなどない)」「著者名が一人なら、作者は一人である」など、いろいろ考えられるでしょう。

この常識や思い込みを元に、トリックを作ってゆくわけですね。つまり、これらの常識を打ち破る例外を作り、それをトリックにします。

「思い込み」からトリックを作る発想の例

死体の例で言うと、「死体は動かない」という常識に目を向けた場合、何かしらの方法で動かすというトリックがあるかもしれません。「冷たい」「脈はない」という常識の場合、「温める」「微少電流で脈を作り出す」といったトリックができるかもしれません。

胃の例で言うと、「食べ物を入れる袋」という常識を使った場合、犯人は「胃の中に証拠品を隠す」というトリックが思い浮かぶかもしれません。「食べたものが最初に入る場所」を使う場合、被害者の胃に別のものを入れることで、検死官をだませるかもしれません。

身近な「思い込み」からトリックを作れる!

貴方の周囲には、多くの思い込みがあるでしょう。「透明な窓」を見たらどんな思い込みがあるでしょうか。「懐中電灯」にはどんな思い込みがあるでしょうか。「傘」「机の引き出し」「指輪」「ポスト」「じゅうたん」などなど、そこにまつわる常識や思い込みを見つけて、それを裏返してみましょう。

これは身近な点からとにかく多くのアイデアを発想できるという点で、利点があります。

(二)現象を元に、常識では考えないことを作る発想法

もう一つの発想法は、「現象を元に、常識では考えないことを作る」です。

これは何かしらの「現象」に目を向けることで、それをトリックとして利用できる状況を見つけるという流れになります。

例えば「水は低温になったら固まる」もしくは「氷は常温になったら溶けて水になる」という自然現象があったとしましょう。すると、この現象を利用して、「固めたら凶器になる。放っておいたら消えてなくなる」といった状況を作り出すことができるでしょう。

「水の中では浮力があるから、体積が大きくて重たいものでも軽々と運べる」「水では沈むけど、塩分濃度濃くすることで浮かべることができる」といった自然科学的な現象を利用することができるでしょう。

「現象」があれば、トリックを作れる

また、その他にも日常的だけど少し珍しい現象もあるでしょう。例えば「携帯電話がバイブレートモードで着信すると、携帯が動いて机から落ちる」「机の上に水がこぼれていると、味噌汁の茶碗がつつーっと軽い力でも動く」「つるつるの床では、靴下をはいていると、一生懸命走っても滑って前に進めない」などの現象があるかもしれません。他にも、「カラスは光るものを収集したがる」といった習性的な現象もあるかもしれません。

すると、携帯電話をかけるだけで、遠隔操作で何かを動かせる場合もあるでしょう。少しの風や力で、ものを動かせるかもしれません。カラスを利用することができるかもしれません。

自然科学的な現象だけでなく、心理学的な現象(錯覚)もあるでしょう。「錯視」といった錯覚によって、人が目にするものの長さや大きさ、色、位置などを欺くこともできます。錯覚は視覚だけでなく、聴覚や触覚、嗅覚、味覚などあり、それぞれにおいて錯覚は存在します。

「現象」は手間はかかるが、作りやすい

このように「現象」に目を向けることで、それをそのままトリックとして使うわけですね。

これはスムーズにトリックを作ることができるという利点があります。ですがその肝心な現象を探すのに手間がかかるという欠点もあります。

科学系のトリックは科学系の書籍や百科事典を参照すれば、適当なものが見つけられるでしょう。心理系トリックについては、心理学関連の書籍で人間の錯覚について学ぶことで、より簡単に見つけられるでしょう。

真実の構成要素(犯行の経緯)を作る

さて、トリックから少し離れて、次は真実の構成要素(犯行の経緯)を作ります

「真実の構成要素」というのは、「事件は何によって構成されているか」と言えるでしょう。犯罪ものであれば、「犯行をするために必要なこと」だと思えばいいでしょう。

真実を作る、二つの要素

真実の構成要素(犯行の経緯)を作るには、以下の内容について考える必要があります。

目的

これから作る事件は何を目的としているのかを明確にします。犯罪ものでは「誰々を殺して、自殺に見せかける」という場合もあるでしょう。場合によっては「不運な事故が複数絡み合っただけ」という目的がない場合もあるでしょう。

条件

その目的を実現するために、何をする(何を起こす)必要があるのかを明確にします。例えば犯罪ものでは、「人物Aを殺す」「人物Aを自殺に見せかける」「自分のアリバイを作る」といったことがあるでしょう。

また、「人物Aを殺す」には何をする必要があるのか……というように、条件は複層的に作られます。

これらを、目的を元に、必要な条件(真実の構成要素)を複層的に記述すると関係が分かりやすくなるでしょう。次のようなテンプレートを用いればいいでしょう。

目的:

  • 条件:
    • 条件:
    • 条件:
  • 条件:
    • 条件:
      • 条件:
  • 条件:
  • ……

事件の具体例

言葉で説明するよりも、具体的に見た方が早いので、具体例で見てみましょう。

例えばこれから殺人事件ものを作るとして、「人物Aを殺して、自殺に見せかける」という目的があったとしましょう。

すると、必要な条件としては「人物Aを殺す」「人物Aを自殺に見せかける」「自分のアリバイを作る」というものが挙げられるでしょう。

なら、「人物Aを殺す」「人物Aを自殺に見せかける」「自分のアリバイを作る」ためには、それぞれ何が必要なのかを作ります。

「人物Aを殺す」については、「周囲に人がいない状況を作る」と「銃で撃ち殺す」かもしれません。「人物Aを自殺に見せかける」については、「密室トリックを使う」というものがあるかもしれません。「自分のアリバイを作る」は、「偽証する愛人を配置する」「口裏を合わせる」「そこにいると錯覚させる」というものがあるかもしれません。

実際に記述する

これを、イメージに合うように作り込んでいきます。実際に記述すると、次のように表記できるでしょう。

目的:人物Aを殺して、自殺に見せかける。

  • 条件:人物Aを殺す
    • 条件:人物Aの周囲に人がいない状況を作る
    • 条件:現場に行く
    • 条件:銃で撃ち殺す
  • 条件:人物Aを自殺に見せかける
    • 条件:密室トリックを使う
  • 自分のアリバイを作る
    • 条件:周囲の人を錯覚させる

ここでは、どこまで条件を詳細に作り込むかが問題になるでしょう。細かく作り込むとイメージしやすくなるでしょうが、後々の柔軟性が失われるかもしれません。アバウトであれば柔軟性はあるでしょうが、後ほど細かく作り込まなければならなくなります。

ですが、どのみち正確なトリックを実現するには、この条件をしっかりと作り込んでおかなければなりません。なので、条件については「何を実現する必要があるのか」を網羅できるように、最終的には深く作り込むようにしましょう。

トリックと真実の構成要素を結びつける

さて、ここまでで「トリック」の作り方を知り、「真実の構成要素(犯行の経緯)」において条件を作りました。それではここで、トリックとそれぞれの条件を結びつけるように作り込みます。

最終的に、それぞれ末端の条件にトリックを当てはめてゆきます

なお、全ての末端の条件にトリックを当てはめる必要はありません。トリックがない部分は、「読み手に謎として与えない」という部分になります。つまりこの場合、「完全犯罪ではないにしろ、条件が満たされないので逮捕できない」ということになります。

トリックと真実の記述方法

次のようなテンプレートで記述するといいでしょう。

目的:

  • 条件:
    • 条件:(トリック:)
    • 条件:(トリック:)
  • 条件:
    • 条件:
      • 条件:(トリック:)
    • 条件:(トリック:)
  • ……

トリックと真実を結びつける、二つの方法

結びつける方法には、次の二つの方法があるでしょう。

トリックを先に作って、それを元に条件を作る

条件を先に作って、トリックをそれに当てはめる

自分が作りやすい方法で作りましょう。

以下でそれぞれについて説明します。

(一)トリックを先に作って、それを元に条件を作る

まずはトリックを先に作り、それを元に「真実の構成要素(犯行の経緯)」の条件を作る方法です。

例えば「氷を使って撲殺して、時間が経つと溶けて凶器が消える」「双子であることを利用して、アリバイを作る」というトリックがあったとすると、これに合う条件を作ります。

すると、「撲殺するけど証拠となる凶器が存在しない」「アリバイ工作をする」ということより、以下のように目的や条件を適当に作って、結びつけられるでしょう。

目的:目的の人を殺して、自分のアリバイを証明して無実になる

  • 条件:撲殺するけど証拠となる凶器が存在しない(トリック:氷を使って撲殺する)
  • 条件:アリバイ工作をする(トリック:双子であることを利用する)

この場合、例えば被害者が一人だけの物語にしたいとしましょう。このとき、殺害方法のトリックだけが何種類あっても無駄になります。そのため、トリックは殺害方法のものが一つあったら、他にはアリバイ工作トリック、移動方法トリックなど、殺害方法以外の別の種類のものを用意するようになります。

必要に応じてトリックを発想して、それを元にさらに条件を追加して細かく作り込んでゆけばいいでしょう。

(二)条件を先に作って、トリックをそれに当てはめる

もう一つの作り方が、条件を先に作って、トリックをそれに当てはめる方法です。

例えば前項の「人物Aを殺して、自殺に見せかける」の例で言うと、「人物Aを殺す」「人物Aを自殺に見せかける」「自分のアリバイを作る」といった条件が必要でした。これらにそれぞれ、トリックを発想して当てはめてゆきます。

以下のように、末端の条件にトリックを当てはめてゆきます。もし思いつかない場合は、「トリックなし」でも構いません。

目的:人物Aを殺して、自殺に見せかける。

  • 条件:人物Aを殺す
    • 条件:人物Aの周囲に人がいない状況を作る(トリック:時限発火装置を使ってぼや騒ぎを起こす)
    • 条件:現場に行く(トリック:フックとカーテンを使って窓から降りる)
    • 条件:銃で撃ち殺す(トリック:小包で、時間帯指定で銃を相手に届ける)
  • 条件:人物Aを自殺に見せかける
    • 条件: 密室トリックを使う(トリック:氷を使ってかんぬきを閉める)
  • 条件:自分のアリバイを作る
    • 条件:周囲の人を錯覚させる(トリック:部屋の中で口論する音を流す)

トリックを用いるのに必要な世界観を明確にする

トリックと必要な要素(犯行の経緯)を導き出したら、それらを実現するために必要な世界観を明確にしておきましょう

例えば双子のアリバイトリックを使う場合、「双子でなければならない」となるでしょう。

建物を移動するトリックの場合、例えば「二階建て以上の建物内でなければならない」とか「かんぬきの鍵を使うような、古い建物でなければならない」とかあるかもしれません。

それらの必要な世界観や人物設定をリストアップしておきましょう。これは後ほど用います。

真実を時系列で構成する

トリックと条件(真実の構成要素)を結びつけたら、それらをどのような時系列の順番で引き起こすのかを決めます。

末端の条件のみを抽出して、記述していくといいでしょう。なお、同時に引き起こす必要がある内容があった場合、「(上項目と同時)」という表記でも付け加えておくといいでしょう。

前項でも用いた殺人事件の内容を利用すると、以下のように並び替えられるかもしれません。

真実(時系列)

  • 人物Aの周囲に人がいない状況を作る(トリック:時限発火装置を使ってぼや騒ぎを起こす)
  • 周囲の人を錯覚させる(トリック:部屋の中で口論する音を流す)
  • 現場に行く(トリック:フックとカーテンを使って窓から降りる)
  • 銃で撃ち殺す(トリック:小包で、時間帯指定で銃を相手に届ける)
  • 密室トリックを使う(トリック:氷を使ってかんぬきを閉める)

事件はこの流れで起きたことになります。これが真実になるわけですね。読み手や主人公は、この真実を見つけ出すために調査を進めていくことになります。

✎ 作成例:真実とトリックの作成

それでは実際に、真実とトリックを作ってゆきましょう。

今回は殺人事件を作るということで、その真実を作り出していきましょう。

これまでに作ったミステリー要素のアイデアは、以下のようなものでした。

● ミステリー要素のアイデア
「犯人は別の人を容疑者に仕立てるために、偽装工作をする」「主人公はその偽装工作トリックを解き明かして、真犯人を見つける」

このアイデアを元に作ってゆきます。

「トリック」と「真実の構成要素」を作る

まずは「トリック」と「真実の構成要素」を作る必要がありますが、ここでは「真実の構成要素(犯行の経緯)」を先に作って、それにトリックを当てはめてゆくことにしましょう。

この物語では、被害者を「甲」、犯人に仕立て上げられてしまう人を「乙」、真犯人を「丙」と呼ぶことにしましょう。

真実は、以下のような構成にすることにしましょう。

目的:甲を殺して、乙を犯人にする

  • 条件:甲を殺す
    • 条件:甲を一人きりにして、ある部屋に呼び出す
    • 条件:甲を遠隔操作で殺す
  • 条件:乙を犯人にする
    • 条件:凶器を回収して乙に凶器を持たせる
    • 条件:乙に犯行時の意識を曖昧にさせる
    • 条件:乙に犯行を信じ込ませる
  • 条件:自分のアリバイを作る
    • 条件:殺害時からはずっとみんなとサロンにいて、目立つ行動を取っている

本来はもっと正確に、網羅するように条件を作り込みます。例えば「乙がいる部屋に他の人が来ないようにする」といった条件や、「誰もが乙の部屋に入れる」という条件、「凶器を回収する時に、他の人に見られないようにする」という条件など、さまざまな必要条件が浮かぶでしょう。それらについて、実現するような仕組みを考えておく必要があります。

ですがここでは、作り方の流れを把握してもらうことが目的なので、あえてそこまで詳細には掘り下げないことにします。実際は、そこまで掘り下げて作り込みましょう。

条件にトリックを当てはめる

さて、次はトリックを当てはめてゆきます。

それぞれ末端の条件に、トリックを当てはめていきます。

条件を先に作った場合、このトリックを当てはめるのが結構面倒で、時間がかかるでしょう。ですがここの作りがミステリーにおいてはとても重要になるので、しっかりとトリックを見つけて当てはめましょう。

ここでは、結果的に以下のようなトリックを当てはめたとしましょう。

目的:甲を殺して、乙を犯人にする

  • 条件:甲を殺す
    • 条件:甲を一人きりにして、ある部屋に呼び出す(トリック:甲の弱みを握ったと手紙を出して脅して、指定時間に部屋に呼び出す)
    • 条件:甲を遠隔操作で殺す(トリック:携帯電話のバイブレートモードを利用して、仕掛けた斧を振り下ろす仕組みを作る)
  • 条件:乙を犯人にする
    • 条件:凶器を回収して乙に凶器を持たせる(トリック:マジックショーで「脱出もの」と呼ばれる演目をして、二分間ほど脱出に時間がかかると見せかけることで、その間に回収する)
    • 条件:乙に犯行時の意識を曖昧にさせる(トリック:乙のグラスをわざと倒し、睡眠薬を仕込んだ新しいグラスを提供する)
    • 条件:乙に犯行を信じ込ませる(トリック:乙が信心深いことから、「狐憑き伝説」という迷信を利用する)
  • 条件:自分のアリバイを作る
    • 条件:殺害時からはずっとみんなとサロンにいて、目立つ行動を取っている(トリック:犯行時はマジックショーをみんなに披露している)

トリックの関係で、犯人の職業はマジシャンになりそうですね。

「犯人の職業はマジシャン」といった世界観に関する条件は別に記載しておきます。しばらくは使いませんが、後ほど世界観などを作り込む際に使いますので。

時系列で並び替える

それではこれらを元に、起こった順に時系列で並び替えます。

末端の条件を時系列で記述してゆきます。次に示す順番の出来事が真実になります。

● 真実

  • 乙に犯行を信じ込ませる(トリック:乙が信心深いことから、「狐憑き伝説」という迷信を利用する)
  • 乙に犯行時の意識を曖昧にさせる(トリック:乙のグラスをわざと倒し、睡眠薬を仕込んだ新しいグラスを提供する)
  • 甲を一人きりにして、ある部屋に呼び出す(トリック:甲の弱みを握ったと手紙を出して脅して、指定時間に部屋に呼び出す)
  • 殺害時からはずっとみんなとサロンにいて、目立つ行動を取っている(トリック:犯行時はマジックショーをみんなに披露している)
  • 甲を遠隔操作で殺す(トリック:携帯電話のバイブレートモードを利用して、仕掛けた斧を振り下ろす仕組みを作る)
  • 凶器を回収して乙に凶器を持たせる(トリック:マジックショーで「脱出もの」と呼ばれる演目をして、二分間ほど脱出に時間がかかると見せかけることで、その間に回収する)

これが事件の全貌になります。

どのような物語になるか

これ以外は自由に設定できるわけですが、まあ流れとして作るとするなら、犯人はマジシャンで、パーティーの間中ずっとみんなといるようにしているわけですね。だからアリバイは完璧になるように、その場にいる人たちに錯覚させていることになります。

甲を殺すために、甲を立たせる位置や向き、そして数分間ぐらいはそこで待たせるような仕掛けが必要かもしれません。イスに座らせて場所を固定させるとか、窓から外を眺めるように仕組ませるとか。

今回はそこまでは踏み込みませんでしたが、実際に作る場合はこの辺も作っておくと、後々楽になります。

これでトリックと真実の作り込みは完了です。

以降では、これを推理していくような流れを作りましょう。

まとめ

  • トリックは、私たちの常識に目を向け、それを覆す内容を見つけることで作れる。
  • 何らかの現象を元に、常識では考えないメカニズムを作ることで、それをトリックにすることもできる。
  • 真実(犯行の経緯)は、目的と条件をセットに考えるとよい。
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クレジット

http://www.flickr.com/photos/josephleenovak/5559755789/ by Joseph Novak (modified by あやえも研究所)
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