ミステリーの方程式(三):「謎解き一覧表」を作る

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ミステリーの方程式(三):「謎解き一覧表」を作る2016-11-29T09:04:50+00:00

Project Description

概要

このページでは、ミステリー作りにおいて、推論をスムーズにできる「謎解き一覧表」の紹介をしています。

  • 謎解きを破綻なく、スムーズにできる「謎解き一覧表」とは?
  • 物語の進行途中でも、正確な推論をする方法とは?
  • 謎解きを作る流れとは?

謎解き過程の作り方

ここまでで、トリック内容や真実を作りました。

それではここからは、その真実を読み手や主人公から隠して、読み手や主人公が究明していくように、謎解き過程を作ってゆくことにしましょう。

ここで説明する謎解き過程までを作り込むことで、ミステリー部分の構成は完成できます。

謎解きの必要性

さて、実際のミステリーを作ろうとすると、謎解きをさせる必要があります。

謎解きをさせるためには、何人かの容疑者候補のキャラクターがいるかもしれません。そして、彼らが全て真実を言っているとも限りませんし、何か別の事情で工作しているかもしれません。

主人公は一つ一つ手がかりを手にしていくでしょうが、そこから証言の真偽を推論してゆき、全ての手がかりが出尽くした時、事件は解決になるのです。

謎解き過程を作るステップ

謎解き過程を作る上で、以下のようなステップで作るとよいでしょう。

キャラクター(容疑者候補)の配置

各キャラクターごとに真実を配置

偽証の配置

手がかりの作成

手がかりを、読み手に見せる順番で並び替える

「謎解き一覧表」の提案

このステップを効果的に行うために、一つのツールを提案します。

それは「謎解き一覧表」という表になります。実際に各ステップを説明する前に、その「謎解き一般」についての説明をします。

「謎解き一覧表」概要

これから謎解きを作っていくわけですが、それを簡単に、そして分かりやすく構築できるように、「謎解き一覧表」という表の書き方を提案します。

以下では、謎解き一覧表の内容と、作り方概要、そしてそれを推論に利用する方法をそれぞれ説明してゆきましょう。

(一) 謎解き一覧表の内容

謎解き一覧表とは、次図のように人物と時系列を軸に取り、そこに各キャラの真実を記します。その上で、各キャラが真実ではないことを証言する場合には、その偽証内容(図中の紫色部分)を記述したものです。

作成する場合は、表計算ソフトを利用するとよいでしょう。

犯人以外も偽証をする

上図を見たら分かるように、偽証は犯人以外もする場合があります。真実を隠したいのは、犯人だけではないということですね。

例えば登場人物の中には、誰か他の登場人物と不倫関係にあるかもしれません。その場合、事件発生時に二人が会っていたことを証言するのは、不倫関係をばらしてしまうことにもなりかねません。そういった「事件とは別の思惑」から、偽証や偽装工作をする場合もあります。

また、偽証は、本人が意図的に隠したいために嘘をつくという場合もあるでしょうし、他の人や犯人によって偽証するように仕組まれていたり、無意識のうちに操作されている場合もあるでしょう。本人の意志に無関係で、真実とは異なることを言っている場合があるので、一覧表で偽りの情報を使っているわけですね。

このように、偽証は犯人以外もするものだと把握しておきましょう。

(二) 謎解き一覧表の使い方

この「謎解き一覧表」をどのように利用していくのかという概要を説明しましょう。

謎解き一覧表は、次図のように使ってゆきます。

以下では、詳しい使い方を説明します。

「謎解き一覧表」の使い方

まずは、真実と偽証が時間帯別に記述されています。

該当キャラクターの証言は、真実だけが記載されている部分は本当のことを証言して、偽証が書かれている部分は偽証をしていることになります。

物語では謎が与えられて、手がかりを元に、誰が犯人になりうるのか、誰が容疑者から外れるのかを推論してゆくことになります。その時に、この一覧表を用いて、今後何の手がかりを与える必要があるのか、誰が容疑者として絞られるのか、などを把握してゆきます。

手がかりを元に、推論する方法

以下のように、謎解き一覧表に記入してゆくことで、正確な推論が可能になります。

手がかりが一つ見つかり、その手がかりによって正しい証言だと証明されたものには○印をつけます(次図)。

手がかりによって偽りだと証明された偽証には×印をつけます(次図)。

さらにその場所の真実が分かったり、もしくは関与が不可能だと証明できたら○印をつけます(次図)。

真実が証明されたら、自動的に偽証は偽りだと判明することになります。

時系列にも記入する

時系列についても、犯行に関係ない時間と判明したら、時系列の欄に×印を加えます。これによって、その時間帯は考慮する必要がないとみなします。これを「時間帯を無効化する」と呼ぶことにします。考慮する必要がない時間を除いた時間のことを、「有効時間帯」と呼ぶことにしましょう。

有効時間帯において、トリックに対する手がかりが出尽くして真実が分かるようになった時、その事件は証明可能な状態になり、「謎解決」となります(次図)。

謎解き一覧表は、一つ一つ手がかりを見つける過程を導き出すもの

読み手から見ると、まずは偽りの内容を見せられることになります。

読み手は全く事件の全貌が掴めないでしょう。ですが、何かひっかかる謎があるわけですね。

そして主人公は一つ一つ手がかりを見つけてゆき、正しい証言は正しいと判断され、偽りの証言は偽りだと分かる証拠、もしくは真実を示す証拠が示されるでしょう。そして有効時間帯でトリックに対する手がかりを出し尽くして、真実が証明できるようになった時、主人公が「謎は解けた」と言うわけですね。

これを作りやすくするのが、「謎解き一覧表」という一覧表です。

(三) 謎解き一覧表を元に、推論をする方法

この「謎解き一覧表」は謎解きを作りやすくするだけでなく、作者(主人公)が「推論(推理)」を展開してゆく上でも有用になります

主人公(作者)が行うその場面場面での「推論(推理)」は、作者にとって非常に厄介で面倒なものになりがちです。

というのも、推論は事件全体を俯瞰して、その時々に完璧に合った推論をしなければならないからです。トリックが二つ以下、証拠の数が五個以下ぐらいなら頭の中でもできるでしょうが、それ以上になると到底頭の中だけでは論理をカバーしきれなくなるものです。すると、作りながら推論の穴があったり、最悪の場合は論理破綻してしまう危険も多く出てきますし、それを検証するにも多大な時間を要してしまいます。

謎解き一覧表で、設計時の推論が不要になり、楽にできる!

また、それとは別に、推論を設計する際の問題もあります。

設計段階で推論をしっかり作り込もうとすると、それはとても骨が折れる作業になります。また、一つ手がかりを与える順番を変更するだけで、それまで作り込んだ推論が全てが台無しになってしまう危険が多々あります。

そこで、この「謎解き一覧表」を用いることで、設計時の推論作成を不要にして、さらには執筆時の推論を非常に簡単に理解できて、かつ論理破綻や穴あきも簡単になくすことができるようになります。

謎解き一覧表の例

例えばのような状態を見てみましょう。

この「謎解き一覧表」において、まず最初に人物軸を見ると、容疑者候補は当初四人いたことが分かります。犯人は人物Dになります。時系列軸を見ると、それぞれの時間帯が分かり、「警察到着~全員集合」までは無効な時間帯で、それ以外が有効時間帯であると分かります。

有効時間帯において、各人物の行動を見てみましょう。すると、人物Bと人物Cの両者は、偽証には全て×印が、真実には全て○印がついています。ということは、この両者の真実は全て主人公には分かっていることになり、二人は無実だと既に証明できることが分かります。

ということは、残りは人物Aと人物Dのどちらかが犯人か、もしくは共謀かのどちらかであると推論することができます。

このように、「謎解き一覧表」を用いることで、作者は現在の状態をすぐに把握することができ、推論を簡単に進めることができるようになります。

謎解き一覧表で、正確な推論ができる

この「謎解き一覧表」は、作者にとって推論を簡単にして、推論の論理設計から解放されて、そして論理破綻や穴あきをなくすための優れた方法でもあるのです。

それでは次項から、謎解き一覧表の作り方と、それを用いた謎解き過程の作り方を見ていくとしましょう。

まとめ

  • 「謎解き一覧表」で、謎解きが楽にできるようになる。
  • 「謎解き一覧表」を記入しながら推論してゆくことで、推論がスムーズに、そして正確にできるようになる。
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クレジット

http://www.flickr.com/photos/rob_nguyen/5620643425/ by Rob Nguyen (modified by あやえも研究所)
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