「これからこの業界が売れる」(一)

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「これからこの業界が売れる」(一)2016-11-29T09:04:59+00:00

Project Description

  • ジャンル: 作家向け読み物
  • 公開日: 2014年3月

概要

このページでは、これからのストーリーライティング業界の流れを説明してゆきます。

なお、この記事を書いているのは、2014年3月です。

  • 出版業界はこれからどうなってゆくのか?
  • 「次の上昇業界」を見極める方法とは?
  • これから、どの業界にいるのがよいのか。

出版業界はこれからどうなるのか

まず最初に、出版・書籍業界そのものから見てみましょう。

紙媒体としての書籍業界そのものは、これからどんどん小さくなっていくでしょう。1996年には26,564億円売れていた本が、2013年では16,823億円にまで減っています。書店も閉店ラッシュで、1999年には22,296店あったのが、2013年では14,241店にまで減っています。これはもう避けられない傾向でしょう。

本媒体の書籍は完全にはなくなりませんが、出版社所属の作家について言うと、一部の大手作家だけが圧倒的に儲けて、他はほぼ全滅……という流れになっていくでしょう。

というのも、インターネットの普及によって、個人でも情報発信ができるようになりました。これによって、「出版業界が発表する情報」というのはウェイトが低くなってくるためです。

「出版業界の影響力」がどんどん減ってきた

昔は、出版業界が新人賞や多くの賞を与えることによって、「これがオススメですよ」と宣伝するのが唯一と言えるほどの絶大な影響力を持った宣伝力でした。ですが、今では書籍業界が宣伝する情報なんて、たかがしれている分量にまでなってしまったのです。

私たちも、「これが面白かった」という情報は、出版社から得るよりも、ツイッターとかブログとか、そういう媒体で得る方が多いものです。すると、書籍業界は多くの作家を宣伝できる余裕がなくなって、一部の作家しか宣伝できなくなります。

それに従来の書籍業界というものが、「大部数発行、大部数販売」というビジネスモデルで成り立っています。すると、どうしても「大部数売れる作家」にウェイトを置いて、そこで勝負してゆかなければならなくなります。つまり、「中間レベルの作家が売れなくなった」のではなくて、「中間レベルの作家まで情報発信ができなくなった」というのが適切な表現でしょう。

「落ちてゆく業界」もあれば、「上がる業界」もある

これは「市場」という観点で見ると、「大手作家が中間~下位下層の作家の売り上げを食った」とも言えるわけです。業界が縮小しはじめると、業界全体での売り上げが落ちてきます。すると、大手作家が中間~下位のチャンスまでをも奪って生き残ろう……という流れが起きます。

なので、これからの書籍業界は、さらに二極化が進むでしょう。村上春樹をはじめとして、一部の有名作家だけが売れる作品を作って、後は全然だめになってゆくでしょう。

実際に、私が知っている近くの小説家は、小学校の教科書にも載るほどの作家なのに、今では塾の講師をやっていますから。

ですが、落ちてゆく業界もあれば、見えないところで「上がってゆく業界」もあるものです。その「上がってゆく業界」を見極めることが、これからの時代には求められるでしょう。

「時流」が移り変わるメカニズム

これはファッション業界で見ると分かりやすいので、そこの動きで説明してみましょう。

1970年頃までは、ファッションの中心といえば、東京は新宿でした。で、その新宿が「ファッションの中心だ!」ってことで人気になって人が集まり始めると、街が大きくなってきて、巨大資本の会社が次々と入ってくるようになりました。

ファッション文化は若者が創り出すもので、そして若者は何と言ってもお金がありません。だから、新宿にビルがどんどん建ち始めると、小さなショップは家賃が払えなくなって、もっと安い場所に移動するようになります。

こうして「流行の中心」が移ってゆく

そして、新宿の後に、若者たちはその時にもっと辺境で未開発だった、家賃の安い渋谷に移動してゆくわけです。すると、今度は渋谷が流行の発信地になるわけですね。これが1980年頃までです。

なら、当時はバブルまっただ中だったこともあり、今度は急激に渋谷に人が集まって、短期間でビルが乱立して、同じようにさらに安い原宿に最先端が移動していくわけです。

そして今では、原宿でもさらに安い竹下通りとか、裏原宿にファッションの中心が移動している……という流れになります。

そういう場所では、玉石混淆で、もう奇抜なファッションが溢れている場所なわけです。ですが、「新しいものが生まれる場所」というのは得てしてそういうもので、カオスな中でも鋭い感性を持った人が現れて、時流を作り上げていくようになります。

「流れ」を見極めれば、「次の上昇場所」が分かる

そういう風に、流行の流れというのは、少し長い目、時系列で見ると移り変わりが分かるものです。すると、上昇気流が次にどこに生まれるのか、どこを見ていたら次の流行が生まれるのか、大体分かるようになるものです。

竹下通りや裏原宿に巨大資本が参入してくると、さらにその周辺の、もっと安い場所に移動する……ってことですから。

で、例えば「原宿にダイソーができた」とかいうニュースが出ると、それが変化のきざしになるわけですね。というのも、自分がファッションの先端クリエイターだとしたら、人々がダイソーでファッション小物を買うようになったらもうおしまいでしょう。

そういう巨大資本の「つまらないもの」が増えていくと、最先端のクリエイターは、次第に別の場所に移っていくわけですね。

「流行」の流れ

ちょっとまとめてみると、こんな感じで移り変わります。

  • (最初)
  • 人気の場所から少し離れたやっすい場所に、お金を持たないけどクリエイティビティーを持つクリエイターたちが集まる。
  • そこで、玉石混淆の中から独自の文化を創り上げてゆく。
  • すると、ある一定以上に文化が社会的に認められると、メディアに掲載され始める。
  • 人が集まり始めて、上昇気流が生まれ始めて、それがメディアに取り上げられて、上昇のスパイラルが生まれる。このとき、その場所に元からいた人たちは、自動的に上昇気流に入ることになる。
  • 人が多く集まるので巨大資本が参入し始めて、このときに最高潮の上昇気流ができる。
  • 巨大資本の台頭によって、クリエイティビティーはあってもお金がない人たちは、その街にいられなくなる。また、巨大資本は変化を嫌うので、お金があっても最先端の感性を持つ人は、「この街は面白くなくなった」となり、街を去り始める。
  • すると、最先端の人たちは、その周辺の新しい場所を探して、そこに集い始める。
  • (最初に戻る)

どの業界でも、似たような現象が起きている

……と、こういう順番で時流の流れと上昇気流が起きていくものです。

1950年代の漫画業界ではトキワ荘がその役割を担っていたんでしょうし、1990年頃からのIT革命では辺境地のサンフランシスコ(シリコンバレー)がその役割を担い、アメリカでの1930年代の恐慌時では、大手テレビ会社の停滞に代わって、ロサンゼルスの辺境の地だったハリウッドが躍進したわけです。

そんな風に、「エネルギーが集まる場所」というのがあって、そこから新たな上昇気流が生まれてゆくのです。

どの業界が危険で、どの業界がよいのか

このように、「時流の移り目」が見抜けている人は、次に上昇気流が起こる場所が予想できます。すると、上昇気流が起こる前の安い場所に、安く移動して、その後にどかーんと来る上昇気流に乗ることができるものです。そして高額になったところで売り払って、次の安い、新しい場所に移動してゆくことができます。

ですが、これが分かっていない人は、全てにおいて「タイミングに失している」ものです。

大体、巨大資本が参入してきた段階で、もうそこには新規参入するのはやめておいた方がいいと分かるものです。巨大資本が参入してきている時点で、上昇気流が失い始めているっていうことでもあるんですから。

巨大資本が入ると、彼ら巨大資本は、自分たちの利得権利を失わないようにするために、柵を張り巡らして、新規参入をブロックするようになります。そして、新規ではほとんど成功できないようになるものです。

巨大資本の寡占状態では、新規参入は危険

例えば航空業界でも、以前スカイマークが格安コストで新規参入した時に、大手はスカイマークの便の前後のみ同じぐらいの格安価格にして対抗しました。

すると、お客は同じぐらいの価格なら、大手の方が安心……ということで、スカイマークではなく大手に乗るようになりました。大手は他の路線で収益を上げているから、少々切り下げても大丈夫です。ですが、スカイマークはそこで利益を上げなきゃいけないため、相当厳しい戦いをさせられました。

そういう風に、巨大資本が入っているところに新規参入すると、新規参入者に対する「弱い者いじめ」が起こります。そして、巨大資本が自分たちの利得を守るように、仕組みを作っていくわけです。

そのため、「ここが今売れている」という場所で新規参入しても、大抵はうまく行かないものです。「ここが今から上昇する」場所に参入しなきゃいけないわけです。(正確な表現を使えば、全てがうまく行かないというわけでもなくて、大手資本の利得に合致する素質を持った人のみ、うまくいくということです)
もしくは、ヴァージン・グループのリチャード・ブランソンのように、「飽和しきって改革をやめた業界に参入して、効率化手法を持ち込んで、引っかき回す」といったアプローチが必要でしょう。どちらにしろ、「ここはこれから上昇の余地がある」という分野に参入することになります。

「新人賞」は既に時代遅れ

私はこれまで、「実は私、小説家になりたいんですけど、相談に乗ってくれませんか」という人と多く接してきました。そしてそういう人たちがいつも口にするのは、決まって「新人賞を取って、文章で生きていきたい」でした。

ですが、新人賞を狙うと、ほとんどの場合がうまくいかなくて、だめになってゆくものです。

というのも、新人賞というシステム自体が、出版業界の利得を守るために作られたシステムの一部だからです。

つまり、上で説明した時流の流れのサイクルで言うと、今の出版業界は、既に大手が参入した後の段階だということです。というよりも、既に全国から書店が次々と姿を消して、出版業界自体がだめになってきているというのが今の姿です。

小説やシナリオで言うと、新人賞を狙うというのは明らかに時代遅れというか、「時代遅れ遅れ」ぐらいでしょう。

どこから学べばよいのか

十年年ぐらい前までの、インターネットが普及し始めるぐらいまでは、「小説家やシナリオライターとして成功するにはどうしたらいいですか?」と問われれば、「成功した先人に学ぶのが一番いいよ」と答えたでしょう。

ですが、変化が起こってしまった今の時代、小説やシナリオ業界で言うと、「先人に学ぶ」というのは最も愚かなことになってしまっているわけです。

既に今、電車に乗っている人でも、雑誌を見ている人なんて皆無です。ほとんどの人が、スマホを見ているわけです。

すると、有名作家の収入レベルですら落ちてくるわけで、そうなると、航空業界などと同じように、有名作家が新人の分の利益や機会までをも奪い取ってしまうという、既にそういう地獄の様相を呈してきているわけです。

だから今、ストーリーライティングで成功したい場合に「先人に学ぶ」というのは、最も愚かな行為になってしまっているのです。まだ他業界の人に学ぶ方が、得るものがあるでしょう。

「時流の目」から判断する必要性

今一番いいのは、「時流を見る目」を持つ人に相談するのが一番いいでしょう。うまく行く人というのは、そういった上昇する場所をとらえて、上昇し続けていくものです。

うまく行く人は、いろいろな道を試してみて、最初はうまく行かないんでしょうけど、上昇気流をとらえたら、後は早いものです。一方で、うまく行かない人は、一つの道に固執すると。しかも、既に他の人たちが多く成功している道で、巨大資本のシステムが組み上がった道に固執しているものです。

なので、努力してもうまくいかない場合、少し時流を見て見るとよいでしょう。

それでは次の「これからこの業界が売れる(二)」から、「これからどこが上昇するのか」を説明してゆきましょう。

まとめ

  • 紙媒体としての書籍業界は、これからどんどん落ちてゆく。
  • 出版社所属の作家について言うと、一部の大手作家だけが圧倒的に儲けて、他はほぼ全滅……という流れになってゆく。
  • 「新人賞」に代表される巨大資本の分野に参入するのは避ける方がよい。
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クレジット

http://www.flickr.com/photos/pagedooley/6861256042/ by Kevin Dooley (modified by あやえも研究所)
…is licensed under a Creative Commons license: http://creativecommons.org/licenses/by/2.0/deed.en