なぜラノベブームが来たのか

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なぜラノベブームが来たのか2016-11-29T09:04:59+00:00

Project Description

  • ジャンル: 作家向け読み物
  • 公開日: 2013年12月

概要

このページでは、ラノベブームを元にした、時代の流れについて説明しています。

  • なぜ「ラノベブーム」が来たのか?
  • 「ラノベブームの次に起こるブーム」とは?
  • これからどの業界が「落ち目」で、どの業界が「昇り龍」になるのか?

ラノベブームが来た「業界」の事情

今回は、「なぜラノベブームが来たのか」について説明してみましょう。まぁ、既にブームはほぼ去っていますが、まだまだラノベは根強い支持があります。なら、なぜその支持が残っているのか、そしてどの業界が一番苦しんでいるのか、どの業界もしくはスタイルがこれから上がってゆくのかを説明してゆきましょう。

この流れを知ると、業界全体がどのように流れているのか分かるでしょう。そして、これからどの業界にブームが訪れるのかも分かるようになるでしょう。

そこで、ラノベブームはなぜ起こったのかをひもといていくと、そのベースには情報通信の発達があります。そしてそれによって起こった、人々の「ライフスタイルの変化」が、業界の流れを大きく変えたのです。

ラノベブームが起こった「原理」

ちょっと長くなりますが、このメカニズムを先にお話ししておきます。

インターネットの登場によって、情報革命が起こりました。それによって、例えば今まで2時間かけなければできなかったことが、さっと調べてさっとやる、みたいな感じで、とても短時間でできるようになりました。すると、人はどんどん作業を詰め込んでいき、作業のサイクルがどんどん早まっていくわけです。同時に、作業と作業の合間にある「細切れ時間」をより有効活用しようという動きが出てきます

日本で、2000年~2010年までの間で最大に勝利した業界はコンビニ業界だったと言えるでしょう。コンビニ業界っていうのは、そういう人々の「細切れ時間」を使ってサービスを提供する、最大のサービス業界だと言えます。

「細切れ時間」が重要になった時代

例えば今までは、会社勤めの人で「家賃を振り込まなきゃ」と思っていたら、お昼休みに昼食を抜いて、銀行まで行く必要がありました。でも、ちょっとの手数料で、コンビニでさっと用件を済ませられる。すっごい便利で助かりますよね。

振り込みだけでなく、公共料金や食べ物、飲み物、雑貨、雑誌や書籍などの娯楽、コピー、荷物の受け取り、発送……そんな風に、コンビニは日々の生活を送る上で必要な機能を、細切れ時間にできるように適応した、そういう新しいライフスタイルに対応した業界だったわけです。だからこそ、ここまで成功したわけですね。

「夜」の過ごし方も変わった

また、今までは昼間が人間活動のメインだったのが、インターネットの登場と普及によって、夜にもいろんな作業ができるようになりました。すると、人々は夜の過ごし方も変わってきます。

それまでは、夜の過ごし方と言えば、お酒でも飲みつつテレビでも見るか、本でも読むか、人と話すか、その程度しかやることはありませんでした

ですが、情報通信が発達したら、仕事もできるしオンラインゲームもできる。メールもできればツイッターでコミュニケーションできるし、ネットで買い物もできればオークションだって、もう何でもできるようになります。

人の「時間」の使い方

人が時間を過ごす大きな分類をいくつかに分けると、次のようなものがあるでしょう。

  • 平日昼間の活動時間帯
  • 平日夜間の活動時間帯
  • 休日(土日)の時間帯

平日昼間は、仕事をしています。これがメインの活動時間帯で、既に埋まっているものでした。

何か物やサービスを売るには、人々の「余った時間」にさせる必要があります。そのため、多くの会社はこれまで、「休日にどのように時間を過ごさせるか」という観点で商品を作ってきました

映画は2時間かけてじっくり見るもので、ゲームも休日に2時間ぐらいかけてプレイする。本も2時間ぐらいかけて読む。食事もレジャーも、2時間ぐらいの単位ずつで楽しむ。

そういうライフスタイルで商品を作ってきたわけです。

「時間の使い方」が変わってきた

ですが、これだけ情報通信が発達してライフスタイルが変化したら、人々は夜にもどんどん作業を押し込めるようになります。そこで、その後は「平日夜間に時間を費やしてもらうために、どれだけ食い込めるか」、さらには「細切れ時間にどれだけ食い込めるか」という観点で商品開発をするようになったわけです。

例えば、家で映画をレンタルしてきて二時間見ると言っても、絶対途中でツイッターとかメールチェックをしたりするものです。二時間で一つのことをするとか、もうライフスタイル的に無理があるんですよ。

だから、どんな商品・サービスでも、とにかく「短く」「すぐに終わる」という傾向になってきているわけです。

ライフスタイルが変わることによる、業界の影響

例えば過去では、日本酒とかウイスキーとか、度数の高いお酒が売れてました。それは、昔は夜にすることがなかったので、「度数の高いお酒をちびちび味わいながら、テレビや本でも楽しむ」というライフスタイルがあったからです。

ですが、今では夜に何でもできるようになったので、「ゆっくりお酒を見ながらテレビを見る」というライフスタイルはなくなりつつあります。そのため、日本酒やウイスキーみたいな度数の高いお酒はさっぱり売れなくなってきています。多くの人が、度数を控えめにしてでも、他の活動をしたいからですね。

動画でも、今では何十分もある動画よりも、五分ぐらいで何かに特化した動画とかが好まれるものです。他にもネットサーフィンでも、五分程度で見られるお笑いに特化したまとめサイトとか、そういう「細切れ時間」でできることをどんどんスケジュールに入れていくようになっているのです。

もはや、「二時間を一つのことに費やす」「半日費やす」「じっくり味わう」というのは、ライフスタイルに合わなくなってきたわけです。

「萌え」業界のブームの変遷

ここで話はラノベブームに戻ります。

ラノベブームも同様に、ライフスタイルの変化がこれを引き起こしたものだったわけです。

ブームの背後には「エロゲ」業界があった

なら背後でどういう変化が起こっていたのかというと、ラノベブームは2005年ぐらいから起こったかなと思いますが、それまではエロゲや美少女ゲームが売れていました。KeyとかLeaf(今のアクアプラス)とかが絶好調だったわけです。これは、一本のゲームでプレイ時間が十時間以上とかかかるわけです。

ですが、その辺から情報通信がどんどん広がってきて、人々は長時間ゲームに時間を割けなくなってきたわけです。

だから、「萌え」「エロ」みたいな要素を含んだ物語は、もっと短い時間で味わえる媒体に、人々は移り始めたわけです。

「エロゲや美少女ゲーム業界」から「ラノベ業界」への移動

ということで、業界全体で見ると、エロゲや美少女ゲームユーザーからプレイヤーが流出して、ラノベ業界はその受け皿になった、ということですね。これが全体像です。

つまり、2005年から今までで最も苦しくなった業界が、エロゲや美少女ゲーム業界だということです。ユーザ数が減っていく状態なのに、開発メーカー数やリリースタイトル数が増えているため、一部を除いてどこも相当厳しい状況になっているでしょう。

ラノベ業界も、これから縮小してゆく

でも、ゲームのプレイ時間十時間以上に比べれば短いものの、ラノベそのものも、一冊読むのに二時間以上はかかります。

なので、ラノベブームの後から今にかけて、人はもっと短い時間帯で味わえる媒体に移りつつあるということです。

それはどういう媒体かというと、次のようなキーワードで表現できるでしょう。

  • より短時間で味わえる。
  • 1回のプレイ(閲覧)時間は、5分程度。長くても10分以下。いつ中断して大丈夫。(短い時間サイクルでゲームや物語を進められる)
  • (必須ではないが)ネットワーク接続を主体としている。
  • プレイ時間が短いので、キャラ数は多くなる
  • 短いながらも、各キャラにはしっかりとした物語、もしくはバックストーリーを含んでいる
  • (必須ではないが)リアルに片足を置いている
  • (必須ではないが)携帯デバイスでプレイする場合、簡単なゲーム要素も含まれていてもよさげ。

次に売れる業界

ラノベの次の受け皿はこれまでばらばらだったような気もしますが、この記事を書いている2014年初頭現在では、「アイドルマスター」もしくはそれに似たSNS系ゲームがそれに近いかなと思います。

そしてつい最近、PC向けではありますが、「艦これ」が人気爆発しました。

これは萌え系も含んで短時間でできるということで、おそらくこれからはこの辺にブームが集約されてくるのかと思います。アイドルマスターは「音楽ライブ」というリアルに、艦これは「史実の艦隊」というリアルに片足を置いていますし。艦これには物語がないっぽいですが、それを各艦の背景的史実(リアルにあった物語)が、その「短い物語」を補完していると言えるでしょう。

なので、アイドルマスターや艦これのような「萌え」+「プレイのライフスタイル」に、何か短くても物語がついたような、そういったものがこれから広がるかと思います。

比較的短時間で、細切れ時間でできて、キャラ数が多く、萌えやエロの物語が手軽に楽しめる……これが、萌え系ゲームとかラノベ業界に携わっている人がさらに上昇してゆく、これからのキーワードになるかなと思います。

これからの「萌え系」業界で上昇気流に乗るために

ということもあって、長時間プレイを強いるような長編ゲームや物語は、これから企画する場合には相当注意が必要になります。というのも、既にそういうのを欲しているプレイヤー層が限られているからですね。これからもどんどんプレイヤー層の流出は広がってゆくでしょう。

また、携帯デバイスでの長編プレイも、ライフスタイル的に厳しいでしょう。実際、じっくりやるなら携帯デバイスではなく、PCでやりたいでしょう。

なので、これから上がっていくメインストリームに乗りたい場合は、「細切れ時間で味わえる」、「高頻度でアクセスできる」、そういう観点を取り入れてみるといいかなと思います。

それが、ラノベの次に来る(もしくは来ている)ブームであるわけですね。

まとめ

  • 人々の「動きの流れ」を見極めるには、「ライフスタイルの変化」に着目しよう。
  • 「細切れ時間」に着目すると、比較的スムーズに新規開拓が可能になる。
  • これからは、「より短時間で味わえる」がキーワードになる。

クレジット

http://www.flickr.com/photos/designandtechnologydepartment/3972595343/ by Jordanhill School D&T Dept (modified by あやえも研究所)
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