“没文章を多く出すことは、胸を張れることではない。それは家を一軒建てるのに、建築資材のゴミを大量に作ったのと同じだ”
プロット作りは、どんな効果があるのか
このページでは、プロットがあることで得られるメリットについて説明しています。
これによって、ストーリーライティングにおいて、プロット作りに時間をかけることがどれだけ役に立つか、理解できることでしょう。
プロット作りで得られる、三つのメリット
人によっては、「プロット作りに時間をかけるなんて、時間の無駄じゃないの?」、「いきなり書き始めた方が、効率的じゃないの?」と思うこともあるかもしれません。
ですが、しっかりと時間を取ってプロットを作ることは、物語の質を高めるだけでなく、効率を高める上でも大切です。
プロットを作ることで、次のような三つのメリットが得られます。
プロットを作ることで得られる、三つのメリット:
- 「無駄な作り替え」を防げる。
- 書いた部分を忘れることができ、頭をフル回転できる。
- 映像作品やゲームなどに参加できる。
以下で、それぞれについて説明してゆきましょう。
メリット(一): 「無駄な作り替え」を防げる
プロットを作ることで得られる一つ目のメリットが、「無駄な作り替え」を防げることです。すなわち、執筆途中で筆が止まることや、矛盾や書き直し等を未然に防ぐことができます。
執筆が途中で止まるというのは、ほぼ間違いなく「考えていないことが起こった場合」です。頭の中だけで流れを構築したのでは、「考えていない点」が抽出できません。書き出すことによって初めて不明な点が抽出できます。これによって、執筆時間の大幅短縮が可能になります。
「何度も書き直す」は、家を建てることで言うと、「何度も家を組み立て直す」ということです。一軒の家を造るのに、無駄な木材や鉄骨などの資源を大量にゴミにするのは、スマートではありません。物語作りでも同じで、設計図があることで「無駄な文章」という資源の浪費を防げるのです。
メリット(二): 書いた部分を忘れることができ、頭をフル回転できる
二つ目のメリットが、書いた部分を忘れることができ、頭をフル回転できることです。
頭の中だけで物語の流れを考えていた場合、目の前のことに集中しにくいものです。というのも、面白い部分を忘れないように頭の片隅にそれを起きながら別のことを考える……という形になるからです。
家を建てる例で言うと、「あそこの廊下はこの幅と高さ、この通路はこの幅と高さ」などと、全て頭で覚えようとしていたらどうでしょう。頭で覚えられる量は、ちっぽけなものです。頭で思い描くだけでは、大きな建築物など到底できないでしょう。
しかし、頭の中にあることを書き出すことによって、それを忘れることができます。それによって、プロットをより詳しく練り込むことができ、頭脳を一〇〇%、目の前のことに集中できるようになります。
メリット(三): 映像作品やゲームなどに参加できる
三つめのメリットが、映像作品やゲームなどに参加できるようになる、ということです。
プロットは、複数人数で作る場合、特に重要になります。
小説を書くなら、一人で大丈夫かもしれません。しかし、貴方の作品が映像化される場合や、舞台化、漫画化、ゲーム化される場合、どうなるでしょう。もしくは、自らそのような企画に参加するチャンスを得た場合、どうなるでしょう。
複数人で制作する場合、監督や制作元に、物語の概要や流れを分かりやすく伝える必要があります。物語や流れの打ち合わせをする必要もあるでしょう。
その場合に、全体の流れを分かりやすく記したプロットが必要になるのです。
雑談コラム:プロットを作ると、書く時の面白さがなくなる?
入門者の方で、「プロットを作り込むと、執筆が単調作業になってつまらなくなるんじゃないの?」と思う人もいるかもしれません。特に、「先が読めると、面白くなくなる」と思い込んでいる場合に、これは起こりやすいものです。
ですが、もし先が読めて面白くないのであれば、同じ漫画を二度、三度と読み返す人はいなくなります。本質的に面白い物語は、何度読んでも面白いのです。コアなファンになると、決めゼリフまで覚えていることもあります。
だから、「プロットを作り込むと、執筆は単調作業になってつまらなくなる」と心配することはありません。プロットを作り込むことで、そのつまらなくなること自体を回避することができるのです。
まとめ
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