“世界観とキャラクターに、’その設定である理由’はあるか?”
魅力的な設定を作る「メタファー」という技術
このページでは、魅力的な設定を作る技術「メタファー」について説明しています。
これによって、より魅力的な世界観やキャラクター設定を作ることができるでしょう。
魅力的な設定を作るための技術
物語を作る上で、舞台となる世界観や、登場するキャラクターを設定する必要があります。
では、「魅力的な世界観」、「魅力的なキャラクター」とは、一体どのような形のものでしょうか?
結論から言うと、「魅力的な設定」とは、「意味のある設定」のことです。
物語にはテーマがありますが、そのテーマを強化する設定であれば、それは魅力的な設定になります。逆にテーマに関連しない設定は、無駄な贅肉にしかなりません。
テーマに関連する設定をどれだけ作り込めるか、それが設定作りで重要となります。
意味のある設定を作る「メタファー」
その「意味のある設定」を実現する技術が、「メタファー」です。
物語にメタファーを追加することで、魅力的な設定を実現することができます。
このメタファーという技術は分かりにくいので、まずは実際に、優れたメタファーの例を見てみましょう。
メタファーの例:ディズニー制作映画「カーズ」
ディズニー・ピクサー制作の映画で、「カーズ」という作品があります。この映画の登場人物は全て車であるという、ちょっと変わった世界観を持っています。
物語の主人公であるマックイーンは、レースカーの新人ホープです。しかし主人公はあるとき、間違って寂れた田舎町に迷い込んでしまいます。主人公はそんな寂れた田舎町の人たち(車たち)と触れ合うことで、「スピードを出して生きるだけが全てじゃない」と知ってゆきます。
すなわち、テーマとして、現代のファストライフとスローライフの問題を扱っているわけです。このファストライフとスローライフの関係を、視覚的に分かりやすく表現したのが「車の世界」だと言えます。
すなわち、「登場人物が車である」という設定は、テーマと密接に絡み合った意味がある、ということです。
メタファーの例:物語「ピノッキオ」
別の例として、「ピノッキオ」があります。これは有名なので、知っている人も多いでしょう。
主人公のピノッキオは、ゼペットじいさんが作った、木でできた操り人形です。すると魔女が登場して、「ピノッキオがいい子になれば、人間にしてあげます」と言います。ピノッキオは悪さをしてゆくのですが、最後に命をかけておじいさんを助けます。それによって、ピノッキオは「人間」になることができます。
この「ピノッキオは操り人形である。そして人への愛情を知ると、人間になれる」という設定には、テーマと密接に絡み合った意味があることが分かります。
「操り人形」が「他者への愛情を持たない状態」を意味して、「人間」が「他者への愛情を持つ状態」を意味しています。
このように、テーマと密接に絡み合った設定が、魅力的な設定であると言えます。
象徴と暗喩
ならば、どのようにすれば、そのような効果的な設定が作れるのか。それが、メタファーという技術を用いる、ということです。
「メタファー」とは、「暗喩」を意味します。分かりやすく言うと、メタファーとは「たとえ話」だと思えばいいでしょう。
先に示した「カーズ」や「ピノッキオ」では、「登場人物が車で、世界観が車の世界」であったり、「主人公が操り人形で、目的を叶えれば人間になれる」という設定がありました。これらは、内容を分かりやすくするための「たとえ話」だと言えます。
効果的な設定とは、そのような「効果的なたとえ話」ができるかどうかである、ということです。その「たとえる技術」をメタファーと呼びます。
神話や童話は、メタファーが強い
神話や童話などは、多くの場合、強いメタファーを持ちます。
例えば童話の「北風と太陽」があります。北風と太陽が旅人の服をどうやって脱がすかを試す話は、人を動かす教訓の強い暗喩になります。また、「醜いアヒルの子」や「ウサギとカメ」、「花さかじいさん」など、長く語り継いだものには強い暗喩を持ったものが多いものです。
そしてこれらの世界観やキャラクター設定には、強い意味があると分かるでしょう。
メタファーとは、そのような「設定の意味」を作る技術になります。
まとめ
クレジット
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