今日は、「人を変える方法」についてお話ししてみましょうか。
「どうせあんたのことだから、『人は変えられない』なんて言うんでしょ?」とか言われそうですが(笑
いや、まさにそれもあるんですが、今回は「人を変えたい人のための、人を変える方法」ということで、ちょっとお話ししてみましょう。
人を変えたい時は、自分の中にコンプレックスがあると気づく
人を変えたい時って、ありますよね。
「そんなんじゃダメだ」とか、「こうしないと無理だよ」とか言いたくなることもあるんじゃないかと思います。
まぁ心理学的に言うと、何か人に「それがダメだ」と、その人の持つ要素を否定したい場合、ほとんどの場合、それを言う本人がそれについて劣等感を持っているものです。
つまり、言い換えると「それだとダメだよ」イコール「私はその要素を持っていて、自分はその要素にコンプレックスを持っています。だから周囲の人がそれをやっているのを見ると、自分の悪い点を見ているようで腹が立ちます。私は自分の悪い点を見たくない。だから、貴方、それをやめなさい」と言っているのと同義なわけです。
例えば、「そんなに太ってたら、モテないよ。やせなきゃだめだよ」と人に言ったとしましょう。
すると、実は言った本人が「私はモテません。モテない理由は、太っている原因にあると思い込んでいます。そしてそれがコンプレックスです。だから、人が太っているのを見ると、自分のコンプレックスを連想することになるので、腹が立ちます。なので、貴方、太っているのをやめなさい」と言っているわけです。
実際のところ、タレントの石塚君のような太ってる人でも、モテますよね。
世の中にはデブ専とかいう人もいるんですから(笑
劣等感がなければ、別に気にならないものなんですよ。
だから、他の人を否定したくなった場合、本当は自分の中にあるコンプレックスが問題だと気づくことが、まずは最初ですね。
それでも人を変えたい!という場合の考え方
で、その後に、それでも本当に変えたい場合はどうするのか、というのが今日の本題です。
ほとんどの場合、「それじゃダメだよ」とか「こうしなさい」と言っても、人は受け入れませんよね。
これは、人に正論を言われると、「放っておいてくれよ」という反発心を生んでしまうためですね。
というのも、人を否定するということは、「ありのままのその人」を受け入れていないことになるわけです。
つまり、アドバイスをする側は「条件付きの愛」を押しつけることになって、「こうすれば、貴方を愛してあげますよ」というのと同じなわけです。
自分のことを完全に愛している人の言葉なら受け入れるでしょうが、自分のことを愛してもいない人の言葉なんて、受け入れたくないでしょ。
だって、敵対者の言葉を素直に受け入れる人なんて、いませんよね。
むしろ、敵対者の言葉には従わない方が、人間としては生存率が高くなるわけです。
それと同じで、相手を否定するということは、「私は貴方の敵です。敵の言うことを聞きなさい!」と言っているようなもので、受け入れられないんですよ。
現状維持システムがあるから、「変えなきゃ」と思っていても変えられない
もし相手が「確かに、このままじゃダメだ」と思ったとしても、結果は同じです。
というのも、「これじゃダメだ」と思ったら、「こうしなきゃ」という「しなければならない」になってしまうわけです。
本人が本当に必要だと思えば、実行するものなんですよ。
本当にそれで生活できなくなったり、命に影響が出るようであれば、人は自然とモチベーションが上がるようになっているものです。
「火事場の馬鹿力」とか言うように、必要であれば、驚くような力が発揮されるわけです。
でも、必要でないから「しなければならない」と言わなきゃいけないわけです。
すると、人には強烈な現状維持システムが働くので、「しなければならない」は、それが必要でないほどしないものなんですよ。
人を変える言葉「そのままでいいよ。そのまま死んでしまいなさい」
じゃあ、どう言えば人は変わるのか。
少なくとも、変わる可能性が出るのか。
その一つの方法を、ご紹介しましょう。
その「人を変える言葉」とは、「そのままでいいよ。そのまま続けて、そのまま死んでしまいなさい」です。
「人を変えたいのに、『そのままでいい』とか、オマエは何を言っているんだ!?」とか言われそうですが、まぁちょっと私の話を聞いてください(笑
これは実際に私が尊敬している人で、徳のある人がいたんですが、その人が本の質問コーナーでこの言葉を使っていたんですよ。
他の場所では優しい言葉なのに、その箇所だけこういう言葉で、当時は「なんて冷たいことを言うんだ!」とか思っていたんですが、原理が分かったら、これほど人を変える優しい言葉はないな……と思うようになったわけです。
実際のところ、相手を否定するアプローチで「こうしなさい」では、相手を変えることはできないわけです。
前述したように、相手はこちらを敵だと認識してしまうためですね。
そして、「しなければならない」でも、人は現状維持システムが働くので、変えることができません。
人が変わるのは、命に影響するような危機があって、初めて変わることができるものです。
この「命への危機」というのは、現状維持システムよりもはるかに強い「危機管理システム」なので、楽々と現状維持システムを乗り越えることができます。
だから、よく「人は、大きな痛手を負った時しか本当には変われない」と言われるわけですね。
実際に、私が大きく変わったのも、大きな痛手があった時だけでしたし。
言葉で人が変わるメカニズム
実はほとんどの場合、相手も「このままじゃダメだ」と思っているものなんですよ。
「このままじゃダメだ」というのは、人に言われるまでもなく、自分自身が自分に対して何度も語りかけているものです。
つまり、ほとんどの場合、「自分が自分に対して、敵の立場から脅迫している言葉を投げかけている」と言うわけです。
だから、人は変われないんですよ。
でも、そこで「それでいいよ。そのまま死んでしないなさい」と許可を与えると、それが反転して、その人の心には「……それは嫌だな」という気持ちが芽生えるわけです。
そして、「そのまま死ぬ」というビジョンを描くと、その人に痛みが走ります。
というのも、「そのまま死んでしまう」というのは、まさに命の危機ですよね。
だから、その「死ぬ」というビジョンを描ければ、現状維持システムを乗り越える危機管理システムが発動するわけです。
そうすることで、人は変わることができるわけですね。
まとめ:人や自分を変えたいなら「そのままでいいよ。そのまま死んでしまいなさい」を使う
だから、本当に人を変えたい場合は、「こうしなきゃダメだよ」とか、「こうしなさい」というのはあまり効果的ではないでしょう。
影響力を持って言いたいなら、「そのままでいいよ。そのまま続けて、そのまま死んでしまいなさい」と言う方が、まだいいかなと思います。
「一生そうしてろ」は、ちょっと愛情がない言葉なので、よろしくないかなと思います。
「そのままでいいよ」と、しっかりと相手を受け入れることが、一つのコツでもありますので。
すると、相手が本当に「このままじゃダメだ」と思っていて、そして死のビジョンをそのときに描いて恐怖を感じることができれば、変わり始めることもあるでしょう。
まぁ、いつも変わるとはさすがに言えませんが(笑
ですが、少なくとも「こうしなさい」よりかは、効果があるかと思います。
そして、これは自分自身を変えたい場合にも使えます。
「こうしなきゃダメだ」と言っても、ほとんどの場合、自分を変えることはできないものです。
そこで、「これでいい。このまま死んでしまいなさい」と自分に許可を与えることで、「やっぱりそれは嫌だ」と行動できるようになる……ということですね。
ってことで、今日はそんな、人を変えるお話と、自分を変えるお話をしてみました。