久しぶりに、がっつり心理学についてお話してみましょうか。

今日は、劣等感と「インナーチャイルド」についてのお話です。

 

劣等感って、ありますよね。

まぁこのブログでも一つのメインテーマなのでよく出てきますが、「私は劣っている」とか、「自分はダメな奴だ」というような思いのことですね。

これがあるために、失敗を恐れたり、挑戦できなくなったり、行動できなかったり、夢を叶えることから遠ざかってしまったりするわけです。

じゃあ、その劣等感は、どういう風にして生まれたのか、そして劣等感をなくすにはどうすればいいのか、それをがっつりと見てゆきましょう。

 

「幼児的願望」のお話

私たちは、赤ん坊として生まれますよね。

でも、人間って、他の動物とは違って、すごく未熟な状態で生まれるんですよ。

というのも、人間は二足歩行をするようになったので、骨盤の大きさに制限がかかって、お腹の中で十分に育てられなくなったからですね。

だから、馬とか牛とかは、すぐに立ち上がることができるんですが、人間の赤ん坊は超未熟で、自分では何もできないと。

 

赤ん坊は真っ白で純粋とか言いますが、実はすっごい欲求の塊なんですよ。

というのも、未熟だから自分では何もできないからですね。

なので、お世話をしてもらう必要がある時は、泣くことで世話を要求するわけです。

でも、そういう時に、母親がすぐに対応できなかったり、放って置かれたり、ぞんざいな扱いをしたり、イライラして責めたりすることがあるものです。

赤ん坊にとっては、「母親から見放される」ことは、すなわち死を意味します。

だから、成長に従って、母親の対応によって、自分の欲求を抑えつけてでも「母親の希望に添う」ことを優先することが多々あります

 

この、自分の欲求を抑えつけることを、「抑圧」と言います。

この抑圧は、1歳ぐらいの小さい赤ん坊でも行うものです。

そりゃそうですよね。少しでも生存率を上げるためには、赤ん坊も必死ですから。

未熟な状態で生まれるから、母親(もしくは養育者)に長期間依存するわけで、だからこそ多くの欲求を抑圧してでも、母親に適応する必要があるわけです。

 

実は、赤ん坊や幼児にはいろんな欲求があり、それらをまとめて「幼児的願望」と呼びます。

それらの幼児的願望には、以下のようなものがあります。

  • 要求を叶えてもらいたい
  • 守られたい
  • 喜ばれたい
  • 自分の気持ちを理解して欲しい
  • 愛情やものを独占したい
  • 優越したい
  • 何でもできるようになりたい
  • 褒められたい

例えば「要求を叶えてもらいたい」という欲求というのは、ご飯を与えてもらいたい、おむつを替えて欲しいとか、抱っこして欲しいとか、まぁそういうものですね。

「守られたい」というのは、親に自分を見ていて欲しいとか、不安から守って欲しいとかです。

で、実はこれらは、満たされれば、成長と共に消えてゆくものです。

例えば、「何でもできるようになりたい」という願望は、自分で服を着ることができるようになったり、食べたり、トイレに行ったり、そういうことを全て自分でできるようになりたい……という欲求なので、そういう「自分のこと」ができるようになったら、普通は自然と消えてゆくものです。

だから「幼児的願望」と言うんですが。

 

幼児的願望は、満たせば消える

これは重要なので繰り返すと、幼児的願望は、満たせば満たすほど、早く消えてゆきます

つまり、幼い頃は「甘やかす」、「無条件に愛する」ことが重要になるわけですね。

逆に、そういう幼児的願望が満たされないと、ずーっとそういう幼児的願望が続いてしまうわけです。

そういう子は、おねしょが続いたり、朝にグズグズしたり、いつもケンカをしたり、そういう「問題行動」に出てくるわけなんですが。

 

そして抑圧をした場合も、その幼児的願望は満たされずに放って置かれます。

例えば、母親が、まだ自分の力ではできない子に「いつまで私の手間をかけさせるの!」と怒ったとしましょう。

本当は、子どもも「全部自分でできるようになりたい」っていう願望はあるんですよ。

でも、それが自力でできない状態で、親からそんな風に責められると、子は親から見捨てられるのは死を意味するので、「要求を叶えてもらいたい」欲求や、「自分の気持ちを理解してもらいたい」という欲求を抑圧します。

そして、子どもは自分で何でもできるように、無理をして努力をするようになります。

「私は、頑張らなきゃ生きていけない」と思って。

親にとっては、子の成長が早くて楽をできるんですが、子はその幼児的願望を満たすことを捨てているわけです。

だから、結果としてその幼児的願望は満たされずに、ずーっと「要求を叶えてもらいたい」、「自分の気持ちを理解してもらいたい」という気持ちを、大人になっても引きずって、持ち続けるわけです。

 

「インナーチャイルド」のお話

そして、そのような幼児期に作られた性格で、大人になっても残ってしまっている性格のことを、「インナーチャイルド」と呼びます。

つまり、インナーチャイルドというのは、「抑圧によってできた性格」とも言えるでしょうし、「幼児的願望が満たされなかった性格」とも言えるでしょう。

インナーチャイルドには結構いろんな性格の切り口があるんですが、代表的なものには、以下のようなものがあります。

  • 欠陥品の子: 「自分は生きている価値はない」、「自分は欠陥品だ」と思っている性格。
  • 責められる子: 「自分はひどい扱いをされる子だ」、「自分が周囲の不幸の原因だ」と思っている性格。
  • 見捨てられる子: 「誰も自分を助けてくれない」、「誰も自分を本気で愛してくれない」と思っている性格。
  • 失敗する子: 「何をやってもダメな子だ」、「どうせ失敗する」と思っている性格。

重複して持つ場合もありますし、全ての性格を持つことも多々あります。

ちなみに私の場合は、幼い頃から「欠陥品の子」、「責められる子」、「見捨てられる子」の三つを持っていました。

 

そして、これらの性格ごとに、次のような3つの行動パターンがあります。

  • 服従モード: 周囲の人の価値観に、言いなりになる行動パターン。
  • 逃避モード: 問題が起きるような出来事や状況から逃げる行動パターン。
  • 過剰補償モード: 問題を起こさないように、頑張って頑張って、頑張り続ける行動パターン。

例えば、「欠陥品の子」という性格があった場合、「服従モード」であればただただ我慢するだけだったり、卑屈になったりいじけたりする、という行動を起こします。

「逃避モード」であれば、「自分は欠陥品だ」というのがばれないように、人との関わり合いを避けたり、目立たない行動を起こすようになります。

「過剰補償モード」では、「私は価値ある人間だ」ということを証明しようと、頑張って頑張って、自分の外側に名誉や地位を配置して、「自分は欠陥品だ」という思いを否定しようとする行動を起こします。

これには「日常時のモード」と「非常時のモード」があり、例えば日常は「過剰補償モード」だけど、ピンチの時や非常時には「服従モード」になるなど、入れ替わることがあります。

 

私の場合、「欠陥品の子」という性格では過剰補償モード、「責められる子」では逃避モード、「見捨てられる子」も逃避モードが、日常的な行動パターンになりがちです。

すると、私の場合は、毎日すっごい頑張って、でも非難されるのや嫌われるが怖くて人と深く付き合うのはやめる、というような行動パターンができていたわけですね。

 

夢が叶わないメカニズム

そんな風に、劣等感がある人の中には、幼い頃に抑圧して満たされなかった幼児的願望が残っている、ということですね。

それを、本人が気づかない間に、潜在意識レベルで「これが欲しい、これが欲しい!」という行動を促しているわけです。

例えば、「見捨てられる子」で「逃避モード」の人がいたとしましょうか。

こういう人は、人から嫌われるのを恐れて、深い付き合いをしない傾向にあります。

だから、どんなに「素晴らしい恋愛をしたい!」、「最高のパートナーが欲しい!」と思っていても、いざそういう人が目の前に現れたら、「嫌われるのが怖い」というインナーチャイルドの性格が発動するわけです。

そして、「嫌われるぐらいなら、付き合わない」という道を選ぶわけですね。

これが、自分の願いや夢が叶わないメカニズムです。

 

どんなに欲しくても、どんなに頑張っても、夢が叶わない。

なぜか。

それは、インナーチャイルドがいるためです。

インナーチャイルドが、「それを望んでいない」からです。

だから、「自分でその夢が叶わない状態」を選んでいるわけです。

そっちの方が、安心だからですね。

実のところ、「夢が叶わない」という理由は、ほぼ100%、このインナーチャイルドによるものです。

 

幼い頃は、このインナーチャイルドの性格は、生き抜くために重要でした。

でも、大人になったら、このインナーチャイルドの性格は不要になるものですよね。

むしろ、夢や願望を叶えるのには、足かせになってしまっていると。

なら、そのインナーチャイルドを、何とかしたい。

じゃあ、どうすればいいのか。

 

インナーチャイルドの問題を解決する、ふたつの方法

で、再度考えてみましょう。

実はそのインナーチャイルドの性格というのは、「幼児的願望」が満たされなかったことによって起こっているわけです。

なら簡単なことで、その幼児的願望を満たしてやればいいわけです。

大人になった今から、親にできなかったことを、自分が自分に満たしてあげると。

 

この幼児的願望の満たし方はいくつもあるんでしょうが、私は次の二つが簡単にできて、効果があるかなと思います。

  • ひとつは、自分で過去の抑圧した場面に戻り、その過去の記憶を書き換える
  • もうひとつは、自分で自分の幼児的願望を満たすように、自分を優しく扱う

 

一つ目は、自分で過去の抑圧した場面に戻り、その過去の記憶を書き換える、というものです。

これは、その抑圧した時のことを思い出して、そこで震えて泣いている自分を助け出すことです。

泣いている幼い自分を抱きしめて、「大丈夫だよ」と言って、安心させることですね。

幼い自分が泣き止むまでなぐさめると、すーっとその抑圧は消えてゆきます。

それを、抑圧した過去の数ほど、繰り返すということです。

これは相当効果があります。

 

また、ふたつ目は、幼児的願望そのものを、今から自分に与えるということですね。

親や周囲の人は、もはや誰も自分の幼児的願望を満たしてはくれないものです。

だから、自分で自分に優しくするわけです。

上記で説明した、「幼児的願望」の一覧を見てみましょう。

それで、自分に欠けていると思っている内容を、自分で与えるわけです。

自分が自分の最大の理解者になり、自分をとにかく大切に扱い、優しくして、甘やかすということですね。

これは人によっては、「自分を甘やかすと、際限なく落ちぶれていきそう」という恐怖が出てくるでしょう。

「頑張るのをやめたら、自分はきっと、壊れちゃいます!」、みたいな。

実のところその恐怖は、「幼児的願望を出す=死」に関連づけられただけの幻想でしかないんですが、もし恐怖が強すぎて行動に起こす勇気が持てない場合、一つ目の過去を書き換える方を使うとよいでしょう。

 

そんな風に、私たちの夢が叶わないというのは、劣等感、すなわちインナーチャイルドに原因があるわけですね。

逆を言うと、満たされなかった幼児的願望が、今の「満たされない現実」を作り出しているわけです。

それらが全て満たされた人は、毎日に幸せを思う存分味わい、挑戦して、自分の思い描くような、希望にあふれる楽しい毎日を過ごしているわけです。

いや、もちろん困難はあるでしょうが、少なくとも、「私はダメな人間だ」なんて劣等感は持たないと。

喜怒哀楽を自由に表現できて、感情をその場その場で処理して、毎日を充実して生きることができるわけです。

 

まとめ

そういう心のメカニズムがある、ということですね。

実のところ、このブログでいろいろ言っていますが、これがある意味、究極の根本要因でもあるわけです。

なので、こういう「インナーチャイルド」という観点で自分の心に向かって、解決すると、すごく生きやすくなるかと思います。

かつての私も、一度大きくこれらの過去の抑圧を多く解放したことがあるんですが、全身を縛り付けていた鎖が砕け散ったかのような、そんな感覚すらして、すごく楽になれたんですよね。

 

ということで、劣等感を何とかしたい方や、夢を叶えたい方は、内面を見て見ることをオススメしておきます。

それが、ひとつの夢を叶える方法になるかなと思います。

 

ま、またいつか、詳しく話します。

もしくは、本でも書ければな~と。

 

今日のお話は、ここまで!

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