今日はちょっと、心理学についてお話してみましょうか。
名付けて、「『こんな現状はもう嫌!』という人向けの、現状から抜け出せる一つの考え方」です。
私たちには、「こういう現状は嫌!」って思っていても、なかなか一歩を踏み出せないことがありますよね。
いわゆる、「ぬるま湯につかっている」状態というか。
好きなことができない、嫌いな仕事をしなきゃいけない、嫌いな人と付き合わなきゃいけない、ストレスの多い毎日を過ごさなきゃいけない……そう思っていても、なかなか「よし、やろう!」と本気になれないものですよね。
人はなかなか変われない、「ホメオスタシス(恒常性)」という原理
というのも、人間には「ホメオスタシス(恒常性)」という仕組みがあります。
これは「人は同じ環境に居続けようとする」という傾向がある、ということですね。
ちなみにこの「ホメオスタシス」という用語は、元々は生理学用語なんですが、最近は幅広い用途で用いられていて、社会学やら心理学でも使われるようになってきていたりします。
例えば、ずっと散らかった部屋に住んでいた人がいたとしましょうか。
その人が旅行で旅館に行って、綺麗な和室に入ったとしましょう。
「わぁ、綺麗~!」と最初は綺麗な部屋に喜ぶのに、その日の晩にはもうぐちゃぐちゃになって、翌朝にはペットボトルやらお菓子の袋が散乱して、ほぼ部屋と同じぐらいの散らかり具合になっているものなんですよ(笑
部屋が汚い人は、「まさに!」とうなずいてもらえそうですが(笑
なぜ多くの人の「夢」が叶わないのか
人はそんな風に、「慣れ親しんだ環境」に居続ける傾向にあるわけですね。
これは人がサルから分化した大昔からの危険回避システムで、「昨日まで生きてこられた環境」というのは、どんなにひどい環境だったとしても、「生きることは可能」になります。
つまり、人は「日常をどのように過ごすか」においては、「死のリスクがあるけど、豊かになる可能性もある、未知の場所」よりも、「豊かになれなくても、死のリスクがない、見知った場所」に居続けようとするわけですね。
そっちの方が、生存率が高かったわけです。
そうでないアプローチをした種族は、死んじゃったと。
だから、人間はそういう進化を遂げて、生き残ってこられたわけです。
だから、「ここにいれば、死ぬことはない」という環境の場合、もう非常に強力な「ここにいろ!」という人間の生物学的なシステムが働いてしまうわけです。
なので、変化できずに、ぬるま湯につかりきってしまうわけですね。
これに対抗するというのは、言うなれば「人間のDNAに対抗する」というのと同じようなもので(笑
ただ単純に「こんなのは嫌だ」、「こうなれたらな」程度の力では、この牙城を攻略できないわけですね。
さらには「努力」や「頑張る」でも、一時はよくても、長期的にはほぼ攻略できないものです。
だから私たちは、そう簡単に「夢を叶える」ことができないわけです。
では、そんな難攻不落の要塞を落とすには、どうすればいいか。
どんな心理メカニズムで対抗すればよいのか。
「現状」を打ち破るための、「与えられた環境を楽しむ」というアプローチ
なら、「現状」から出るには、その生物学的なシステムを打ち破ればいいわけです。
「頑張る」とか「努力する」という根性論ではなくて、生物学的システムを攻略する仕組みを持った、そういうシステムで乗り越えればいいわけですね。
そこで私が提案するのは、「与えられた環境を受け入れて、楽しむ」という方法です。
これはどういうことかというと、まずは「与えられた環境」を受け入れることですね。
これは「楽しむ」ことを選べば自動でついてくることではありますが、必要な心理メカニズムなので説明しておきます。
「今は嫌いな仕事をしている。今は嫌いな人と付き合わなきゃいけない。仕方ない、これは自分が今まで生きてきて回避できなかった、自分の責任だ」と、現状を認めることですね。
そうすることで、まずは「現状そのもの」を認識することができます。
「楽しもうとする」ことが、現状から抜け出せる道を見つけてくれる
次に、「その現状を楽しむ」ということです。
言うなれば、現状を「ゲーム化する」とでも思えばいいでしょう。
これは後で詳しく説明しますが、「楽しむ」そのものは重要ではありません。
「楽しむ」というよりも、「楽しもうとする」こと自体が、現状から抜け出せる方法を導き出してくれるんですよ。
今、いろんな障害とか、面白くない問題とかがあるものですよね。
そこで現状をゲームのように楽しもうと思えば、「私が今いる、問題のある現状の世界」から一歩引いて、一度俯瞰して、「楽しむためのゲームのルール」でも何でも、何か決める必要がありますよね。
好きな誰々に声をかけられたら何点得点で、嫌いな人に声をかけられたら何点失点、とか。
残業を押しつけられたら何点失点、でも会社から抜け出せる方法を宝探しのように見つけられたら、何点得点、みたいな。
「楽しもうとする」と、「現状から出てしまっている」という原理
そういう風に、現状を楽しむようになるには、「自分を取り巻く環境」を再認識して、俯瞰して見る必要があるわけです。
「現在、あの嫌いな人があの場所にいて、こちらに向かっています。主人公の私が取り得る行動は?」みたいに。
すると、実はそれだけで、「現状」から出ているわけです。
というのも、「自分を取り巻く現状を俯瞰してみる」という行為自体が、「現状」から出ないとできませんよね。
そんな風にしていると、今まで見えなかった「現状から出る方法」が見えてくるんですよ。
今までは、「あの人は嫌だなぁ」っていう次元でしか考えられなかったことが、「あの人はこういうパターンがある」と気がつけるわけですね。
すると、今まで得られなかった解決策が、いとも簡単に解決するヒントが得られるようになりますよね。
そして、その解決策をすんなり実行できると。
これは「慣れ親しんだ嫌な環境から、抜け出せた」、つまり「ホメオスタシスを攻略した」と言えますよね。
「散らかった部屋」を克服する考え方
別の例で言ってみましょうか。
先にも例として出した「散らかった部屋に住んでいる人」で考えてみましょう。
「もう、散らかった部屋は嫌!」って思っていても、ホメオスタシスが働くので、新しい環境(綺麗な部屋)に行っても、一晩で元通りに散らかってしまうわけです。
その「現状」では、「どうすれば部屋を綺麗にできるのか」といういい方法は思いつかないわけです。
無理して部屋を片付けたとしても、すぐに戻ってしまうと。
でも、そこで「散らかった部屋を楽しもう」とするわけです。
「楽しもう」と思えば、まずは散らかった部屋を受け入れることができますよね。
「しょうがない、自分が散らかしたんだ」と、現状を認識できるようになります。
そして散らかった部屋を楽しもうとするには、「自分を含めて、散らかった部屋に何があるのか」を俯瞰して見る必要がありますよね。
いわば、幽体離脱でもして、自分を外から眺めてみるわけです。
すると、「ペットボトルやらお菓子の空き袋がある」と気がつくものです。
「この部屋には、こんなにもモノがあったのか」と意識できますよね。
他にも、「なんか自分の周りばっかりにゴミが多いな」とか、「リビングの周りにゴミが多いな」とか気がつくと。
俯瞰して見ると、「現状の外」にある解決策が見える
そうして現状の外から、「自分を含めた世界の相互作用」を眺めていると、ふいに今まで見えなかったことに次第に気がつくんですよ。
それは、「あれ? リビングに、ゴミ箱がないぞ?」というシンプルなことかもしれません。
さらに一歩引いて見ると、「台所で処理すればいいのに、わざわざリビングにお菓子を持ってきて、食べていた」という行動パターンかもしれません。
すると、「別にリビングにゴミ箱がなくても、これを処理すればいいか」と分かるものです。
もっと一歩引いて見ると、「会社帰りに、近所のコンビニで、無意識にお菓子の袋を買っていた」という習慣に気がつくかもしれません。
すると、「無意識の買い物をやめれば、ゴミ箱とか台所で食べるとかすらしなくていい」と分かるでしょう。
だったら、「ただ、リビングにゴミ箱を用意すればよかっただけなんだ」、「コンビニに寄らなきゃよかっただけなんだ」と気がついて、あっさり解決しちゃったりするんですよ。
ホメオスタシス内にいると、解決策は永遠に見えない
重要なのは、今まで見えなかった道が見えるようになる、ということですね。
ホメオスタシスの中にいると、その世界でしか見えないわけです。
見えないこと、すなわち「盲点」がいっぱいなわけですね。
だから、「嫌だ、嫌だ」と不平不満を言っているだけでは、永遠にその現状から抜け出せないわけです。
夢があったとしても、永遠に叶わないと。
でも、その世界から一歩カメラを引いて、俯瞰して見ると、その世界の相互作用が見えるわけです。
そして、その「一歩カメラを引いた視点」という時点で、既にホメオスタシスから外れてますよね。
すると、ホメオスタシス外の観点から物事を考えられるようになるので、意外なところから解決策が見えるようになるものなんですよ。
さらには、ホメオスタシスから外れているから、解決策を理性的に選択することができると。
だから、「決死の覚悟で」とか勇気を出して実行しなくても、すんなり行動できるわけですね。
人が成長する時とは、「ホメオスタシスから外れる時」
人が成長する時って、そういう感じですよね。
今まで「絶対にできない」と思っていたようなことが、ふとしたことで、「何でこんなに簡単に解決できることに、今まで気がつかなかったんだろう」って感じになるものですよね。
いわば、魂が一つ成長する、みたいな。
「今までの思考の枠組みから、一つ大きく考えられるようになった」……そういう表現がぴったりですよね。
古い「現状」では「部屋が汚いのは嫌だ、嫌だ!」という次元でしか思考できなかったわけです。
でも、その思考の次元を一つ変えて見ると、「あ、ゴミ箱を置けばよかっただけなんだ」って気がつくわけです。
この「気がつくメカニズム」を使うことで、ホメオスタシスという難攻不落の要塞を攻略できるわけですね。
そして、このメカニズムを、システマティックに、意図的に起こして行くことで、次々と「こんな現状は嫌!」という現状から抜け出せる方法が見つかるんですよ。
「楽しむ」でなくとも、現状から抜け出せる方法はある
今回は「楽しむ」という手法を提案しましたが、実は、「ホメオスタシスから一歩引いて見る」ことができれば、「楽しむ」でなくともよかったりします。
例えば洗脳理論で有名な苫米地英人氏は、「既に達成したかのように振る舞いなさい。すると、それを達成する方法が見えてくる」と言っていたりします。
これも原理は同じで、「現状」から一歩引いて見ることで、気づきを得て、変化できるわけです。
私は「楽しむ」ということを通して、今回の上記のメカニズムに気がついたんですよね。
そして、「楽しむ」というアプローチの方が、私の中ではしっくり来たと。
このメカニズムを使えば、「夢」も次々実現できる
そんな風に、「自分の人生を楽しむ」というアプローチでも何でもいいので、「現状を認める」ことと、「現状から一歩出て現状を見てみる」と、どんどんいろんなことに気がつくんですよ。
「時間がないなぁ」と思っていたら、それを楽しんでみようとするといいでしょう。
「時間がない現状を楽しむには、どうしたらいいかな」と、自分の生き方を客観的に見ると、「あれ? 会社から帰ったら、なんか無意識にリビングのソファーに座って、テレビのスイッチを入れてるぞ?」とか気がつくわけです。
「お金が稼げないなぁ」と思っていたら、それを楽しんでみようとするわけです。
「お金がない現状を楽しむには、どうしたらいいかな」と、自分の生き方を客観的に見ると、「あれ? なんか自分って、全然売るための商品を持ってないぞ?」とか気がつくわけです。
すると、ホメオスタシス内でもがくことなく、あっさりと行動できて、解決できるんですよ。
そんな風に考えていると、今まで「嫌だ、嫌だ」と何年かけても解決できなかったことが、あっさり叶っちゃうものなんですよ。
そして、「夢」ですら、あっさり叶ってゆくと。
まとめ
この思考のメカニズム、分かりますかね?
とにかく簡単に言うと、「現状から抜け出したければ、現状を楽しもうとしなさい。すると、現状を俯瞰的に見る必要が出てくるので、その視点で物事を見ていると、現状からすんなり抜け出せる方法が見つかりますよ」ということです。
もっと分かりやすく説明できる方法を見つけたら、また説明しようと思います。(=▽=)
今日のお話はここまで!