さて、今日は親子関係の心理学について、お話でもしてみましょうかね。
以前(記事「なぜ老後の心配をするのか」)でもお話しましたが、今回は「親の介護」について、もうちょい別の観点から書いてみましょう。
今回は、「親の介護をすることが、親を幸せから遠ざけることもあるよ」、というお話です。
親の介護を「してあげる」ことが、親を不幸にするという考え方
以前の記事でも言ったことをおさらいすると、なぜ人は老後を心配するのかというと、「今、自分の人生を生きていないから」ですね。
悔いのないように自分の人生をしっかりと生きていれば、老後の心配なんかしません。
道半ばで倒れたとしても、それはそれで満足できます。
だから、「老後の面倒を見てあげる」ことがその人の幸せになるわけではなくて、「悔いのないように生きさせてあげる」ことが、その人の本当の幸せになるわけです。
だったら、介護を「してあげる」ことが、逆に親を不幸にすることもあるんですよね。
好きで介護をしているのであればいいんですが、これは特に劣等感の強い家で、よくあるかと思います。
私の知り合いで、嫌々ながらも母親の介護をしている人がいるんですよ。
母親は、「貴方(子)がいないと生きていけないわ」みたいなことを言って、子が嫌がると「私を見捨てるのね」とか、「親不孝者」と責めるんですよ。
そんな風に、子を加害者、自分は被害者のように仕立て上げることで、子は不承不承で介護をしているわけです。
子は必ず親を愛するようにできているので、親に否定されることは、苦しいことですよね。
だから、子は自分を殺してでも親のためになろうとするわけです。
でも、これも同じなんですよね。
実はその母親は、「生き続けたい」わけではないんですよ。
本当は、「自分らしく生きたい」と思っているわけです。
自分の人生を生きたいと。
でも、そこで子が介護をして面倒を見てあげると、親は子に依存してしまいますよね。
「生き続けられるから、自分の人生を生きるのは、まだ先延ばしにしていいや」と、現状に居続けるわけです。
親を依存させないことで、親に自立をさせる
そこで、逆に子が親の介護をしなかったらどうでしょう。
最初は、親は嘆くでしょう。
そして周囲の人たちを加害者に仕立て上げて、自分だけが悲劇のヒロインとして、「世界で最も不幸な私のために、全ての幸せをお膳立てするべきだ」と、わめくでしょう。
でも、そこで誰もその人を助けないことで、「自分のことは、自分でしなきゃならない」という思いが生まれるものなんですよね。
すると、親は「あ、自分の人生は、自分で何とかしなきゃいけないんだ」と、ようやく気づけるわけです。
これは言い換えると、親は初めて自分の人生を生き始めることができるわけです。
自分の状況に、自分が責任を持てるようになる、ということです。
子が介護を「してあげる」と、親を子に依存させてしまうわけです。
親は、「他人が自分を幸せにしてくれる」と思い続けてしまうわけですね。
それは、「自分の人生を歩かせないようにしている」ということでもあります。
子が好きで介護をやっていればいいんですよ。
でも、介護が好きではないなら、無理にする必要はないんじゃないかなとも思っていたりもします。
まあ、これは社会通念からすると「ひどいこと」を言っているのを承知ですが。
まとめ
「私がこれをしなきゃ、親は幸せになれない」、「私がこれをしなきゃ、親が不幸になる」というのは、100%幻想です。
親は、自力で幸せになれます。
それを信頼してあげることですね。
実はそういう親は、「私がこれをしてあげなきゃ、子は幸せになれない」、「私がこれをしてあげないと、子は不幸になる」などと思っているものなんですよ。
そして、過去、子に「あれをしなさい、これをしなさい」と親の価値観を押しつけいるものなんですよ。
親が子にしたことと全く同じことを、子が親にもしているんですよね。
「親のような生き方をしたくない」とか言いながら、全く同じことをしているわけです。
本人が気づいていないだけで。
私の周囲にも、そんな風に、苦しみながら親の介護をしている人がいるんですよね。
この辺を理解できると、そういう苦しみから解放されるきっかけにできるんじゃないかな、とも思います。
ってことで、今日は介護についてお話してみました。
今日はここまで~。