今日は、ちょっと心理学なお話です。

以前、ビートたけし氏が「震災直後に、被災地に笑いを届けても、効果なんかない」と言っていたんですよ。
で、それがなぜかずっと気になっていたんですが、ようやくそれを理屈で理解できるようになったので、ちょっと書いてみようかと思います。

 

基礎的な欲求が満たされて、上位の欲求が出てくる

このページにも時々書きますが、A・H・マズローという社会心理学者がいるんですよ。
で、彼は「欲求階層説」と言って、人間には五段階の欲求があると言います。

基礎的な階層から順に言うと、「第一層:生命維持の欲求」、「第二層:安全の欲求」、「第三層:所属と愛情の欲求」、「第四層:自尊心の欲求」、「第五層:自己実現の欲求」、とあるわけです。

で、下の層(基礎的な層)が満たされて、上の欲求が出てくる流れになります。

で、震災直後の被災地とかは、「いつ大きな余震があるんじゃないか」とか、「暖かいものを食べたい」、「家に帰れずに、安心できずに疲れた」とかいう状態なわけです。
これは、言うなれば第一層~第二層の、より根源的な欲求になります。

一方で、笑いとかエンターテイメントというのは、ほとんどが第四層の、自尊心の欲求なんですよね。

だから、根源的な欲求が満たされていない状態では、どんなに笑いやエンターテイメントを提供したところで、意味を成さないと。

 

まとめ:安全があって、初めてエンターテイメントが成り立つ

なので、エンターテイメントに携わる人は、そういうのを知っていれば、自分の「出番が来た」というタイミングが分かるかなと思ったりもします。

安全が行き届いて、安心できるようになり、行政も機能するようになった、そういう状態で出て行くのがよさそうな気もします。
それまでは、より基礎的な修復をする人たちの出番だということですね。

ちなみに、被災地とそれ以外の地域ではやっぱり異なるでしょう。
被害がない地域では立ち直りが早いので、そういう場所ではより早く出番が来るかなとも思います。

 

ま、そんな感じで、判断基準になるかな~ということで説明してみました。

こういうのは役に立たないに越したことはないんですが、日本は地震が多いので、知っておくのもいいかなと思います。

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