引き続き、「抑圧克服」キャンペーンを実施中です(笑

幸せを疎外する抑圧には2種類あって、そのうちのひとつ、「自発性」をもっと深く掘り下げてみましょう。

この自発性を得ることで、自分から行動できるようになって、どんどんプラスの環境を作ることができるようになります。

 

さて、昨日の記事(「こうして『失敗を恐れる子』ができあがる」)までで、自発性の原因と対策についてお話しました。

今日は、そういう自発性を得ていく過程で、どんなことが起こるのかを説明してみようかと思います。

これを知ることで、「あ、順調に自発性が育ってるんだな」と分かるかと思います。

 

「自発性」を育てるための、「反抗」と「引きこもり」

まず最初に簡単におさらいすると、人は大きくなる過程で、「自分で全部できるようになりたい!」と強く願うようになります。

でも、この欲求を抑圧されると、大人になっても「自分で全部できるようになりたい」という願望が消えずに残ります

すると、日常的に「自分の意志で、自分の方法でやりたいんじゃーっ!」と強い不満や、「どうせ何をやってもダメなんだ……」というあきらめを持つようになるわけです。

 

そんな風に、自発性を奪われた原因としては、2種類あります。

  • ひとつは、親から「お前はこうしろ」と行動を強制されるばかりの「支配・服従」タイプ
  • もうひとつは、親から困難を取り払われて、困難を経験できなかった「過干渉」タイプ

人によっては、この両者のタイプを併せ持つ場合もあります。

 

で、この抑圧に立ち向かう場合に現れる行動が、「反抗」「引きこもり」です。

「支配・服従」タイプの環境で育った人には、「反抗」が現れがちです。

「過干渉」タイプの環境で育った人には、「引きこもり」が現れがちです。

一見「反抗」や「引きこもり」は否定的なことのように見えますが、これは「自発性」を得る上では、自然であり重要なプロセスなんですよ。

だから私は、積極的に「反抗しましょう」、「引きこもりをしましょう」というスタンスです。

 

「反抗」は圧政の親から独立するための、独立戦争

まずは、「反抗」について見て見ましょう。

日本では、「親の言うことを聞く子が『いい子』」っていう社会通念みたいなものがありますよね。

でもこれは日本だけのことで、海外では、特に欧米では「自分の意見を言える子が『いい子』」という評価をされます。

「親の言うことを聞く子」というのは、すなわち「支配・服従」タイプですよね。

それはただ、親が楽をしたいから、子を操っているに過ぎないわけです。

 

で、そんな「支配・服従」タイプの人が自発性を得ようとすると、「親への反抗」というプロセスを経る必要があるわけです。

だって、「自分で決めること」イコール「親のいいなり状態に反抗すること」ですからね。

すなわち、「反抗している」ことは、「自分の道は、自分で決めるんだ!」って表明しているのと同じなんですよ。

それって、自力で「自発性」を育てようとしている、素晴らしいことでしょ。

「親たちのいいなりになんか生きない! 俺は、自分の考えで行動して、自分の価値観で判断して、自分が責任を持って行動するんだ!」って、操り人形を卒業するためには必要な抵抗ですよね。

むしろ、反抗できずに、親という「教祖」に洗脳され続けたまま、「自分では一切考えることや判断をせず、教祖の価値観に従って、ただ言いなりに動く」なんて、これほど恐ろしいことはありませんよね。

 

でも、日本社会では、「親への反抗」を「悪いこと」と未だに思っているわけです。

そして、親に抵抗する人を、あたかも犯罪者のように叩いたり、白い目で見る傾向がありますが、これを乗り越える必要があります。

まずは「親への反抗」が「悪いこと」という常識を捨てましょう

親に反抗して自分の意志を示すことは、自発性を持って、操り人形ではなく「ひとりの人間」になるためには、とても重要なことです。

 

特に、「支配・服従」タイプの抑圧を強烈に受けて育った子ほど、思春期になると、「家庭内暴力」という形でその反動が現れます。

家庭内暴力というのは、「自分で決めるんだ!」というエネルギーが今まであまりにも抑圧されすぎた場合、どかーんと噴火して起こる現象ですね。

なので、家庭内暴力も、(ひどい言い方だと自認してますが)、私は「よく自分を出した!」と褒めたいわけです。

だって、親はそれだけ「子の願い」を殺して、殺して、殺しまくって、親が自分の満足を得るためだけに、思い通りに子を操っていたわけですからね。

家庭内暴力は、子にとっては自発性の萌芽なわけで、「自分」という自由を得るための独立戦争みたいなものです。

敵である抑圧が強ければ強いほど、強烈な武器と火力が必要になるように、家庭内暴力も、抑圧が強ければ強いほど、子がその洗脳から独立するには、それだけの火力が必要だということなんですよ。

 

社会通念から考えると、とんでもないことを言っていますが、「反抗」は必要であって、自力で生きるための旗揚げだと思えばいいでしょう。

反抗しない方が、親や社会からは喜ばれます。親にとっての「いい子」ですからね。

ですが、「自発性」を手にしたいのであれば、反抗する気持ちは正常な感情です。

で、注意が必要なのは、目的は「反抗」そのものではなくて、「自発性を育てる」ことですからね。

それを受け入れた上で、「反抗」を最終目的とするのではなくて、反抗は最初の入り口で、その後に「自分はこの道を選ぶ」という方に焦点を当てて動くようにすると、上手く自発性を育てることができるかと思います。

 

「引きこもり」は、自発性を治すための医療行為

で、次に「引きこもり」について見て見ましょう。

これは「過干渉」タイプの場合に多く出てくる反応かなと思います。

 

これも、「引きこもり」は「悪いこと」だという社会通念がありますよね。

似たような考え方で、「うつ」や「風邪」も、「悪いこと」という思いがあるものです。

でも、「引きこもる」という行動は、自発性を自力で育てるための、建設的な行動なんですよ。

 

例えば、「風邪」というのは、体の中に悪性のウィルスが入ってきたり、不調な部分が出てきたら起こります。

で、体温を上げると免疫細胞が活性化するので、体は「わざと」体温を上げます。

血液中の栄養分が多いと、免疫細胞を動きにくくなるので、体は「わざと」食欲をなくし、食べさせないようにします。

血液中の栄養分がない状態で運動すると、細胞に栄養が行き渡らなくなるので、体はエネルギーを使わないように「わざと」体をだるくして動けなくして、寝ていさせるようにします。

「不調」と思えるものは、全て「体を治すため」に必要なことなんですよ。

それを、解熱剤を飲んで「熱さえ平常にすればいい」とか間違った対処をするから、一見体温は元に戻るでしょうが、免疫細胞は動けずに、体の中に悪性のウィルスが残ったり、調子が悪い患部にもっと負担がかかるわけです。

つまり、「もっとひどくなる」ということです。

 

同じように、「引きこもり」という、一見「不調」に見えるものも、「自発性を治すため」に必要なものです。

もしそれを無視していたら、患部は後になればなるほど大変なことになりますよ、ということですね。

 

過干渉があるおかげで、今まで何も自分で決められなかったわけです。

だから、引きこもることで、抑圧の発生源である親との接触を断って、「自分で決められる世界」を確保する、ということです。

抑圧が強ければ強いほど、自発性のレベルは幼児レベルなことも多いものです。

すると、「今日はこのおもちゃで遊ぶ」とか、そういうレベルから自発性を育てなければならないわけですね。

そうしてひとつ、またひとつと「自分で決め、自分で行動する」という能力を、自分自身でこつこつと育てるわけです。

 

なので、「引きこもり」というのは、私からすると「どんどん引きこもりなさい!」というものなんですよ。

それが、その人の自発性を育てるものなんですから。

 

「反抗」と「引きこもり」を通して、「自発性」が育つ

そんな風に、「反抗」も「引きこもり」も、自発性を育てられなかった大人にとっては、とても重要で、オススメする行動です。

むしろ、「親の言うことには無条件で従いなさい」、「無理をしてでも学校や会社に行きなさい」という社会通念には、極めて穏やかに波風を立てないように上品に言うならば、「んなもんクソ食らえだ!」って感じです。

 

尾崎豊とか、まさにその抑圧を上手く表現したアーティストですよね。

彼らのメッセージはただひとつなんですよ。

それは、「自分の生き方ぐらい、自分で決めさせろ」です。

それは、重税に苦しんだアメリカが、イギリスから独立することを選んだと同じように、暴力的に支配をする親から独立して、「自分」の人生を生き始める戦いみたいなものなんですよね。

そのために、反抗して、戦う。

引きこもって、自分の世界を作り、自分で選べる世界を守る。

全て、「自発性」という、育てられなかった幼児的願望を満たすために、必要な行動なんですよ。

 

「上手な反抗」、「上手な引きこもり」をしましょう

ただ、ここからが私らしい表現になると思いますが、反抗や引きこもりも、工夫しましょうということです。

まあ自発性が育ってないから工夫できないのは当然なことなんですが、上手い反抗の仕方、上手い引きこもりの仕方、というのはあると思います。

 

その「上手い反抗」、「上手い引きこもり」を列挙すると、こんな感じでしょうか。

  • 抑圧を生む根源(親)を変えようとはしないこと。
  • 抑圧を生む根源(親)から物理的に距離を取ること。
  • ひとりでいる時間を増やすこと。(人付き合い、ネット付き合いを減らすこと)
  • テレビ、ネットをできればやめること。
  • 人工物よりも、自然に多く触れる時間を作ること。

ぱっと見、どれも社会通念からは反しているように見えますが(笑

もし親を変えたい場合、この本を渡すか、このブログの一連の記事をプリントアウトして見せるといいでしょう。

それでも変わらない場合や、よりいっそう「子が悪い」と責める場合は、それだけのSOSを発しても受け取れるだけの器量がないということなので、抑圧を生む根源(大抵は親)を変えることはあきらめましょう。

 

そして、親が「支配・服従」タイプなら、独立戦争を起こす覚悟をしましょう。

「過干渉」タイプなら、引きこもる覚悟をしましょう。

これは我慢しておくともっとひどくなるので、我慢せずに、できれば早めに出しておく方がいいものです。

 

その上で、できるだけ上記の「上手な反抗」、「上手な引きこもり」を実現しようとするといいでしょう。

究極は、「自由にできる領域」を増やすことが、「自発性」を育てるのに有効なことです。

だから、「自由な時間」と「自由な空間」を増やす方に、意識を向けることです。

 

例えば、よく反抗的な人の「家(親がいる家)にいない時間」を増やすのも、引きこもりがちな人がやっている「生活時間帯をずらす」のも、効果があるということです。

その究極の形が、「家出」と「昼夜逆転生活」なんですが。

家出の受け入れ先は、大抵が暴力団になってしまうので、家出はあんまりオススメしません。(もしそこまで追い詰められているのであれば、専門家の助力が必要でしょう)

まずは、外を歩くぐらいから始めるといいでしょう。

家にいるぐらいなら、ずーっと外を歩いて、しっかりと体が疲れさせることで、家(親がいる家)に帰ったら「ご飯を食べてぐっすり寝るだけ」ぐらいの割合に減らしてみましょう。

で、「今日はこの道を歩こう」と、自分で決めてゆくことですね。

親に「何してるの」と高圧的に(もしくは懇願的に)言われても、しっかりと「俺の自由だ」、「外で引きこもる」と言って、反抗して、外で引きこもりましょう。

 

「自由」は戦って守るもの

私たちには、守らなければならないものがあります。

それが、「自由」です。

 

「反抗」とは「自分の自由を脅かす敵と戦うこと」です。

自分の自由を獲得するための、独立戦争、すなわちこれも「戦争」です。

「勝利か、死か」ぐらいの覚悟で、戦略、先述、政治力、駆け引き、交渉カード、それらの能力を駆使して、目指すゴールへの段取りを決めるぐらいでいきましょう。

それは、ひょっとすると、「親とは縁を切って生きる。ひとりで暮らして、自力で幸せな環境を、新たに作る。そのためなら、道半ばでのたれ死んでも構わない」という覚悟なのかもしれません。

 

「引きこもる」とは「自分にとって大切なものを守ること」です。

いわば、「籠城戦」だと思えばいいでしょう。

自発性という内なる大樹を、弱々しい芽の状態から、自力で育てるわけです。

敵は、容赦なくその「大切なもの」を壊しに襲ってきます。

それには、確固とした守りが必要です。

「何度蹂躙(じゅうりん)されても、守りきる」というぐらいの、長期戦を覚悟して臨みましょう。

 

「反抗」も「引きこもり」も、その行動そのものが、既に「自分の生き方を選んでいる」ということになるんですよね。

なので、それをし続けているだけで、次第に自発性は育ってゆくでしょう。

 

そして重要なのが、子がどんな生き方をしたとしても、親の幸不幸には影響しない、ということです。

親が「この親不孝者!」とか言ったとしても、「どうして口を利いてくれないの」と泣いたとしても、親は自分の力で自分を幸せにできます。

親は、「自分で選んで」不幸になっているということを、知ることです。

だから、子は自由に生きればいいんです。

この理屈の詳細は、こちらの記事(「『他人の人生』を生きずに『自分の人生』を取り戻す、一つの考え方」)をご覧ください。

 

まとめ

そんな感じで、今日は「自発性」について、「反抗」と「引きこもり」という観点から、さらに詳しく説明してみました。

もし「自信がない、失敗が怖い、エネルギーが出ない、工夫できない、やりたいことが分からない」という場合、上手に「反抗」と「引きこもり」を自分の生活の中に組み込んでゆくといいでしょう。

それが、エネルギーと自由を与えてくれるものなんですよね。

 

まあ、今の日本が平和でよかったですよ。

こんな過激なことを言うと、他の国だったら逮捕されますからね(笑

ということで、連日の長文ですが、今日はここまで!

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