今回は「ボランティア」についても説明しておきましょうか。

今は大学生の人とか就職活動をする時期ですし、「ボランティアって、した方がいいの?」とか「NPO法人の方がよさそう」とか耳にすることもあると思うんですよ。

ボランティアって、なんだか素晴らしいように思いますよね。
「私、○○のボランティアをやっています」とか「NPO法人(利益を追求しない会社)をやっています」とか言われると、なんだかすごく精神性の高い人のように見えるわけで。

なので、劣等感の強い人にとっては「ボランティアはしなければならないもの」みたいに受け取ってしまう人もいるようで。
私も学生時代は、ボランティアをやっている人を見ると、自分が「価値のないことをしている」ように見えたものです。

でも実は、ボランティアというのは必須なわけでもなく、そういう形で貢献しなくても別にいいと思うんですよ。

「ボランティアをしなきゃいけない」みたいに、縛り付けられる必要はないんだと。
今日はそんな、ボランティアに対する一つの考え方を紹介してみましょうか。

 

そこで、ボランティアの本質を考えてみるといいでしょう。

ボランティアの本質は、誰かのために貢献することですよね。
そのために、自分の労働力を提供すると。

言い換えると、誰かのために貢献できていれば、ボランティアであったり、NPOであったりする必要は全くないわけです。

だったら、正業で貢献すればいいでしょ、という単純な話です。

正業というのは、本業ですね。
会社勤めにしろ、独立して働いている人にしろ、何かしら人々に価値を与えているから、対価としてお金を得るわけです。

だから、本業をしっかりやっていれば、ボランティアなんて必要ないんですよ。

もし学生さんの場合、将来のためにしっかりと勉強に励めばいいわけです。
それが、「未来の価値」になるんですから。

 

お金を得ることが、何か悪いことであるかのように考える人がいます。
そういう風に感じるようになったのは、幼い頃にお金にまつわるトラブルを味わったりして、「お金を得るのは不幸の元なんだ」という思い込みがあったりするからなんですが。
もしくは、家にお金がなくて、「お金を取らずにサービスを提供することが優れている」とかいう価値観を植え込まれてしまったこともあるかもしれません。

だから、「お金を得ないで人を喜ばせることが最高なんだ」と思っているようで。

でも実は、正当な価値を与えた上で得るお金は、悪いものでも何でもありません。

お金がなければ事業は続けられませんし、事業を続けられなかったら価値を提供できなくなりますよね。
だったらお客さんだって困っちゃうでしょ。

事業というのは、社会貢献なんですよ。
普通の営利目的の会社にしても、その仕事を通して社会に貢献しているから、お金を受け取れるわけです。
そして余ったお金をボランティア団体などに寄付しているわけですね。

それに、自分の労働力「だけ」を提供して満足するぐらいなら、1億円稼いで9500万円寄付した方が、よっぽどいいですよね。

確かに産業革命が始まった頃の格差があった時代では、生まれた場所や環境によって人生のほとんどが決まってしまっていました。
もし貧しい家に生まれたら、そこから逆転するのは社会システム的にほぼ不可能な時代があったわけです。
だから社会主義とか、そういう思想が生まれたわけですが。

そういう環境では、お金の再分配問題が重要になるでしょう。
実際に、現代でもアフリカの一部の国や、アジアの一部の国では、社会システムのせいでどんなに努力をしても成功できないっていう国はあるものです。

でも現代の日本では、知恵と工夫とやる気さえあれば、いくらでも逆転できるわけです。

価値についても同じで、世の中に価値を与えればいいわけです。

だったら、ボランティアでなくとも、正業でお金をしっかりもらいながら、人々に喜んでもらえればいい……というだけのお話です。

 

いつだったか、韓国の作曲家のインタビューを見たんですが、そのときにボランティアについて触れていて、こう言っていたんですよ。

「僕は、自分の音楽で世の中の人たちに貢献できればと思っている。
ボランティアでは、お金をもらえない。
お金をもらえないと、活動の規模がどうしても限られてしまう。
より大きな規模で、世界中のできるだけ多くの人に価値を与えようとするならば、しっかりと対価をもらってお金を稼いで、そのお金を使う必要がある。
だから僕は、ボランティアをすることは、今のところ考えていない。
正業をしっかりやって、人々に喜んでもらいたい」

これを読んだときに、「まさにこの人はボランティアを分かっている!」と思ったものです。
大切なのは「世の中に価値を与えること」であって、「もしより規模を大きく貢献できるのであれば、しっかりとお金をもらって、そのお金を使って貢献すればいい」んですよね。

なので、ボランティアに縛られる必要はないかなと思います。

これはNPO法人にも言えて、まぁ確かにNPOの方が所属している人の精神性は高いかもしれませんし、今流行りのブラック企業も少ないことだと思います。
でも、利益を出すのは悪いことではなくて、思いっきり利益を出して、その後は寄付をしてもいいんですよ。

まずは自分の力でしっかり稼いで、自立して、そこから自分なりの形で喜びを広めればいいんじゃないかな……と思います。

 

ただ、未来を考えてゆくと、NPOみたいな非営利団体は、これからますます増えていくことでしょう。
同時に、利益「だけ」を追求する会社は、廃れていくことでしょう。
実際、「儲ければいい」みたいな会社とか、もう格好悪いというか、近づきたくないですよね。

そういう動きはありますが、NPOにしても、自分が生きていくだけの利益は上げるものです。

だから、まずは自立して、自力で稼いで生きていけるようになって、余った分は好きにすればいいでしょう。

……ということで、ボランティアに対する一つの考え方を紹介してみました。

この記事をシェア:
Share