今日のお話も、まさにタイトルが全てを物語っている内容ですが。

辛いことがあったり、苦しい状態で、「苦難に負けない強い心が欲しい」とか、「もっと心を強くしたい」と思う人がいるんですよ。
かく言う私も、昔はそうだったんですが(笑

でも、「心を強くしよう」っていう発想だと、実は「もろくなる」んですよ。

強くしよう強くしよう……って思うと、心をカチンコチンにしますよね。
すると、何も感じないようになってくるんですよ。
すなわち、喜怒哀楽が出せなくなってくると。

 

劣等感が強い人には、例えば子犬とか、子猫を嫌う人がいるんですよ。
というのも、例えば子猫みたいに純粋で可愛い存在がいたら、「可愛い」っていう感情を出さないといけなくなりますよね。

でも、「心を強くしよう」としている人には、その感情を出せないんですよ。
というのも、その感情を出してしまうと、他の感情まで出さなきゃいけなくなるんですから。

私たちの心は、「喜びは出すけど悲しみは出さない」なんて器用なことはできないんですよ。
「喜びも悲しみも出す」か、「何も出さない」かの二者択一になります。
そんな状態で、「何も感情を出さない」ということを選んだ人は、子猫のように可愛くて可愛くてしょうがない存在を憎むようになります。

というのも、その可愛い存在は、自分の感情を引き出そうとしてしまうからですね。
その子猫は、その人にとっては、「心から悲しみを引き出そうとする嫌な存在」になるわけです。
だから、子猫を見たら傷つけたくなるような人がいたりするんですよ。

 

実は「感情を出さなくする」というのは、一時的には効果があるものなんですよ。
なぜかというと、感情を出さないことで、理詰めで行動できるから、特に人間社会のストレスや矛盾の中で生きるには、この機能が必要な時もあるものです。

でも、それを「長い間続ける」と、問題が出てくるわけで。
それで辛いことを乗り越えて、安心したら感情を出せるようになればいいんですが、そうでなかったらどんどん悪くなっていくんですよ。

というのも、感情を出さないようにしてゆくと、幸せも喜びも感じられなくなってゆきますよね。
そして感情を出さないような人には、なんか親近感がわかないでしょ。
なので、そういう人は、仕事ではよくても、プライベートで付き合おうとはしないわけで。

そういう「人間的なふれあい」がなくなると、さらに「心を強くして生きよう」と思って、どんどんと心を固くするというサイクルができてしまうわけです。

そして、いつか自分に耐えきれないような苦しみがやって来た時、カチンコチンの心は一瞬で、粉々に壊れちゃうわけです。
つまり、心を強くしようとすると、もろくなるわけですね。

これは実感として分かりますよね。

 

一方で、心は「しなやかに」することができるんですよ。

柳のように、一時は風に吹かれて負けたように見せても、のらりくらりと困難を避けてゆくような、そんな人がいるもんですよね。

「心を強くしよう」とすると、「こうであるべきだ」、「これが正義だ」と、ぶつかるばかりなんですよ。
一方でしなやかにしようとすると、「君がそれでいいんなら、それでいいんじゃない」とか「そっか、君はそう思うんだ」と、相手を変えようとしなくなるわけです。

「人は変えようとはしないけど、自分はこの道でゆく」というスタイルにできるわけですね。
わざわざ自分の意見をぶつけて、「こっちがいい」とか言わなくなると。

すると、相手は自分のことを受け入れてくれると思うから、人にも好かれるわけで。

そういう人は、もし人から「これがいいよ」と言われると、「ありがとう」と言って、いいものなら受け入れて、そうでなければ「今はちょっと使えない状況だけど、いつか使わせてもらうよ」みたいにのらりくらりとできるわけで。
他にも、もし人から「こうすべきだ!」と言われると、そういう人にはできるだけ近寄らないようにすると。

柳のように、のらりくらり、ですよね(笑

 

時には心を固くして、困難を乗り越えるのもありでしょう。
ただ、長期的には心をしなやかに、感情を出してもいい……という方向に持って行く方が、心は「結果的に強くなる」んですよね。

柔道と一緒ですね。
カチンコチンな状態で、受け身を取ったら痛いものです。
でも、柔らかく受け身を取れば、全然痛くなくなると。

「真面目な人ほど、うつになりやすい」と言いますが、真面目な人ほど、心を固くしがちで、そして壊れやすくしがちだったりします。

そういうこともあって、真面目な人ほど、苦しい時ほど、しなやかにする方をオススメします。
のらりくらりと、いいかげんに。
時にはちゃらんぽらんに。

柔よく剛を制す、みたいに。

そういう心のあり方がいいかな、と思います。

まぁそんな風に、心のメカニズムについて語ってみました。

この記事をシェア:
Share