今日は、ビジネスにおける考え方のお話です。
なぜサラリーマンほど「早く仕上げられるなら、その分安くして」と言うのか、ということについてお話ししてみましょう。
「早く仕上げられる分、安く売ってもらえる」という誤解
とある自営業のデザイナーさんが、こういう愚痴を漏らしていたんですよ。
それは、公務員やサラリーマンの人とデザインについて打ち合わせをして、納期の調整に入ったときに、相手からこう言われるわけです。
「早く仕上げられるなら、その分、安くできるでしょう」と。
この感覚に、そのデザイナーさんは「分かってないな」とため息をつくんですが。
まぁ自営業をしている人には当たり前のことですが、だいたいのサービスって、「クオリティが同じなら、早く仕上げられるほど値段が高くなる」ですよね。
「早い」というのは、特別なサービスになるんだと。
でも、ビジネスを知らない公務員やサラリーマンほど、「早く仕上げられると、値段を安くできるはず」と思ってしまうわけです。
じゃあなぜこんな食い違いが生まれるのか、今日はそんなお話をしてみましょう。
「時間給感覚」がビジネス感覚を狂わせる
この原理は簡単で、公務員やサラリーマンは、「一定の時間給」を得ているからですね。
時間給ってのは「1時間働いたらこれだけの給料」、「1日働いたらこれだけの給料」ということで、費やした時間によって収入の額が決まることです。
そんな人が、もし嫌な仕事をしていたらどうでしょう。
その場合、「できるだけ正当化できる理由をつけて、実質は怠ける」というスタイルの方が、自分にとって有利に働くと分かります。
例えば「重たい段ボール箱を1つこちらから向こうに運んだら、それを1つの成果とする」という場合、できるだけ運ばない理由を見つけて怠ける方が、嫌なことを最小限にして、収入を最大限にできますよね。
一方で、そういう時間給感覚の人が「支払う側」に立ったらどうでしょう。
すると、「30分でできるのなら、30分だけの給料を払えばいい」となります。
こうして「早く仕上げられるほど、安くできるはず」と思うようになってしまうと。
ビジネスでは成果給が普通
実際のビジネスの場合(自営業とか経営者の場合)、時間給ではなくて、成果給になります。
まぁそれは当然で、朝から晩まで働いたからといって、売り上げが増えるわけでもありませんからね。
収入は「働いた時間」ではなくて、「相手に与えた価値の量」によって決まります。
で、価値というのは、スピードやクオリティによって決まります。
スピードが早い、もしくはクオリティが高いほど、価値が高くなるわけで。
車にしろ飛行機にしろ、インターネットの速度、暖房や冷房器具にしろ、「早い(速い)」のは「性能が高い」ことを意味します。
すると、「クオリティが同じなら、早く実現できるほど(性能が高いものを利用するほど)、値段が高くなる」となります。
時間給感覚が身を滅ぼす
サラリーマンを長くしていると、こういう時間給感覚になって、身を滅ぼしやすくなります。
というのも、収入量を増やしたい場合、仕事の成果量に関係なく、「時間を増やす」ことだけを考えるようになってしまうからですね。
よく、「朝から晩まで働いて、睡眠時間がたったこれだけなのに、これだけの給料しかもらえない」って嘆く人がいるじゃないですか。
それは、「収入を上げたい」という場合、真っ先に「働く時間を増やす」ということを考えるようになるからですね。
言い換えると、「働く時間が長ければ、それだけ収入は増えるべきだ」と誤解しているわけです。
「時間がない」と言っている人は、たいていがこの時間給感覚にやられているものです。
「プロになるまでには、1万時間かける必要がある」とか、「とにかく3年続けろ。すると仕事が分かって、忍耐力がつく」とかよく言っている人がいますよね。
これも、時間給感覚だからこそ、そう考えてしまうわけです。
時間よりも、「価値」に目を向けよう
実際は、「収入量」と「費やした時間」は無関係です。
「収入量」は「相手に与えた価値の量」によって決まります。
なら、時間なんてどうでもよくて、「価値」に目を向ける必要があると分かります。
すると、時間よりも、知恵や工夫が大切だと分かりますよね。
これが分からないから、「朝から晩まで働いて、これしか収入がないなんて、世の中間違っている」と言ってしまうわけです。
「無知はコストだ」と言いますが、まさにその典型例でしょう。
起業したいなら、アルバイトをするよりも、同人活動をする方がいい
よく「社会勉強のために、アルバイトをさせる」とかあるじゃないですか。
サラリーマンに育てたい場合はそれでいいんですが、独立や起業をしたり、ビジネスを所有したり、投資家になりたいのであれば、そういうのは逆効果のように感じます。
というのも、アルバイトをしてもビジネスの全体像なんか見えなくて、ごくごく末端の作業現場を知るだけです。
それぐらいなら、同人活動をやる方がよっぽどビジネスが分かるように思います。
同人活動は、企画から制作、販売、会計まで、一通りビジネスの全体像を経験できますからね。
で、自営業をしたければリーダーになればいいでしょうし、オーナーや投資家になりたいのであれば、有望な人やチームを見つけて資金を与えればいいと。
まとめ
そういう風に、「時間がない」と感じているほど、時間給感覚の病魔に冒されていると思えばいいでしょう。
実際に重要なのは、価値です。
価値に着目できれば、「実はできるだけ時間をかけないようにする方が、価値は高まる」と分かります。
というのも、「短時間でハイクオリティにしよう」と考えると、価値を高めるために必要な、攻略ポイントの要所が見えてくるからですね。
削るところは削って、要所中の要所に時間と資源を投下すると。
すると、一気に効率が上がって、楽に今まで以上の価値を提供できるようになります。
で、それを不労所得の形にすると、もう完全にフリーで収益になりますからね。
「収益にするには、価値を与えさえすればいい。ならば、その価値を与える自動システムを作れば、わざわざ無駄に自分の時間を費やす必要もない」と分かります。
「時間」や「健康」、「人脈」、「信頼」などは、人に与えられた「見えない資産」の中でも、最も価値ある部類の資産です。
だから、それを与える(犠牲にする)ことで、お金に換えやすいとも言えるんですが。
でも、ほとんどの場合、それと交換しているのは「それよりも価値が低いもの」なんですよ。
「貧乏人の家にはがらくたが多い」と言いますが、工夫をするのではなくて、ものや見栄に交換してしまうと。
すると、全体の豊かさは減っていって当然です。
そうじゃなくて、「見えない資産」全体で見てみましょうと。
すると、知恵や工夫はどんどん与えてもいい、量産できるものだと分かります。
一方で「時間」や「健康」、「人脈」、「信頼」は「できるだけ最後に売るもの(売ってはいけない高価なもの)」だと分かります。
これが分かれば、時間給感覚から抜け出せて、豊かさをより広げられるんじゃないかと思います。
ということで今日は、なぜサラリーマンほど「早く仕上げられるなら、その分安くして」と言うのか、ということについてお話ししてみました。
今日はここまで~。