今日は、心理学のお話でもしてみましょうかね。
小説家とかシナリオライターって、物語を書くじゃないですか。
そういう場合、「なんか知らないけど、書きたい」っていう形で、突き動かされるものですよね。
なぜだか分からないけれども、表現しなくちゃ気が済まない、みたいな。
そこには、「誰かに見せるため」という以前に、「自分のため」っていう欲求がありますよね。
これは作家に限らず、漫画家でも音楽家でもアーティストでも、同じだと思うんですが。
そこには、「抑圧」っていう仕組みが絡んでいると思うんですよ。
ってことで、今日はそういう心理学的なお話をしてみましょうか。
「箱庭」を作ることで、心理的に癒されるという心理療法
心理療法の一つとして、「箱庭療法」っていうのがあるんですよ。
これは、まっさらなある程度の広さがある箱に、患者が自分でいろんな人形(動物や植物など、いろんな種類のもの)を置いたり、地形を作ったりして、いわゆる「箱庭」を作るというものです。
すると面白いことに、患者の内部に抑圧された心理が、その箱庭に投影されるわけですね。
すなわち、その人の抑圧(自分でも気がつかない心理や、過去に受けて大きく傷ついた原体験)が、箱庭に出てしまうと。
それをきっかけに、患者が自分自身で抑圧の存在に気がつくことで、抑圧による苦しみを解放してゆく引き金にできる……というものです。
抑圧は、気がつけば自由になれますからね。
だから、精神科医が「これはこういう意味です」と解釈する必要すらなく、患者が自分自身で自分の内面を見つめて、そして自力で乗り越える……というプロセスを経るものです。
精神科医は、ただの付き添いみたいなもので、もし危なくなったら引き返させる、ぐらいの存在でしかないわけです。
そういうこともあって、ある程度の「医者なし」で、自力で精神的なトラウマや抑圧を解決できる方法でもあったりします。
アーティストは「抑圧」を表現することで、癒そうとしている
実のところ、アーティスティックな、「表現したい」という原動力って、これと同じ力が働くものなんですよね。
もちろん全てが全て、抑圧によるものではないでしょうが、多くの部分が「抑圧を解決したい」という欲求を元に、出てくるんだと思います。
実際に、コンプレックスを抱えている人は、そのコンプレックスに関する表現をするものですよね。
私とかは、家族がちょっとよろしくない環境だったので、昔は虐待であったり、親から捨てられた子の話であったり、そういうテーマで物語を作っていたわけです。
これは、常にモチベーションが高く、「作らなきゃ」と思わなくても作っているような情熱的に作っている人なら、何となく実感が分かるんじゃないかと思います。
それはすなわち、抑圧を意識できるレベルにまで持ってきて表現して、認識することで、その解決をしようとしている……とも言えるかと思います。
つまり、箱庭療法と同じで、「抑圧を自分で認識して解決するため」に「内側にある心理を、形として表したい」という形で表現が生まれる、と。
「表現したい」という欲求は、抑圧が生み出す
実際、アーティストとか表現をする人って、変な人が多いでしょ。
私自身が変な人なので、私がこう言うのもなんですが(笑
私はよくシナリオライターさんやら作家さんと触れてますが、シナリオライターとか、もう奇人変人の集まりみたいな感じですよね(笑
少なくとも、世間一般に言われるような「幸せな状態の人」ではないと。
もしそういう「幸せの状態」であったら、表現する欲求なんて生まれないと思うんですよ。
イメージしたら、そんな感じするでしょ。
逆に、病んでいる人ほど、強烈な表現をするものですよね。
だから、抑圧というのは、その人にとっては苦しみを生む根本原因ではあるんですが、見方を変えると、表現力をもたらしてくれる天からのギフトだとも言えるかと思います。
そして、人は抑圧を解決するために、表現をしてゆくと。
実際に、私みたいに抑圧を解決しちゃったら、「表現したい」という欲求も消えたんですよ。
これは私の体験談なので、本当に表現欲求は消えるものです。
まとめ:抑圧に絡めると、モチベーションが上がる
そういうこともあって、アーティストは、いわば「自分の心を癒したいがために、表現する」みたいな形で突き動かされているかな~と思います。
もしその抑圧に絡まないものを作ろうとしても、面白くないんですよね。
だって、抑圧を感じられないんですから、やっても意味なくてモチベーションが上がらないと。
逆を言うと、抑圧に絡めることができれば、面白くできるようになると。
こう言われると、結構納得できる人が多いかなと思うんですよ。
実際に、作品って、その人の抑圧が如実に出るものですしね。
もう、「あぁ、この人はこういう抑圧があるんだな」とか感じながら、見てますから(笑
もちろん、他の欲求で動いているアーティストもいるでしょうが、そういう心理メカニズムだと分かれば、なんか面白いですよね。
ということで、今日は「表現をすることは、箱庭療法と同じ」ということをお話ししてみました。
「抑圧」っていうのは、このブログでも中核となるキーワードなので、また機会があれば、詳しく触れてみようかと思います。
今日はここまで~。