最近読んだ本で面白いのがあって、今日はちょっと、脳のお話をしますかね~。

記憶ってありますよね。
過去の記憶がいつも出てきて、苦しんでしまうとか。

最近分かってきた研究では、実は記憶は、「その都度、解釈を再構成している」っていうんですよ。

記憶は側頭葉に個別に蓄えられます。
人の情報はここ、モノの情報はここ、場所の情報はここ……みたいな。

で、何かを思い出す度に、それらの情報を脳でまとめて、構築するんですよ。
このまとめる作業を「統合する」と言うんですが。
「統合失調」とかいう、あの「統合」ですね。

その記憶を統合する時に、解釈そのものも、毎回新たに作られているっていうんですよ。

つまり、ひどい記憶を思い出したとしても、それは「ひどい」という情報が蓄えられているわけではなくて、脳内で「ひどい」を毎回わざわざ新しく作り出しているんだと。
だから、毎回思い出している「ひどい」は、実は真実や事実ではなくて、ただ脳が作り出した幻想ってことなんですよ。

その過去は、事実でも何でもないんだと。

ただ、「今」、勝手に作り出している幻想なんだと。

 

そして記憶は側頭葉に蓄えられて、海馬でフィルタリングされて、扁桃体で増幅される……というプロセスを経るようです。

そして、どんなしょーもない思い出でも、扁桃体が超増幅することで、すっごい苦しい過去に早変わりしてしまうという性質があります。

というのも、人は元々リスクに敏感な生き物なんですよ。
500万年も狩猟採取をして生きてきたので、ちょっとしたことでも命を落とす危険があったわけです。
そのために、過去と類似したリスクがある場合、どんなに小さな苦しみでも、その苦しみの大きさを超増幅させることで、そのリスクから回避させようとしたわけです。
その方が、実際に生存率が上がった時期がずーっとあったわけです。

でも、今ではもう生命に対するリスクなんか、ほぼないですよね。
500万年という人類の歴史上、今のように安全になったのは200年前ぐらいなので、私たちの脳はその環境変化にまだついて行けてない、つまり「進化しきれていない」わけです。
すると、その扁桃体の超増幅システムを、なんとかしなきゃいけない。

で、ここで朗報なんですが、その扁桃体の超増幅は、思考を司る前頭葉から介入して、調整できるんですよ。

つまり、フラッシュバックがあったら、そこで前頭葉から思考を介入させて、「今、しょーもないことを増幅しているだけなんだ」と認識できれば、扁桃体の増幅を抑えられるっていうんですよ。

実際私もフラッシュバックは多くあったんですよ。
ちなみにそのフラッシュバックの一つで、例えば「隣の家にあった空き缶に立ちションをして、数日後になったらすっごい臭いになってた」みたいなしょーもないことなんですよ(笑
そんな風に冷静に客観的に考えても、過去の苦しい体験なんか、それを覚えている人は私以外に誰もおらず、誰も気にしていないことなのに、それでも苦しんでしまうんですよ。

実際、多くの人のフラッシュバックや過去の苦しみが、そういう「客観的に見るとしょーもないけど、本人にとっては苦しいこと」がほとんどだと思います。

そして、扁桃体がそんなしょーもない出来事でも、超増幅して苦しみにするわけです。

そこで私の場合、そんな過去のしょーもない出来事でフラッシュバックがあったときに、「しょーもないことを扁桃体が恐怖を増幅しているだけだ」と意識するだけで、「自分を客観視できる」ようになって、すーっと楽になれたんですよね。

今までだったら、「いや、そんなことはない」とか「ポジティブに振れなきゃ」とか思っていたのが、ポジティブに振る必要すらなくなったというか。

ただ単に、扁桃体の増幅を抑えればいいだけなんですよ。
そしてその増幅は、思考(前頭葉)からの介入ができて、それは「今、超増幅してるから、ちょっと抑えろや」みたいに考えるだけで調整可能になるわけです。

これは結構使えそうなテクニックなので、ちょっと紹介してみました。

過去の記憶に苦しんでいる人は、試してみるといいかもしれません。

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