宇宙兄弟の21巻を見ていたら、こんなセリフがあったんですよ。

「その任務に一番ふさわしいのは、俺です!」

この感覚って、私たち日本人にはなかなかないものですよね。

私はFPS制作時から英語サイトを見ざるを得ない状況が続いてたんですが、ノウハウを公開しているクリエイターにはよくフリーエージェントがいるんですよ。
そして彼らは「自分の売り込みページ」みたいなものを持っていて、「私を雇うとこういうメリットがありますよ」みたいな感じで掲載しているんですよね。

そこでは、ほんといろんな工夫をして、「自分はこういうことができます」と表現しているんですよ。

欧米ではこういう自己アピールは日常的にあるというか、こういう風に自分をどんどん前面に出していかないと、やる気がないと見なされるわけですよね。

一方で、日本では「目立ってはいけない」みたいな文化がありますよね。
これは元を正せば江戸時代にさかのぼるんですが、例えば武士でも、目立つとお上(かみ)から目をつけられるんですよ。

信長や秀吉ぐらいの時代までは、武士でも目立って功を上げてナンボでした。
でも徳川家康の統治ぐらいから、地方に力をつけないようにするためにも、目立つ存在は排除するようにしたわけです。
それに加えて江戸になって世情が安定すると、一部の「生まれ」のみが階級を決める要因になって、業績では左右されにくい時代になったわけです。

そういうのもあって、目立つとやっかみや嫉妬を得て、協力を得られないどころか、逆に足を引きずられるようになる……という文化が何百年も続いてしまったわけですね。
だから、「出る杭は打たれる」という言葉が生まれたと。

でも、これからはもうそんな時代ではないんですよ。
どのみち、現時点でも既に「出る杭」になる必要がありますし、10年後にはみんなそうならざるを得なくなるような世情になっていると思います。(なぜかはまたいつか話します)

これからはみんな、出る杭になってゆく必要があるでしょうし、特に世界に出て行く人にとっては、そういうプレゼンテーションが大切になってくるかと思います。

 

実際、出た方がチャンスも得やすいんですよね。

例えば映画バイヤーの叶井俊太郎さんは、映画買い取り会社に就職したんですよ。
映画の買い取りというのは、海外のいい映画を買い取って、日本で配給する、そういう仲介会社みたいなものです。

で、叶井さんが就職したのは普通の映画を取り扱っていたんですが、叶井さん自身は「エログロ」大好き人間だったわけです(笑

で、「エログロやりたい」と上司に言っても、聞き入れられるはずがありませんよね。
実際に言ってみても、「だめ」で即却下だったんですよ。

でも、叶井さんのすごいところは、何かあるごとに「エログロ! エログロ!」と言い続けていたことなんですよ。

ミスがあったりしたら、「もしエログロだったら、もっと集中できるのになぁ」とか、熱意がないとか言われたら、「エログロだったら、一生懸命やるんですけどねぇ……」とか、時あれば「エーログロ! エーログロ!」と言っていたわけです(笑

すると上司もさすがにこらえきれなくなって、「なら一度だけでいいからやってみろ! でも、失敗したら二度と言うなよ!」と確約をもらってしまうわけです。

そして叶井さんは、もう「歩くエログロ大百科」みたいな人だったので、見る目もすごくて、最高のエログロ作品を仕入れてきて、大ヒットさせるんですよ。

そして次から次へとヒットさせるので、最後には会社そのものがエログロ方針になってしまったという。

 

そんな風に、しっかりと「出る杭」になれば、周囲がそれをさせざるを得なくなるんですよね。

私だって、デバッグスタッフさんが「シナリオやりたいなぁ、やりたいなぁ!」とかずーっと言われると、「じゃあ、まずはおまけシナリオでも書かせてみようか」みたいな気持ちになりますもん(笑

でも、注意が必要なのは、「与えられるチャンスは一度だけ」ということです。
その一度をしっかりこなせないと、「口先だけ」だと思われて、もうチャンスは与えられなくなります。

でも、これは欧米的考え方ですが、「既に実力があるのに自分から立候補しないのは、やる気や情熱がない」とみなされるんですよ。

つまり、実力があるのに、自分よりふさわしくないと思われる人が任命されたら、それに異議を唱えないのは謙虚でも何でもなくて、不徳になるんだと。
だってそうですよね、私たちは社会や会社を成功させるためにいるんですから、「最も適任でないこと」とか「問題があること」はしっかり表明して改善案を出す方が喜ばれるわけです。

もしそれで嫌な顔をする上司がいれば、その会社からはさっさと出る方がいいわけです。
もちろん、「無い物ねだり」とか「改善案のないただの批判」はアウトですが、器のあるリーダーにとって改善案はとても喜ばれるものなんですよ。

日本でも、江戸時代から続いた「安定時代」は既に終わっています。
「生まれ」や「育ち」だけが社会的階級を決める時代は、とっくに終わってるんですよ。

なら、どんどん自分を出して、「出る杭」になって、「こういうのができます」とアピールしていくことですよね。

すると、言い続けていれば、必ず一度だけチャンスが与えられます。
そのチャンスをしっかりモノにできるように、準備をして実力をつけておくことが大切ですよね。

それに、これからは国際社会になるので、そういう「新しい常識」を植え付けておくといいかなと思います。

そんな感じで、ついつい宇宙兄弟から大きく語ってしまいました(笑

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