最短距離で成功するのもいいが、挫折も人に魅力を作るものだ。
旅行でも、最短経路だけしか知らない人の話は、似たり寄ったりだ。
しかし、「ここには実は、こういうところがあってね」と、自分なりの道を見つけ出して、楽しんだ人の話は、面白い。
私が過去に指揮していたチームで、こういう人がいた。
彼は、元々はオーケストラの音楽家を目指していた。
しかしその夢に挫折して、潔く方向転換をして、シナリオライターに転向した。
彼は今は第一線で活躍しているが、ただ単純に、すんなりシナリオライターになったよりも、より人として幅があり、魅力があるものだ。
以前はヤクザだった人がいた。
だが、今はすっかり足を洗って、パン屋で元気よく人々に「おはようございます!」と笑顔を向けられる人。
そういう人には、深みがある。
若い時に両親が離婚して、ずっといじめられた人がいた。
しかし今では落ち着いて生きることができ、優しく微笑むことができる人。
そういう人は、ただ幸せな環境で生まれて微笑むことができる人よりも、人として深みがある。
失敗も、苦しみも、挫折も、回り道も、それを乗り越えたら、人としての幅や深さになるんだ。
そういう人の話は、面白いし、説得力もあるし、また、魅力がある。
挫折も、回り道も、歓迎しよう。
それは、将来へのギフトになるのだから。