さて、そろそろ学生さんにとっては就職活動シーズンですね~。
ということで、今回は私の経験や心理学を踏まえた「ブラック企業に入らないための5つの考え方」を紹介してみようかと思います。
●1:数字だけを見て決めない。
私はクリエイティブなことをしていて、同時に同人からプロへの橋渡しもしているので、時々「ゲーム会社に就職したいんですけど」という相談を受けることがあるんですよ。
そこで学生さんから話を聞いてよく思うのが、ほとんどの人が雑誌やWebの企業サイトにある数字情報だけで判断しているということですね。
例えばよくある例が、「ここが一番給料もよくて、福利厚生もいいから、ここにしようかと思ってるんですが……」というものです。
私が思うに、これだけで決めるのはとても危険で、「なぜ他の多くの会社はそれ以下なのに、そこの会社だけ多くのお金や福利厚生を出せるの?」と考えてみることが大切です。
最近ではどの会社も競争していて儲けを出すのに必死だったり、生き残るのに必死な状況なんですよ。
それなのに、経験もない新人によそよりも多くのお金を出すというのは、「どこかにしわ寄せがある」ということを含んでいる可能性が多いものです。
美味しい話には、必ず裏があるものです。
●2:実際に働いている環境を見てみる。
まずはその環境で実際に働いている人を見るようにしましょう。
その職場では、社員が明るく元気に働いているでしょうか。
それとも、暗く病的で、いかにも「やりたくないことをやらされている」という感じでしょうか。
給料や福利厚生などの数字だけではなく、職場で働いている人を見るようにしましょう。
職場が見られないのであれば、会社に入っていく人を見てみましょう。
会社に元気に入っていくのであればいいでしょうが、肩を落として刑務所に入るような足取りの社員ばかりであれば、そこは危険信号です。
これは実際に数社でも見比べて回ると、ありありと分かるものです。
例えば通学途中にでも、会社に入っていく人たちの様子を観察してみましょう。
すると、軽い足取りで会社やお店に入っていく人と、足を引きずるようにしてうなだれながら入っていく人と、はっきり分かれているのに気がつくと思います。
そして、実は小さなお店や会社ほど、明るい足取りである率が高いことにも気がつくかもしれません。
すると、どういう会社が充実感があって楽しくできているのか、もしくは病んでいるかという会社の「病んでる度(充実度)」を見極める経験値を積めるようになります。
このスキルがあれば、職場を見たときに「この会社は重度の病んでる度だな。危険危険」、「この会社は安全そう」というのが直感で分かるようになるでしょう。
通学途中に、観察してみることをオススメします。
●3:会社説明で、いい点ばかり説明されたら要注意。
会社説明を受ける際に、その会社説明で「うちの会社はこれだけ素晴らしいですよ」といい点ばかりを説明されたら要注意です。
私が思うに、ブラック企業にはまってしまう人は、劣等感が強い人のように思えます。
というのも、劣等感が強い人は、「自分が他の人にどう見えるか」が最大の焦点であり、「自分が何をしたいのか」とか「相手が何を狙っているのか」まで踏み込めない場合が多いからですね。
だから、綺麗できらびやかな会場で、居心地がよくていい演出のある会社説明で、バリバリに成功しているような社員が堂々と「うちの会社はこれだけ素晴らしいんです!」と言うと、「俺もあんな風に見られたらいいな」と、ころっと信じてしまうわけです。
そもそも、なぜその会社は「自分の会社はそんなにも素晴らしい」ということを見せつけなければならないのか、それを考えてみることが大切です。
ではどのような会社説明をする会社がいいのかというと、「素晴らしい業績や環境」の一辺倒ではなく、淡々と事業内容を説明するか、もしくは悪い点までをも説明してくれる会社がいいと言えるでしょう。
その理由としては、企業は「コストをかけずに、良質な人に来て欲しい」という思いがあるためですね。
実は、採用にも多くのコストがかかってしまうものです。
面接をするにしても、試験をするにしても、企業は多くのコストをかけているものなんですよ。
でも一方で、会社にとっては、自社に「有能で情熱がある人だけに来て欲しい」という思いがあります。
だから私の場合でも、まず最初に「うちのチームはきついですよ。謝礼も平均より相当低いですからね」と宣告しておきます。
実際はちゃんと払っていたとしても、わざと低めで通知するわけです。
すると企業は、「お金だけを求めている人」「何となくで来た人」を切り捨てることができて、「本当に情熱がある人だけ」に面接やら試験に来てもらうことができるからですね。
そして、採用コストも引き下げることができると。
それに、初任給などの数値を高めに表示して、後から引き下げると大問題になるものです。
逆に初任給などを少し低めに表示して、後から上げるのは全く問題にならないどころか、喜ばれることになりますからね。
特に最近は「人余り」な状況なので、企業は「数値を高く表示するメリット」が薄らいできています。
数値を高くしなくても、それなりに有能な人からの応募が来るわけですね。
すると、逆に数字を低めに示しておく方が、企業にとってはコスト的にもメリットがあるわけです。
人が思うように集まらなければ、後で数値を上げればいいんですから。
企業は、条件が少々悪くても、情熱がある人にだけ来て欲しいと思っています。
そして、そんな情熱がある人だけを大切にしたいわけですね。
人情がある会社ほど、自社の悪い部分をも出して、それでも来てくれる人を選びます。そしてずっとその人を大切にします。
冷徹な会社ほど、きらびやかに演出して、多くの人をだまして来てもらいます。そして酷使して、使い物にならなくなったらすぐに捨てます。
これに注意しておくといいでしょう。
●4:自分が何をしたいのかを考える。
いったい自分は、人生で何をしたいのかを考えてみるといいでしょう。
人生で何をしたいのか分からないから、目先の数字だけで決めてしまうわけですね。
そもそも、初任給というのは最初の一年間の給料の数値だけで、二年目からどうなるかという保証があるわけではありません。
そして、どんなに給料が高くても、ストレスばかりで病気になるような職場では、幸せを味わえるはずもないでしょう。
「給料が悪くても、これならいい」、「少しぐらい他よりも条件が悪くても、ここなら全力でできそう」そういうものを考えてみましょう。
そのためにも、徹底的な自己対話が大切になるでしょう。
自分が好きなことは何?
今まで何に対して、情熱的にできた?
どんな姿になっていたい?
それが、「うわべだけの会社」に入ってしまうのを防ぐことにもなるのです。
●5:10年後もそこにいたいのかを考える。
そこで働いているキャリア10年程度先輩を見てみるといいでしょう。
もちろん、会社説明に来るような人ではなくて、先に説明したように「実際に現場で働いている人」を見ましょう。
その会社で働いている10年先輩の姿が、将来の貴方の姿です。
会社に入っていく人たちを見て、「うわ、私もあんな風になりたい!」と思ったら、そこはいい会社である可能性が高いでしょう。
ですが一方で、「うわ……10年後、あんな風にはなりたくないな」と感じたら、そこは貴方には合わない可能性が高いものです。
ここまでで5つを説明してきましたが、どれにも言えることが、数値だけでなく「現実」を見てみることです。
秀吉は、信長に仕える前に、何年も周辺国を見回って「誰が次の世代の覇者になるか」を見て回ったと言います。
就職はその後何年も、時に何十年もの人生を費やす大きなことなので、「足を使ってしっかり見る」のを強くオススメします。
ということで、5つのアドバイスでした。
参考になれば嬉しいです。