昨日の記事で、記憶のメカニズムを説明しました。
そのコメントで、「なら、朝に勉強したら忘れやすくなるの?」という質問をいただいたんですよ。

ということで、今回は記憶のメカニズムから「学んだことを忘れにくくする、3つの暗記テクニック」と題して説明してみましょうか。
しかも、「落ちこぼれ学生でも、ナンバーワンになれる」という触れ込みつきで。

結論から言うと、次の3点が重要になります。

  • 朝に学んだら、5~20分程度、昼寝をする
  • 学ぶ意味を見つける
  • 同じ内容を、睡眠を挟んで3回程度は反復する

以下で詳しく説明しましょう。

 

1.朝に学んだら、5~20分程度、昼寝をする

人の記憶は、まずは脳の海馬という部分で短期記憶として保存されて、寝ることによって、それが側頭葉に長期記憶として整理・保存されます。

つまり、覚えた内容は、寝ると長期記憶に保存されて、記憶されるわけです。

短期記憶の容量は限られているので、寝ないで徹夜して勉強したら、古い情報からどんどん削除されていってしまいます。
人の短期記憶は一日17時間(24時間マイナス睡眠7時間)分は記憶できるようになっていますが、正確に言うと、それは「普段の暮らし方で17時間は耐えられる量」という意味です。

でも、私たちって、普段からそんなに覚えたり、短期記憶で覚えているものではないんですよ。
だいたいがルーティーンや惰性で動いていたりしてるので、覚えることなんてほとんどないと。
なので、個人差はありますが、実際は「2~3時間でも真剣に覚えようとしたら、短期記憶量は飽和してしまう」ものだと思えばいいでしょう。

だから、覚えたければ、頻繁に長期記憶に移動させることが大切なわけです。

 

そこでオススメなのが、昼寝です。
朝に学んだ内容は、時間が経つにつれて忘れやすくなるものです。
そして、しっかり学べば学ぶほど、短期記憶はいっぱいになってしまいます。

でも、少しでも昼寝ができれば、それを長期記憶に持って行くことができて、短期記憶をクリアできるんですよ。
寝る時間は、5分~20分程度で大丈夫です。
ぐっすり眠らなくても、目を閉じているだけで、5分ぐらいしたらアルファ波が出始めて、脳内の記憶が整理され始めます。
(私の場合、目の裏に光の筋が走るような光景が見えて、「あ~、記憶の整理が始まったな~」と分かります)

そうすることで、短期記憶をクリアして、長期記憶に情報をインプットできるようになります。

ただし、夕方以降は眠らない方がよいでしょう。
夕方以降に寝ちゃうと、肝心の夜に眠れなくなりますので(笑

 

2.学ぶ意味を見つける

「寝たら長期記憶に入るはずなのに、忘れるやん」って思いますよね。
それは、脳にとって「重要性が低い」と判断されているから、「保存はしているけれども、奥の方の『重要ではない』という部分に格納されて、記憶を引き出しにくい」という原理だったりします。

つまり、長期記憶については「覚えていない」のではなくて、「引き出しにくい」ということですね。

ほら、一度通ったことがある道は、大抵「あ、ここ通ったことある」って覚えているものじゃないですか。
何十年も前の、幼い頃に一度だけ通ったことあるような、そんな道でも覚えているものなんですよ。
それぐらい、人の脳は「一度見たものは忘れない」という優れた性能があります。
ただ、それを引き出せないだけで。

私は、記憶については、人の脳に性能差はほとんどないと思っています。
ただ、引き出しやすいように保存しているかどうか、という違いがあるだけで。

なら、どのようにすれば、引き出しやすくなるのか。

一つの方法として「その情報に重要度を与える」ことがあるでしょう。
重要なことは、忘れにくいものですよね。
逆を言うと、なぜ覚えられないのかというと、その情報が「重要でない」と分かっているからです。

ならどうすれば重要だと脳が認識するかというと、学ぶ意味を見つける、というのがよいでしょう。
これは、まさにその情報に重要度をつけるということですね。

「これは将来、こういうのに役立つだろう」という理由を、こじつけでもいいので考えるわけですね。
すると、情報に重要度が与えられるので、忘れにくくなると。

 

3.同じ内容を、睡眠を挟んで3回程度は反復する

これも引き続き重要度をつけることになりますが、私の学生時代の経験では、睡眠を挟んで3回程度は反復するのが効果がありました。

繰り返し入れれば、重要だと脳が錯覚すると。
そうすることで、引き出しやすくなるわけですね。

朝に学んだら、一度寝て、夜にまた同じ内容を学びます。
そして夜に寝て、次の日の朝にまた学びます。
そうすると、それだけで当分学ばなくても、しっかりと思い出せるようになるものです。

 

 

こうして落ちこぼれ学生が、ナンバーワンになった

ちなみに私は、高校1年生の一学期末のテストでは、全校生徒の中で下位1/3に入る成績でした。
物理ともう一つ赤点があって、いわば、「ほぼ落ちこぼれ」という状態で。

でも、高校の2年ぐらいから、「寝た方が覚えられるな」と気がついたんですよ。

それからは、学校でも、午後イチの授業は「眠たければ寝る」というスタンスにしました。
というのも、「眠たいのを我慢して、午後全部の授業をフイにする」よりも、「20分でも授業を犠牲にして寝て、残りの授業をしっかり学べる」方が効率的でしょ。

だから、昼休み後の授業で、眠たければ即寝てました(笑
もう抵抗すらせずに(笑
先生にバレずに寝るスキルも高まったので、ほぼ注意もされずに(笑

すると、不思議と記憶できるものなんですよ。

最終的に、私は上記のコツを身につけてから、高校3年最後の実力テストで、校内ナンバーワンになりました
私が通っていたのは市内でも一番の公立進学校で、私は普通科でしたが、頭のいいエリート連中が入る理数科ってのがあったんですよ。
その理数科も含めてのナンバーワンですからね。
最初は半分落ちこぼれだった私が、ですよ。

私はこのコツで、大学時代も最初は全然だめだったのが、最後にはその学科で一番人気だった研究室のうちの一つに入ることもできましたし。
だいぶお世話になったコツでもあります。

 

「成績が上がってゆく」のが楽しくなったコツ

他にも、いくつかコツはありました。

勉強していて「あー、頭が飽和してきたな」って感じたら、それ以上は詰め込まないようにしてました。
ちょっと散歩に出たり、ぼーっとして、あまり刺激が強くない休憩をすると。
そうすると頭に余裕が出てきて、また集中して記憶できるようになりました。

そして私は、英語だけ前日に予習をしたんですよ。
ただ単に、教科書を読んで、分からない英単語の意味を調べるだけ。

でもこれだけで、次の日の内容がすーっと理解できるようになったんですよね。
たった一回の反復だけでも、威力があるもので。
すると、どかーんと英語の成績が上がったんですよ。

だったら勉強が面白くなって、他の教科も「前日にちょろっと(1~2分程度)教科書を眺めて、寝て、次の日に授業を受ける」……たったこれだけで、爆発的に成績が上がったんですよね。

 

塾はあんまり意味がない!?

だから、記憶のメカニズムという観点から考えると、私は塾というのはあんまり効果はないかなと思っていたりします。
もし塾があるとすれば、「学校で勉強する内容を前日に学ぶ」、もしくは「学校の内容と同じ教材、同じ問題を、ほぼ同時期に進める」というカリキュラムなら効果がありそうな。

そして、「当日に学んだ内容を、家や塾で復習する」は、ほとんど効果がないわけです。
というのも、睡眠を挟んでいないからですね。

睡眠を挟んでの、比較的短い間隔での反復学習が大切だということです。
でないと、学習する内容の重要度が高くなりませんからね。

 

東大生、京大生の「記憶術」

ただ、これは私程度のレベルなので、東大とか京大に入るような人は、さらに「情報を引き出しやすいコツ」を身につけているかと思います。
例えば、英単語や概念でも視覚的に覚えたりとか、位置情報とか他のものと関連づけたりして「記憶を引き出しやすくする」という方法とかを使っているのかなと。

ほら、テストでも、「ノートのあの場所に書いたってことは思い出せるのに、何を書いたか思い出せない!」みたいなことあるでしょ。
あれは、位置情報などの視覚情報は、比較的引き出しやすいという傾向があるからですね。

そんな風に、「引き出しやすいコツ」に絡めて覚えることで、すんなりと情報を引き出せるようになるものです。

そうすることで、「一度学んだだけで、東大に合格するような学力を得る」のも可能だと思います。
そのレベルのコツまでは私には分からないので、そういうのは東大生や京大生に訊いてください(笑

 

本当に大切なのは、社会に出てからの「学び」

とはいえ、ここまで説明してきた私がこんなことを言うのも何ですが、高校の勉強なんて全部一夜漬けでいいかなと思います。
というのも、中学・高校の勉強なんて、実社会に出てもほとんど役に立たないからですね。

「こんな勉強、社会に出たら二度と使わないよ」と思うものは、ガンガン一夜漬けで乗り越えた方が、より「賢い」処世術かなと思います。

本当に大切なのは、社会に出てからの学習だと思います。
それは、自分のスキルや収入に直結して、特に独立していれば、学べば学ぶほど、収入は天井知らずに伸びていきます。
それに、より素晴らしい仲間や友人に巡り会えるようになります。

よく大人で「学生時代に学んでおけばよかった」などと愚痴を言う人がいますが、本当に必要な内容であれば、大人になってから学べばいいものです。
私は初めてゲームシナリオを書いた時、小学生の国語の文法から学び直しましたしね。
今でも、毎日きちんと時間を取って、自分にとって必要な心理学やらリーダーシップ、経営や自己啓発などを学んでいます。

 

大人になって、必要になってから学んでも遅くない

大人になってから努力をせずに「若い頃に学んでおけばよかった」などと言う大人は、「今以外の自分が学んでおけばいいのに」という押しつけであって、「楽をしたい」という怠け者根性かなと思います。
そういう人に限って、休日にダラダラしたり、仕事後に家に帰ってから、学ぶこともせずに何時間もテレビを見ていたりするものです。
学ぶ時間はたくさんあるのに。

本当に必要なものなら、大人になって学ぶので、十分に間に合います。
「学生のうちに苦労をしておけ」なんて言葉を真に受けることはありません。

それよりも、学生の頃は、しっかりと遊んでおくことをオススメします。
遊んで、「自分はこれが好きだ!」という、打ち込めるものを見つけることですね。
それが将来にもつながりますし、好きなことを仕事にできると、それだけで進むべき道が見つかり、幸せになり、他の人よりも生産性が上がり、大好きな仕事ができる毎日が楽しくなるものです。

そして、「学ぶ」ことも、楽しくて楽しくてしょうがなくなります。

もちろん、40~50年前なら、私も「学生は苦労して学んでおけ」と言っていたでしょう。
ですが「いい大学に入れば、収入や安定が確保される」という時代は既に終わりました。
これからは、どれだけ自分の内面を見つめて、「これが好きだ!」ということに打ち込めて、人に価値を提供できるかで収入や安定が決まります。

そういうこともあって、高校時代は変に「勉強漬け」にならなくてもいいかなと思います。
のらりくらりと、試験を乗り越えるぐらいでちょうどいいかと。

 

まとめ

ということで、記憶のメカニズムから「学んだことを忘れにくくする、3つの暗記テクニック」を紹介してみました。

  • 「昼寝をする」
  • 「学ぶ意味を見つける」
  • 「睡眠を挟んで、3回程度は反復して学ぶ」

学生さんは、参考にしてくだされば嬉しいです。

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