「強くなりたい」と思う人の多くがはまる過ちとして、心を凍り付かせて、固く、冷たくなれば安心だと思っている人がいる。
しかし、実際は、心を固く、冷たくしていると、次第に活力や元気は失われてゆき、うつになり、最後には死にたくなってゆくものだ。
本当の「強い心」というのは、柔らかくて、暖かくて、しなやかな心のことを言う。
「負けてはいけない」というのは、弱さを隠そうとしている虚勢でしかない。
「相手と勝利を分かち合う」というのが、本当の強さだ。
「強い自分でなければならない」、「弱い自分ではダメだ」というのは、不安の裏返しでしかない。
「強くなくてもいい」、「弱くてもいい」と受け入れることが、本当の強さだ。
器が大きくて、強い人は、自分の弱さを受け入れている。
自分に「弱くてもいい」と許すことができているから、自分よりもできない弱い人を、許し、支えることができるのだ。
そういう人は、自分よりも弱い人に手をさしのべることができる。
しかし、自分に「弱くてはいけない」と押しつけていると、自分よりも弱い人を許せない。
そういう人は、自分よりも弱い人を否定し、見下し、傷つける。
自分よりも弱い人に手をさしのべるか、弱い者いじめをするのかは、自分を許せているかどうかで決まるのだ。
もし本当に強い心を得たいのであれば、柔らかくて、暖かくて、しなやかになることを目指そう。
勝敗よりも、許しを。
奪うことよりも、分かち合うことを。
閉ざすよりも、開け広げることを。
これを少しずつ始めると、次第に劣等感のある人は、次第に周囲からいなくなるだろう。
そして、同じように許しや分かち合いができる人が、「見える」ようになるのだ。
器がある人は、器がある人を見抜ける。
心を柔らかく、暖かく、しなやかにすることで、初めてそういう能力を身につけることができるようになるのだ。