自分よりできない人に対して、どのように反応するかは次の二種類に分かれる。
自分よりできない人をけなして、叩いて、見下す人。そういう人は、劣等感の強い人。
もうひとつは、自分よりできない人には手をさしのべて、支えてあげる人。そういう人は、劣等感のない人。
劣等感のある人は、自分よりも高い地位であったり、高い収入、豊かな状態、幸せな状態の人が、自分よりもひとつでもできないことがあったら、けなして叩いて見下す。
愚痴や不平不満も同じで、陰で叩いているのと同じだ。
それは、その根底に嫉妬と羨望があるから。
自分よりも頑張っていない人が、自分よりもよい状態にいることを、許せないのだ。
なぜなら、劣等感の強い人とは、幼い頃に、頑張らなければ親や周囲から受け入れられなかったから。
「ありのままの貴方でいいんだよ」と言ってくれる人がおらずに、「今の貴方ではだめだよ」、「もっと○○しなさい」、「いいかげん○○できるようになりなさい」、「○○ちゃんを見習いなさい」などと言われて育つと、絶えず「今のままではいけない」という強迫観念を持つようになってしまう。
そんな人が、「ありのままで幸せ」という人を見ると、その人は欠点だらけに見えて、実際にできないことも多い。
だけど、なぜかそういう人は好かれて、豊かになり、受け入れられている。
あの人は何も頑張っていないのに、苦しんでいないのに、頑張って頑張って、そして苦しんでいる自分よりも幸せだ。
「そんなの、許せない」
だから自分よりもできないことがある人を、けなして叩いて見下すのだ。
しかし実際は、劣等感のない人は、自分よりもできない人に手をさしのべることができる。
自分にできないことは人に助けてもらい、人ができないことで自分ができることは、助けてあげるという、余裕があるからだ。
そういう「ありのままでいい」という許しが得られている人は、助け助けられるために、「できる」という人の長所をベースに考える。
「ありのままでいい」イコール「みんなができる部分を生かし合えばいい」という発想がある。
だから長所を生かし合うために、人や自分の長所を見るようになる。
そういう「よい点」の信頼関係で結ばれるから、「よい点」を見る人たちに囲まれて、その人は好かれるんだ。
そして、自分の長所や武器も分かるから、自分にも自信がつく。
一方で、劣等感のある人は、「できない」という人の短所をベースに考える。
だから短所ばかりが目について、誰も信頼できずに、孤立してゆき、信頼できる人がおらずに、誰からも好かれずに、ひとりぼっちになってゆく。
同時に、自分の長所も見えずに、短所ばかりが見えるので、いつまで経っても自信がなく、迷惑になることを恐れ、不安で、「もっと頑張らなきゃ」、「もっと売れなきゃ」、「もっと有名にならなきゃ」と駆り立てられる。
そういう人が決まって言う大好きな言葉は、「頑張る!」だ。
そして、どんなに億万長者になったとしても、どんなに有名になったとしても、心から受け入れてくれる人はおらずに、永遠に孤独に走り続ける。
結果として、いつかクラッシュして、落ちてゆく。
もし、劣等感を克服したい場合、自分が幼い頃に受けた「洗脳」に気づこう。
頑張らなくてもいい。ダメな自分でいい。好かれない自分でいい。そう自分を許すことだ。
それを実行すると、それまで「頑張る」ベースで築き上げた全てを失い、一時的には落ちるだろう。
しかし次第に「好き」をベースに行動できるようになり、好かれるようになり、信頼関係で結ばれるようになり、豊かになり、頑張らなくても今まで以上のパフォーマンスを発揮できるようになるのだ。
すると、自分よりもできない人にも、手をさしのべて支えてあげることができるようになる。
それが、ひとつの劣等感を克服するコツなんだ。