今日はビジネス的な考え方のお話です。
「不景気」とか「厳しい業界」という言葉に惑わされない、というお話をしてみましょう。
「不景気」とか「厳しい業界」という言葉に惑わされないこと
ここんとこ、いくつかのページとかツイートで「プロでも食べていけなくなった時代」とか、「こんなんじゃプロでもやっていけない」とかいうメッセージやリツイートに触れたんですよ。
例えば(今に始まったことではありませんが)、絵描きさんでもアニメーターでも、1枚の絵の単価がすっごい落ちてきていると。
作家さんでも、出版不況で本の売り上げ部数が激減してきていると。
それで、「こんなんじゃやっていけない、なんて世の中だ!」と嘆いているんですが。
で、このメッセージを真に受けてしまうと、苦しいことになるように思います。
ほら、こういうことがよくあるんじゃないかと思います。
「不景気だから、どうせ自分が何をやってもダメなんだ」とか、「今は業界も厳しいし、自分なんかが独立するなんて、できやしないよ」みたいに思ってしまうことが。
そして意気消沈して、モチベーションが落ちてしまったりするんですが。
でも、そこでそういう「不景気」とか「厳しい業界」という言葉に惑わされないようにすると、ちゃんと利益にもなるし、豊かになる道が開けるように思います。
騒いでいるのは、儲からない人だけ
これはよく言われることですが、「儲からない!」とか「プロでも食べていけなくなった!」、「プロの厳しさをなめるな!」、「こんな業界狂っている!」とか言っているその人、リツイートしているその人を見てみるといいでしょう。
たいてい、プロでも売れていない人や、売れなくなってきた人ですから。
しかも、今にもまさにフェードアウトしようとしている部類の人が、そう騒いでいることが多いわけです。
言うなれば、儲からない人ばかりが騒いでいるだけで、儲かっている人は黙っているんですよね。
だから周囲の人は「今は不況なんだ」と勝手に思い込んでいるだけです。
それに、ニュースサイトやマスコミ、ネタ系サイトでも、悲鳴を取り上げる方が売れますからね。
逆に、儲かっている人は、「儲かっている!」と言ってもいいことはほとんどないんですよ。
特にニッチで確実に稼いでいる人なんて、言っても競合を増やすだけで、いいことありません。
でも、どんな状況でも、小さくても売れている人や業界はあります。
実際、かの世界恐慌の一番ひどい状況でも、1割ぐらいの会社は増収増益を重ねていたぐらいですから。
今はより流通経路が自由になって、とりうる戦略も大幅に多くなった時代です。
すると、実は騒いでいるのはごく一部の人だけで、うまいことをやっている人は多くいると分かります。
今までも、こういうことは何度もあった
これは、今に始まったことではありません。
産業構造に大きな変化が生まれ始めた産業革命以降、常に言われ続けたことです。
例えば産業革命が起きて、農業社会から工業社会に移り変わり始めた時に、人は「農業が儲からなくなった! 不況だ! こんなのおかしい!」と騒ぎ立てました。
それは単純に、工業を制した方が、お金が得られる時代になったからですね。
手作業で必死で畑を耕すよりも、機械を使って畑を耕す方が、圧倒的に生産性が上がるんですから。
その変化が分からない人ほど、「農家が食べられなくなった! このままじゃ、この国の農家は崩壊して、国が滅びる!」と恐怖を騒ぎ立てます。
でも実際は、機械をうまく使った会社や個人が農業経営をして、より安く、より安全に、より安定して農作物を提供できるようになりました。
ポケベルから携帯電話に移り変わり始めたときも同じです。
ポケベルに携わっていた人たちで、時代が読めない人ほど、「ポケベル業界が儲からなくなった! ポケベル不況だ! こんなのおかしい!」と騒ぎ立てました。
そして「まじめに働いているポケベル業界人が、どんどん給料をカットされて、リストラされている! こんな世界、狂っている」と叫びます。
でも実際は、より便利な携帯電話が出てきて、より人々に喜んでもらえる製品やサービスが登場しました。
アニメや作家業界でも、同じことが言われている
最近に限らず言われている「アニメを作るアニメーター(動画担当)が儲からない! アニメーター不況だ! こんなのおかしい!」ということもあるでしょう。
そして彼らは、「まじめに1枚1枚絵を描いて、毎月何百枚という動画を描いた動画マンの月給が8万円で、これだとアニメ業界は数年以内に崩壊する!」とか叫んでいます。
でも実際は、3Dや海外発注などのより便利なサービスが出てきて、10年前よりもはるかに多くのアニメ作品が、よりハイクオリティで作られるようになっています。
ニコニコ動画では、どんどん個人がアニメや動画を作ってます。
終わるどころか、はるかに多くの作品に触れられるようになりましたし、新たなビジネススタイルが生まれました。
作家で言うと、「作家が儲からない! 出版不況だ! こんなのおかしい!」と言っているかもしれません。
そして「プロでも初版2000冊。漫画でも1週間以内で一定以上の売り上げがなければ、増刷はありえなくなってる。まじめに描いている作家が売れないなんて、こんなの間違っている!」と叫びます。
でも実際は、ウェブでは多くの漫画や記事が無料で読めるようになってます。
また、売る側は電子書籍で、ほぼノーコストで、すぐにお客に本を売ることができるようになりました。
すなわち、「こんなの終わりだ!」と言っているのは、より正確に言うと「(その人がしているビジネススタイルが)終わりだ!」というだけです。
業界は終わることはありませんし、むしろどんどん発展していきます。
そして日々、より高度で新たな職種が生まれています。
その「誕生」が見えずに「死」ばかりを見ているから、「毎日これだけの人が死んでいる。このままだと100年後には人類は滅亡する」という内容と似たような、見当違いなことを言っているわけですね。
ビジネスは、まじめに努力すれば儲かるわけではない
「こんなにまじめに努力をしているのに、売れないなんておかしい」という言葉も、的を外していると言えるでしょう。
ビジネスは、まじめにやれば儲かるわけではありませんし、努力すれば儲かるわけでもありません。
今のようなスマホ全盛期の時代に、どんなに血反吐を吐くほどまじめに頑張っても、ポケベルは売れないんですよね。
ビジネスと、まじめさや努力は無関係です。
すなわち、「まじめに努力すればお金が得られる」という時代ではない、ということですね。
以前は確かに、そういう時代はありました。
産業革命以前の農業社会では、産業構造や社会構造がほぼ一定で、個人の発想や知恵でひっくり返せるような状況ではありませんでした。
そういう場合、コツコツと努力をして、社会システムに従って認められることが、ほぼ唯一の出世方法でした。
ですが、今はそうではありません。
知恵とアイデア次第で、いくらでもお金になるビジネスは作れる時代になりました。
お金を得るのに必要なのは、「知恵」
お金を得るのに必要なのは、「知恵」です。
逆を言うと、まじめでなくても、努力をしなくても、知恵さえあればお金が得られるのがビジネスです。
そして、知恵を使う人ほど豊かになる、ということですね。
産業構造が変化するたびに、知恵を使う人が豊かになりました。
「これからはポケベルから携帯電話に移行するぞ」と分かった人から、どんどんと成長産業である携帯電話に移っていけばいいだけです。
「これからは、携帯からスマホに移る。ゲームや漫画も、スマホで見るようになる」と分かった人から、どんどんと先行して市場を確保したと。
他にも、ニッチな部分を攻めたり、アイデアで勝負したりと、さまざまなアプローチがあります。
すると、競合がいないので、楽に儲かります。
逆に、古い業界に残った「まじめに努力をしている知恵を使わない人」が、落ちぶれていき、過度の競争に巻き込まれて、悲鳴を上げるわけです。
そして儲かっている人たちは黙っていて、落ちぶれている人ほど騒ぎ立てる、ということですね。
まとめ
これが分かれば、世の中が悪いのではなく、ただ単純に「儲かる(利益率が高い)新たな場所に移ればいい」と分かります。
産業構造が変わりつつあることに気づけば、その「儲かる場所」を見つけ出すのは簡単です。
本当にお金が欲しいのであれば、知恵を重視することです。
知恵のないまじめさや努力は、ただの奴隷だと言えるでしょう。
知恵のない奴隷が豊かになることはありませんし、落ちぶれていくのは当然かと思います。
この現実に、早めに気づくことかな、と思います。
すると、実は努力をせずに、むしろ場所やポジションを変えるだけで十分に儲かるんだと分かるかもしれません。
ということで、今日は「不景気」とか「厳しい業界」という言葉に惑わされない、というお話をしてみました。
今日はここまで~。