今日は、ちょっとおどろおどろしい精神的なお話です。
「失敗して破滅」を防ぐためにも、損切りをうまくできるようになろう、というお話です。
人によっては、一度の失敗が致命傷になることもある
私たちは「こうやって生きていけたらいいな」とか、「これで利益を出したい」とか思いますよね。
だからリスクを取って挑戦しているんですが、やっぱり失敗ってあるものです。
そういう場合、人によっては一度の失敗が致命傷になることもあるんですよ。
例えば企業でも、80億円もの負債を抱えて倒産した、みたいなニュースがあるじゃないですか。
でも、ちょっと考えてみましょう。
なぜ、借金を10億円、もしくは1億円ぐらいで抑えられなかったのでしょうか。
それぐらいの負債で抑えられていれば、まだ楽ですよね。
もしくは赤字になった時点で会社をたたんだり事業をやめれば、いくらでも立ち直れたはずです。
なぜ破滅するまで借金を繰り返し、破綻してしまうのか
まあ、借金80億円でも、全部銀行や政策金融公庫などの公的機関だけから借りているのならいいんですよ。
で、最後にそこから借りたお金で、社員の給料と退職金を全部払って、仕入れ先にも全部払って、お客にも全部納品して、それで倒産させれば、人間的な信用は残るので復活できます。
国はいくらでもお金を印刷できるので、たいした問題はないからですね。
それなら、国からは嫌われたとしても、お客もファンも、仕入れ先も社員も損失は負わないので、「またあなたの商品を買うよ」、「新しいビジネスを開始したらお手伝いしますよ」と言ってもらえます。
でも、たいていの場合、消費者金融みたいな民間業者から借金したり、親や親類、知人友人から借りたり、社員への給料も退職金も払わず、仕入れ先へも払わずに倒産させてしまうわけです。
すると社会的信用すら失って、どうあがいても立ち直れなくなるんですよね。
すなわち、一度の失敗で、破滅してしまうと。
じゃあ、なぜそんな風に、破滅するまで借金を繰り返し、破綻してしまうのか。
その背景には、「損切りができない」ということがあります。
損切りができないと、「まだ復活できるはず」という幻想にすがりついて、クラッシュするまでしがみついてしまうわけですね。
ということで今日は、そんな破滅を防ぐ、「損切りをうまくできるようになろう」というお話です。
損切り(ロスカット)とは、撤退ラインを決めること
投資の世界では、損切り(ロスカット)がとても重要な考え方になります。
これは投資をする際に、前もって「予想に反してここまで落ち込んだら、その投資を手放す」という撤退ラインを決めることです。
例えば私の場合、「無借金経営をする。そのプロジェクトが赤字になったら、即刻撤退する」という損切りルールを設定しています。
だから、ゲーム制作でもアニメ制作でも、一度でも赤字を作ったら、無条件で即撤退ですし、過去もずっとそうしてきました。
他の経営者の場合、例えば「設備投資のために借金するけど、3ヶ月連続でキャッシュフロー(毎月の収支)がマイナスになったら、その事業はたたむ」とか設定できるかもしれません。
このルールは絶対で、これは「利益を作ること」よりもはるかに大切なことです。
というのも、ビジネスで10回や100回ぐらい失敗しても、うまく失敗させさえすれば、復活できます。
でも、人生を破滅させるのだけは避けなければなりません。
人生は、ビジネスや利益よりも大切なことです。
破綻する人は、損切りが下手
で、この損切りルールがあると、失敗しても軽傷で済みます。
それどころか、今までの利益が残っていることが多いので、新しいことに挑戦する余裕すらあるものです。
でも、破綻するタイプの人は、たいていこういう損切りが下手です。
そもそも損切りができず、「以前は利益になっていたのに、今はマイナスになったもの」を手放すことができないんですよね。
例えば、今はもう邪魔にしかならない、過去の人間関係を清算できなかったり。
今はもう役に立たない、過去の栄光にすがりついたり。
取っておいても使いもしない服や小物なのに、「いつか着るかも」、「いつか使うかも」と捨てられなかったり。
全部、損切りができないことを意味します。
こういう風に損切りができない場合、既にどんどんマイナスがふくれあがっているにもかかわらず、次のような幻想を持つようになります。
それが、「もう少し辛抱すれば、もう少し頑張れば、きっと昔の栄光ある状態に戻せる」という幻想ですね。
その「もう少し待てば立て直せる」は、起こらない
ですが、その「もう少し待てば、きっと立て直せる」ということは、まず起こりません。
ほぼ確実に、どんどん先細りになって、衰退していきます。
なら、なぜ「もう少し待てば、立て直せる」が起きないのか。
それは、世の中はどんどん変化していて、「価値が得られるタイミング」もどんどん変化するからですね。
私たちは成長し続けますし、周囲の環境も変わり続けます。
すると、時代が変化すれば、「価値が得られるタイミング」を過ぎたら、もう元には戻らないことがほとんどです。
「また上がるかも」と思うほど、利益率は落ち続ける
それどころか、ブームの衰退期では、「またブームが復活するかも」と思っているほど、実際の利益率(費用対効果)は落ちていく、という現象が起きます。
例えば趣味で言うと、マイブームが過ぎて飽き始めている段階なのに、お金をかけて新しいものを買おうとするようなものです。
大きなお金をかけても満足度は低いので、費用対効果は落ちるばかりですよね。
そして、利益率(費用対効果)が落ち始めると、思った以上の利益が得られずに、どんどん赤字になるものです。
すなわち、「割に合わない投資」になってしまうと。
ここで「ああ、ブームは終わったな」と思えば撤退できるのに、損切りができない人ほど過去の栄光に縛られて、お金がかかるだけなのに、なかなか撤退ができません。
結果として「過去の楽しみを、もう一度」と、利益にならないもの(充実できなくなったもの)に、どんどんお金や時間をかけてしまうと。
市場のライフサイクルは、元にはもどらない
ビジネスも、この趣味のメカニズムと同じです。
低い利益率なのに、どんどんお金をかけて、利益を得ようとします。
でも本当は、もうその活動は完全に「赤字事業」になって、撤退しなきゃいけない状態です。
もうみんな、ブームが過ぎて飽きちゃってるんですから。
市場にはライフサイクルがあって、「プラスだったものがマイナスになった」という時点で、逆には戻らないものです。
それなのに、「ブームがまだ続く」と感じているからこそ、「もう少し辛抱すれば、もう少し頑張れば、きっと利益を立て直せる」と思って、お金をかけてしまうと。
そして、ビジネスを立て直すために、借金をしてしまったりするわけです。
銀行や周囲の人たちも、「この商品のブームは、まだ続きそう」と感じているから、売り上げが落ちていてもお金を貸したりして、支援します。
仕入れ業者も、社員も頑張るでしょう。
でも、ブームが元に戻ることは、ほぼありません。
お客はそれに飽きてしまっていて、以前とは環境が変わっているんですから。
こうして復活できない傷を抱え、破綻する
そして、誰もが「このブームは終わった」と感じる時点に到達したとき、銀行も仕入れ業者も、社員も支援をやめます。
結果、もはや復活できないほどの状態で破綻するわけです。
皮肉なことに、そんな破綻するタイミングが、マイナスのピークになります。
すなわち、そのピークの後からは競争率が減るので、利益率は上がるんですよね。
趣味で言うと、「大きなお金や時間をかけて楽しみを得よう」とするのをやめると、たまにそれを楽しむ程度でよくなったりするわけです。
すると、費用対効果が上がって、価値が得られるようになるわけです。
私たちがビジネスに参入するのも、これと同じです。
大切なのは過去や今、どれだけ売れているかどうか(ブームかどうか)ではなくて、利益率なんですから。
ビジネスは、利益率が上がる時に参入して、利益率が下がり始めたら撤退するものです。
趣味は、楽しみが分かってきた時にお金をかけて、飽きてきたら撤退するものです。
まあ、株や為替、特定の業界などで、ブームが周期的に来るものも、あるにはあります。
もし「再びブームが来そう」と分かれば、そこから再度企画を立てればいいだけです。
それは、損失を作りながら待ち続けるよりも、一度整理してから立て直す方が、コスト的に楽なことが多いものです。
まとめ
これが分からないから、いつまでも損失に転落したものを「きっと立て直せるはず」と後生大事に持ち続けて、結果として破綻してしまうわけです。
すなわち、損切りができない人ほど、破綻してしまうと。
その根底には、「私からこれを取ったら、何も残らない」という恐怖もあるでしょう。
多くの人が、上昇期には「私には何でもできそう」と感じて、一方で先細りになる段階では「私にはこれしかない」と思い込みます。
でも、今の時代は、外の世界に新たな興味を持てば、いくらでも可能性は見つかります。
「外の世界」に目が向けられない最大の原因が、「損失となっている、古いものを持っているから」なんですよね。
これが分かれば、もう過去になったものを手放せて、新しいことを始めることができるでしょう。
すると、上手な損切りができて、すっきりして、新鮮で可能性に満ちた未来が見えるかと思います。
ということで、今日は「失敗して破滅」を防ぐためにも、損切りをうまくできるようになろう、というお話をしてみました。
今日はここまで~。