今日は昨日に引き続き、共感性と統合失調について説明してみましょう。
共感性が高い人ほど「つい未来を考えてしまう」タイプじゃないか、という仮説についてのお話です。
(今回の注意事項)
今回はだいぶ細かい話です。
今までなかなか書けるタイミングがなかったので、「書けるときに書いておこう」ということで、とりあえず理屈だけを出しておきます。
あと、今回のお話も私の中での仮説に過ぎませんし、科学的な根拠はありませんのでご注意ください。
まぁいつも科学的根拠なんてありませんが(笑
「つい未来を考えてしまう」タイプ
「つい未来を考えてしまう」というタイプの人って、いますよね。
いわゆる、時間の概念が強いタイプです。
いや、私がまさにそうですし、このブログを好んで見ている人はそういうタイプが多いんじゃないかと思いますが。
こういう「つい未来を考えてしまう」タイプは、今を楽しむよりも、「未来に不安を残しておきたくない」という安全を重視します。
例えば「夏休みの宿題を早めに済ませて、残りの休みを思う存分楽しみたい」とか、「資産や余裕を早めに十分に蓄えて、残りの人生を楽しみたい」みたいになりやすいと。
なら、なぜそんな風に「今よりも、未来を重視する」というシステムができているのか、ということです。
そこで今日は、脳内の「ミラーニューロン」というシステムについて説明してみましょう。
これが分かると、「共感性が高い人ほど、未来志向だ」と分かって、自分の性質を受け入れやすくなるかもしれません。
ミラーニューロンとは何か
昨日の記事でも少し触れましたが、私の中では、ミラーニューロンが「共感性」と「時間の概念」を作っているように思います。
ミラーニューロンとは、「(信頼している)相手の行動を、条件反射のようにまねしてしまう」という脳内神経細胞群です。
例えば相手があくびをしていると、私たちまであくびが移っちゃうことがありますよね。
他にも、例えば相手が「首元がかゆい」とかいていると、私たちも首がむずむずしてきて、かきたくなったり。
これはサルとかゾウ、一部の鳥でも、こういう性質を持ちます。
例えば実験用のサルを前に、研究者が落ちたボールペンを拾うと、サルも地面に何もないのに拾うまねをするわけです。
そんな風に、「信頼している相手の行動を、条件反射のように、相手の行動をまねてしまう」というシステムがあると。
まねをすることで、他者の工夫を取り込める
なぜこういうシステムを持つのかというと、きっと「他者が見つけた工夫を取り込むため」じゃないかと思います。
例えばサルの場合、とあるサルが工夫をして、新たな木の実の食べ方を見つけたとしましょうか。
そもそもサルやゾウ、鳥は言語能力が乏しいので、言葉で他者に工夫を教えられません。
それでも、この「まねをする脳内システム」があることで、他のサルがそれを条件反射的に行動をまねをして、自分もその方法を試せます。
なら、「この方法なら、今までよりも効率的に食べられる」と実体験で分かって、一気に効率的な食べ方が群れに広がると。
もしそういう「条件反射のようにまねをする脳内システム」がないと、工夫が他の個体に伝わりません。
だから、工夫を発見したサルが死んでしまうと、せっかくの発見が無為に終わってしまいます。
そういう意味でも、人間やサル、ゾウなどのミラーニューロンを持つ生命は、「基本的に他者のまねをする性質である」と言えるでしょう。
一部の工夫をするのが好きな生命が、新たな方法論を見つけます。
そしてそれをまねをすることで、工夫が社会に広がって、より高度な技術を追求してゆけると。
で、中には「右利き、左利き」の違いを作ったり、「同じ利き手ではなく、鏡のように逆の利き手で試す」種もつくることで、様々な効率化を試せるわけです。
ミラーニューロンが「共感性」と「時間の概念」を作る
で、このミラーニューロンが、「共感性」と「時間の概念」を作ります。
「共感性」とは、相手の気持ちをあたかも自分のことのように感じるシステムです。
その場合、相手の表情や仕草、姿勢、口調などを見て自分に当てはめることで、相手の感情を感じ取れます。
例えば相手が哀しそうな表情で、がっくりと落ち込んでいたとしましょうか。
すると、私たちも脳内でその姿を自分に当てはめて再現することで、「ああ、なんだか気分が落ち込んできた。これが相手の感情か」と分かります。
それはSNSのように文字情報だけでも、相手の感情を感じることもできます。
だから、ミラーニューロンが共感性を作っていると分かります。
時間の概念も、ミラーニューロンが作る
また、「時間の概念」とは、より正確に言うと「未来に起こることを、ありありとイメージできること」です。
実は、共感性が低い人でも、未来予測はできることがあるんですよ。
だいたい未来予測は、パターン認識能力が強ければ、できることが多いものです。
だけど、共感性が高い人ほどそれをリアルな危機や希望として体験できます。
例えば、「未来にこうよくなるかも」、「こう悪くなるかも」と、私たちは予測するとしましょう。
すると、その「脳内イメージ」に共感できる人ほど、喜びや不安が強くなりますよね。
もっと具体的に言うと、「明日から連休で、念願だった旅行に行ける!」とイメージできれば、仕事をしている今から楽しくなります。
一方で、「連休が終わっちゃう」とイメージすると、今はまだ連休中なのに、重たい気分になると。
つまり、「脳内イメージ」に共感することが脳内で優先されるので、脳内イメージで今の気分が上書きされてしまうわけです。
そういう脳内システムだということですね。
だから共感性が高い人ほど、未来に対する強い希望や不安、絶望を持ちやすいし、その「未来イメージ」が今の気分を大きく左右することになります。
ミラーニューロンが統合失調機能を作る
そしてこのミラーニューロンの働きが、まさに「統合失調」の機能だと言えます。
ミラーニューロンがあることで、他者に共感できたり、未来像で希望や不安を持ってしまうわけですね。
そしてもし幼い頃に、脅迫的な思い込みや学習をしてしまうと、病的な強迫観念や被害妄想につながることもあると。
また、未来のリスクに対してありありと危機を実感できるので、「理性で今の感情を押し殺す」ことができます。
例えば、「ここで泣くと、未来に怒鳴られる」と予測できると、その「怒鳴られる未来」をありありとイメージできます。
だから、その「未来のイメージ」が優先されることで、今の「泣きたい」という感情を抑圧できるわけですね。
これが、精神的な抑圧を作る土台になっているように思います。
そして、そういう「未来に影響しうる要因」は、山のようにあります。
だから、様々な要因を考慮することで、「配慮しすぎ、考えすぎ」という現象を引き起こします。
そんな風に、ミラーニューロンの働きが、様々な統合失調の機能を作り出していると言えるでしょう。
まとめ
なので、共感性が高い人ほど、「つい未来を考えてしまう」タイプであると私は推測しています。
そしてそれらの機能は、ミラーニューロンが土台になっている、という予測です。
なので共感性が高い人は、「どういう脳内イメージを持つか」で、だいぶ今の状態が変わるように思います。
まぁ、だからこそ多くの人が、「少しでもポジティブなイメージを持ちたい。ポジティブばかりでいたい」と思うんでしょうけどね。
でも、「ネガティブ側になってもいい」と安心を持てることでも、脳内でぐっと負担が楽になります。
それは、「こうならなきゃいけない」という不安が消えますからね。
そんな風に、自分の脳内メカニズムが分かると、解決の糸口が見えるかもしれません。
で、この辺のメカニズムが分かると、「これが自然なんだ。変えなくてもいいんだ」と自分の性質を受け入れられて、それを強みとして利用できるかもしれません。
ということで今日は、共感性が高い人ほど「つい未来を考えてしまう」タイプじゃないか、という仮説についてのお話でした。
今日はここまで~。