今日は久しぶりに、金融と「世の中の仕組み」について語ってみましょう。

「なぜ不景気は、悪いことではないのか」を説明してみることにしましょう。

 

なぜ不景気は存在するのか

ニュースとかを見ると、「不景気になるのは悪いことだ」ってよく言うじゃないですか。

実際に、「景気を悪くしてはいけない」とか、「好景気がいい」とか言われますよね。

 

でも、世の中には「不景気」というものが現実として存在するわけで。

じゃあなぜそんな風に、不景気が存在するんでしょうか

そして、つい数年前まで好景気だったのに、なぜ最近のように、急に不景気になるんでしょうか?

 

ちなみに私の中では、「不景気(景気後退)は悪いことではない。むしろ好景気と同じぐらい、世の中には必要なことだ」と思ってます。

じゃあなぜそう言えるのか、私なりに説明してみようかと思います。

そしてこれが分かれば、なぜこれからインフレ(お金の価値が落ちて、物価が上昇すること)が起きるのか、理解できるかと思います。

 

不景気とは「非効率を手放すこと」

ということで、なぜ不景気は悪いことではないのか。

結論から言うと、「効率化をする」部分が好景気になって、「非効率なものを手放す」部分が不景気になります

だから不景気も必要ですよ、ということです。

 

私たちは、いろんなことを効率化して、より人生をよくしています。

なら、効率化をすれば、非効率なものは手放さなきゃいけなくなりますよね。

すると、「非効率になったものを手放す」=「不景気になる部分を作ること」も、ライフサイクルとして必要になると分かります。

 

例えば農業の分野で、誰かが工夫で新しいトラクターを開発して、畑を効率的に耕せるようになったとしましょうか。

すると、そのトラクターを使う農家が、より安価に農産物を作れて、利益を出せます。

なら、そういう「効率化した人たち」ほど、より豊かさを得ます。

だから、お金も余るので、どんどんいろんなことにお金を使えて、その社会は好景気になるわけです。

 

「好景気」と「不景気」は、セットで訪れる

一方で、トラクターができたのに、ずーっと過去と同じように「技術を使わずに、価値も意味もないのに、ただ手作業で畑を耕し続ける」という人たちがいます。

そういう社会は、利益が減って当然だと分かります。

 

だから、「好景気」と「不景気」は、セットで訪れると言えます。

それは、「効率化をする」ことと、「従来の方法では、非効率になる」というのは、表裏一体だからですね。

世の中では「好景気と不景気は波のように、交互にやってくる」とか言われますが、実際は「同時に起きているもの」です。

 

じゃあなぜ波のように見えるのかというと、多くの人は現状維持をしたい性質を持つからですね。

多くの人が、「今までこうしてきたから」という理由だけで、それを続けて、利益を失い続けます。

一方で、「どんどんトラクターを使って、楽に畑を耕して、利益にする人たち」も増えていきます。

すると、社会的な時系列で見ると、そういう変化は波のような曲線を描くので、「好景気と不景気は波のように、交互にやってくる」と見えると。

 

景気後退は悪いことではない

なら、「好景気を作れば、不景気も同時にできる」、「景気後退は悪いことではない」と分かります。

それは「光ができれば、影ができる」、「ポジティブという尺度を作れば、ネガティブという尺度もできる」というのと同じようなものです。

 

そして景気後退というのは、「非効率なものを手放す」という段階です。

私たちだって、「これが使える!」と分かったら、今までの「使えないもの」は手放してゆくものです。

無駄なものを持ち続けると、逆に負担になりますからね。

だから、景気後退というのは悪いことではないし、必要なことだ、ということです。

 

景気後退をなくそうとしても無駄

もし景気後退をなくしたければ、「好景気が起きると同時に、不景気な部分を効率化する」か、「そもそも好景気を起こさない」かのどちらかになります。

そしてこれら「景気後退をなくそう」とする発想は、どれも現実的には問題だと分かります。

 

そもそも新たな技術は、「それが本当に、永続的に世の中をよくするのか」は分かりませんからね。

いろいろ試行錯誤して、テストをして、少しずつ取り入れていくものです。

それに、「好景気と同時に、不景気な分野を即座に効率化する」なんて、現実としてできないものです。

 

同じように、「そもそも好景気を起こさない」というのは、豊かさ作りを放棄することを意味します。

これも、人の性質としてできないものでしょう。

 

波のように変化するのでいい

だから、「好景気になった後で、不景気が来る。それが波のようになって、長期では上昇してゆく」でいいわけです。

好景気の時期には効率化する分野を増やして、不景気の時期では非効率な部分を手放す、ということですね。

 

これも、私がよく言う「陰と陽」と同じです。

「元気に活動したら、ぐっすり寝る必要がある」とか、「ポジティブに前進したければ、ネガティブにリスク対策する必要がある」とか、そういうのと同じです。

 

「好景気ばかりがいい」はバランスを崩す

で、これが分からずに「好景気ばかりがいい」とすると、バランスを崩してしまいます

例えば不景気になりそうになると、今の日本やアメリカのように、政府がどんどん中央銀行にお金を作らせて、不景気な業界にお金をつぎ込むことがあります。

すると、確かに不景気な業界にはお金が入るので、「不景気な業界」もお金が余るようになります。

 

でもその配ったお金は、長期で見たら、結局は効率的な方に移動するものです。

だから、お金をどんなに作って配っても、「不景気な業界」は不景気なままです。

一方で、好景気な業界は、どんどんお金が入ってくるので、好景気が続きます。

 

無駄に配ったお金が、やっかいな現象を生む

そして、そういう「不景気を作らないように、お金を作り続けること」が、やっかいな現象を生みます。

それが、例えば「貧富の格差が広がる」とか、「バブルが起きる」、「インフレが起きる」いう現象につながります。

 

まずは、結局は「作ったお金」は好景気な業界に行くので、「貧富の格差が広がる」となります。

で、好景気な業界は、どんどんバブルになります。

それでも無理にお金を作り続けて配っていると、「世の中に存在するお金の量」は増えるので、次第にインフレ(お金の価値が減り、物価が上がる状態)になっていくと。

 

だからバブルがはじける

で、世の中がインフレ(物価上昇)に耐えられなくなると、「これ以上、お金を作り続けられない」という限界に達します

そしてバブルがはじけて、不景気が来て、非効率な業界が淘汰されて、貧富の格差が減ってゆくと。

その後、十分に「非効率な業界」が効率化すれば、再び安定します。

 

かつての日本もそうだったし、今のアメリカや世界も、そのインフレにさしかかっている状況です。

日本のバブル時は、不動産価格が天井知らずで上がって、結局日銀が引き締めてバブルが崩壊しました。

今のアメリカや世界中でも同じで、インフレがどんどん起きていて、いろんな国の中央銀行が引き締めを始めているところです。

すると、もう少しすれば、世界中で起きているいろんな株式、不動産、債券バブルがはじけて、不景気が来ることになると予測できます。

 

だから「不景気をなくそうとすると、結局は波の落差が大きくなるだけ」だと分かります。

別の表現をするならば、「長期で好景気を作ろうとするほど、長期で見るとクラッシュが大きくなる」と言えるでしょう。

 

トータルでは「痛みの総量」は同じ

実のところ、長期で見ると、結局は「味わう痛みの量」は同じになります

そういう「変革する苦しみ」を、「今から少しずつ味わう」か、「後でまとめて味わう」かの違いでしかない、ということです。

 

私が好きなのは、「ポジティブも、ネガティブも、少しずつ同じように味わえばいい」というスタイルです。

「好景気と同時に、不景気も作って、随時少しずつ痛みを処理してゆけばいい」という感覚なんですけどね。

 

世の中は、痛みを先送りにするスタイル

一方で、世の中は「ポジティブばかりがいい。好景気ばかりがいい。ネガティブは嫌だ、不景気は嫌だ」という、痛みを先送りにするスタイルです。

つまり、今の世の中は、「苦しみは、後でまとめて味わおう」という方向に突っ走っているわけです。

そうして、ずーっと痛みを先延ばしにしてきたと。

 

確かに、非効率で不景気な業界を救おうとすれば、「しばらくは大丈夫」なんですよ。

でも、結局「味わう痛みの量」は同じです。

だから、おそらく5年以内に起こるであろう次のクラッシュは、今までにないほど大きな苦しみになるでしょう。

 

準備をしておこう

多くの人は「痛みを激痛にしても、後回しにする方がいい」という方を好みます。

ある意味、「短期的な快楽優先の生き方が、次の大きなクラッシュを引き起こす」ということです。

 

一方で、長期的に考えられる私たちは、しっかりと予測して準備をしておくこともできます

ならば、「長期の準備をして、短期のクラッシュを利用して、むしろうまく上昇にできる」と分かって、うまく利益にできるかと思います。

好景気の時に必要とされることと、不景気の時に必要とされることは、違いますからね。

なら、今から「好景気の時に必要なものを手放して、不景気の時に必要とされる資産を得ておく」とすることで、より豊かさを増やせるかと思います。

 

まとめ

これが分かると、「不景気は、悪いことではない」と分かるかと思います。

「陰と陽」と同じで、好景気と不景気は同時に起きるものだし、交互に起きてゆくものだからですね。

 

これは私たちの人生でも同じで、「得るものがあれば手放せばいいし、手放せば得られる」とも言えます。

簡単に言うと、「手放すことに慣れている人ほど、不景気は怖くなくなる」ということです。

すると、今から準備できるし、不景気になってもうまく対応できて、豊かさだとか、自分の人生を作れるかなと思います。

 

ということで今日は、「なぜ不景気は、悪いことではないのか」というお話でした。

今日はここまで~。

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