今日は世の中の仕組みについて語ってみましょう。
なぜ「日本にも強烈なインフレが来る」と予測しているのか、私なりに分かりやすく説明してみることにしましょう。
インフレ(ものの値上がり)という問題
アメリカやイギリス、そして一部の新興国を見ていると、もうインフレ(ものの値上がり)で大騒ぎじゃないですか。
まぁ「大騒ぎ」は言い過ぎだとしても、ブラジルやアルゼンチンみたいな新興国では強いインフレだし、スリランカでは暴動が起きているぐらいです。
ガソリン代やガス代が何倍にもなったり、イギリスでは電気代が2~3倍にもなっていて、だいぶ苦しんでいると。
で、こういうインフレの波は、「アメリカ&一部新興国→イギリス→EU→スイス→日本」という流れで波及しています。
実際にスイスはようやく最近中央銀行が利上げを始めて、インフレ対策を始めたぐらいです。
一方で日本ではまだ、全然インフレの実感はない状態です。
まぁ確かに輸入品の値段は上がってきましたが、さしたるインフレの実感は乏しいものです。
ならなぜこういう「時間差」現象が起きるのか、今日はそのメカニズムについて、私なりのロジックを説明してみましょう。
すると「アメリカやイギリスは、日本の先行指標だ。日本にも確実にインフレが来る」と分かり、準備できるかと思います。
インフレの時間差は「通貨タイプの違い」で起きる
とりあえず結論から言っておくと、この時間差は「通貨タイプの違い」によって起きていると私は考えています。
世界的に見ると、米ドルは基軸通貨で、言うなれば「毎日の生活で使う、短期で日常のお金」です。
一方で日本円は調達通貨で、「投資用に使う、長期であまり動かさないお金」です。
だから、価値観の変動が起きて「お金を動かそう」とした場合、「米ドルから急激に短期で使って、後に日本円にゆっくり長期で波及する」という現象が起きます。
ちなみに一部の新興国通貨は、通貨の価値が米ドルに密接にリンクしています。
なので、結果として「アメリカ&一部新興国→イギリス→EU→スイス→日本」という、「基軸通貨国から調達通貨国」という順番でインフレが普及している、という原理です。
(イギリスポンドは米ドルとユーロの中間的な位置づけ、スイスフランはユーロ圏の調達通貨側だ、という認識です)
「境地開拓から、社会維持へ」という価値観変動
これまでもちまちま触れてきましたが、今の私たちは、大きな価値観の変動の中にいます。
それが、今までは「新境地開拓が重要だ!」とされていたけれど、少しずつ「社会維持が大切だ!」と価値観が移ってきたことです。
私たちの活動には「新境地開拓」と「社会維持」があって、ここ10年以上、ずっと世の中では「新境地開拓が重要だ!」という価値観でした。
だから世界各国の中央銀行がお金を作り続けても、そのお金は先端IT企業に向かっていました。
なのでここ10年ぐらいは、GoogleとかAmazon、FacebookやAppleみたいな先端IT企業が膨大な利益を上げていたと。
一方で、社会維持にはさしてお金が流れてこなかったので、いくらお金を作ってもインフレ(食料やエネルギーなど、社会側の物価上昇)は起きませんでした。
ですが人々は、その「新たな技術革新や変化」にいつまでもついて行けるわけではありません。
「インターネットやスマホが便利だ!」と私たちは便利さを学んできましたが、普通の人がライフスタイルを変えるには限度があります。
AIとかメタバースとか、新たな技術は出てきていても、少しずつ「これ以上はついていけない」という限界が出てきました。
つまり、社会的に「新境地開拓とか、便利になるための変化は、もうお腹いっぱいだよ」となってくると。
なら、人々は社会維持を重視するようになり、今まで膨大に作ったお金が社会に戻ってきます。
ですが、社会にある資源は有限です。
なので、食料やエネルギーなどの、いろんな「社会基盤に必要なもの」が買われるようになって、インフレになってきたと言えます。
同時に、GoogleとかAppleの株価がピークアウトして落ち始めた、ということです。
私たちは、そういう長期の価値観変化の中にいる、ということですね。
インフレはアメリカやイギリスから起こる
で、前述のように、「お金を使う」という場合、私たちは「普段使いのお金」から使い始めます。
世界的に見ると、米ドルなどの基軸通貨が「普段使いのお金」で、スイスフランや日本円が調達通貨、つまり「投資で使う長期のお金」になります。
だからアメリカやイギリスでインフレが先に起こって、スイスや日本は後になると。
で、間が悪いことに、こういう長期だけでなく、短期でも急激にインフレになる事件があったんですよ。
その急激な引き金になったのが、2020年からの例の騒動です。(言論規制対策で、実名は伏せておきます)
本来ならゆっくり変化してゆくんですが、あの騒動で「家に引きこもるにしても、快適に日常を送りたい」という風に「社会で心地よく生きる」ことに価値観が置かれるようになりました。
だから、世界的に「米ドルで買えるもの」に群がって、アメリカで急激なインフレが起きたんだろうと思います。
そして、ブラジルやアルゼンチンみたいな新興国は、ドルに強く影響を受ける自国通貨を使っています。
なのでアメリカに合わせて、一部新興国でも強いインフレが来たんじゃないか、という私のロジックです。
日本の未来を予測する
この原理が分かると、日本や世界の未来を予測しやすくなると分かります。
まずは、インフレの波は「アメリカ&一部新興国→イギリス→EU→スイス→日本」(アバウトに言うと、地理的に西から東へ)という流れで波及します。
また、これは波の性質と同じなので、アメリカでは「急激に短期で変化」という波ですが、日本に波及する頃には「緩やかに長期で変化」になります。
アメリカやイギリスは、急激に変化するけれども、立ち直りは早いと言えます。
一方で日本は、ゆっくり変化して予測しやすいけれども、立ち直りも遅くて長く苦しむと。
そして「世界的なインフレが完全に収まって、新境地開拓が再び少しずつ起こり始めると、円安の流れも終わる」と言えます。
裏を返すと、それまで円安は終わらないと。
日本のインフレは長引きそう
なので波の性質を考えると、「日本のインフレは、かなり長引きそうだ」と予想できます。
というのも、その先行指標となるアメリカでは、1年半以上インフレが続いているのに、まだインフレが全然収まっていない状況だからです。
ちなみに今のアメリカは、「政府の政策がインフレを増進させつつ、利上げでインフレを抑え始めている」という、インフレのアクセルとブレーキを同時に踏んでいるような状態です。
簡単に言うと、「アメリカも方向性が統合されておらず、混乱している」と言えるでしょう。
だからどこまでインフレが高まるのか、どれぐらい続くのか、まだ分からないぐらいの「インフレ継続中」な状況です。
また、日本はさらに悪い条件を抱えています。
日銀は利率を上げると日本政府がお金を返せなくなるので、海外との金利差で円安まっしぐらだとか。(これは「日本では波が高くなる」ことを意味します)
日銀の財務状態が悪くて、株式が暴落したら日銀が評価損を抱えそうだとか。(これは「日本では波の高さがブーストされる瞬間がある」ということです)
なので私からすると、「日本に住んでいる場合、これは顔を青ざめさせる状況だ」と思っていいように感じます。
今の激しい円安でも、まだ「円安の序盤の序盤」でしかないからですね。
以前も触れましたが、2時間の映画で言うと、今はまだ序盤の10分程度ぐらいです。
だから今のところ、数ヶ月~半年単位では多少の上下はありつつも、5~6年という期間では「日本は円安になるし、インフレも強烈なものになりそうだ」という私の判断です。
これは完全に根拠のない想像ですが、10年後ぐらいは、1万円が今の100円とか1000円ぐらいの日常感覚で使われているかもしれません。
まとめ
これは私の中でのロジックなので、本当に世の中がこのロジックで動いているかは分かりません。
ただ、これならだいぶ、全体から見た整合性は取れているんじゃないかと思います。
安定した時期ほど、短期の細かい要素を優先する方が分かりやすいでしょう。
ですが変化する時期ほど、全体から見る方が、大きな流れを把握できて、本質を見誤らないように感じます。
つまり、「細かな変化が多くても、全体像が分かることで混乱を防げる」、「仮に短期予測が間違っていても、長期で復帰できる」ということですね。
なのでこういう大きめの「世の中が動いているロジック」が分かると、日本の未来を予測しやすいように思います。
そして適切な未来予測ができれば、普通の人にとっては危機でも、私たちにはむしろ利益にできます。
すると「少しずつでも、日本円を別の資産にしておこう」とできて、安心して準備ができるかもしれません。
ということで今日は、なぜ「日本にも強烈なインフレが来る」と予測しているのか、私なりに分かりやすく説明してみました。
今日はここまで~。