今日は、ちょっと久しぶりに内面のお話です。
なぜ人間には「自己否定」という機能が備わっているのか、というお話をしてみましょう。
つい自己否定をしてしまう人
「つい自己否定をしてしまう」って人、いますよね。
「どうして自分はこんなにダメなんだ」とか、「だから自分はダメなんだ」とか、いろいろ考えてしまう状態です。
だから、世の中には「自己肯定感を高めましょう」とか、「ポジティブになりましょう」みたいな、「ポジティブ万歳!」という教えが多いように思うんですが。
でも、ちょっと考えてみましょう。
そもそも、なぜ人間には「自己否定」という機能が備わっているんでしょうか?
なぜ自己否定機能が備わっているのか
これは私がよく使う論理ですが、もし不要なものであれば、人間がサルから分化して500万年という歴史の間に、その機能は退化して当然だろうと思います。
自己否定なんてせずに、周囲を責め続けていればいいんですから。
だけど、なぜかそういう「自己否定」という機能が、現在の私たちには残っているわけです。
なら、「自己否定機能は、私たちが生き抜くために役に立つから、残っている」と考えるのが自然です。
つまり、「自己否定で苦しむのは、自分に備わる機能を、違う用途で使ってしまっているからだ」と言えます。
で、これが分かると、「自己否定をしない」ではなく、「状況に合わせて、自己否定をうまく使う」ことができて、自己否定を受け入れられるかと思います。
自己否定は環境変化のためにある
じゃあ何のために自己否定があるのかというと、それが「環境変化に適応できる」ということですね。
まぁこれは考えたらすぐに分かりますが、季節が夏から冬に変わったのに、「季節が悪い!」と周囲を否定していても、寒さで凍え死んでしまいますからね。
季節だけでなく、世の中には自然災害とか争い、環境変化、社会の変化、技術の変化、価値観の変化みたいに、いろんな変化があります。
その場合、変化量が大きい致命的なものほど、「周囲を変えるのではなく、私が変わろう」とするほど、うまく生き延びられます。
そうやって自分の行動を修正することで、人間は生き抜いてきたわけですね。
だから「自己否定をする性質が強いタイプ」というのは、「変動する環境で生き延びやすい」と言えます。
逆に、「変動しない環境ほど、他者否定をして、攻撃や競争をするタイプが生き延びやすい」と言えます。
「環境変化が大きい場所に身を置く」戦略
なら、後は簡単なことです。
「変動する環境に身を置くほど、その自己否定機能を能力として発揮できて、優位になれる」ということです。
環境変化が大きい場所の見つけ方は、いろいろ軸があると思います。
「安定した大企業よりも、不安定な中小企業、もしくは個人」
「伝統的な業界よりも、伝統が崩されたり、新たな風が吹いている業界」
「固定化した街や場所よりも、変化しつつある街や場所」
そういう観点で見ると、自分に合う場所が見つけやすくなるかもしれません。
金融業界は、自己否定できる人が生き残る世界
例えば、私が最近いる金融業界なんて、まさにそういう「自己否定をできる人が強い」業界だと言えます。
というのも、金融市場の価格変動は、自分の力では変えられないからですね。
いやまぁ、銀行とか国家のように、膨大な富を持っている人や組織なら価格操作もできるでしょうが、個人レベルではまず無理な次元です。
すると、他者を攻撃する人ほど、自分を変えられないので、市場の変化について行けなくなるんですよ。
「金融市場で重要なのは、稼げるかどうかではなく、生き残れるかどうかだ」という言葉があるんですが、まさにそれです。
実際に、「自己否定しない人」というのは、周囲を変えられますが、一度の大きな環境変化が致命傷になります。
だから、例えば今までずっと大金を稼いで、高笑いしていたのに、たった1回のバブル崩壊で破滅してしまうと。
「ビットコインとか、S&P500のインデックスを買いさえすれば、簡単にお金持ちになれるのに。みんなバカだなぁ」みたいに、バブルを追いかけてしまう人が、まさにそうなんですが。
致命傷を避ける方が、豊かになれる世界もある
でも、自己否定できるタイプの人は、とにかく致命傷を避けようとするんですよね。
だって、「環境は、ある時を境に、突然変化する」と分かっているんですから。
暴落だけでなく、戦争とか地震とか、災害とか、リスクをリスクとして把握できるタイプです。
そしてそれが、実際に豊かさになる世界です。
確かに、ビットコインとかS&P500のインデックスを買っている人が高笑いをしているのを見ると、「うらやましい」と思うかもしれません。
でも、「季節は必ず変わる。その先にあるのは、崖だぞ」と分かる人ほど、そういう「ブーム的な誘惑」に惑わされずに、生き延びられるわけです。
実際に、ヘッジファンドなんてどれも小規模チームですし、「ヘッジ=危機回避」という意味でもありますからね。
これも、一つの「環境変化が大きい場所で、自己否定を能力として使った例」だと言えるでしょう。
まとめ
そんな風に、「自己否定をしてはダメなもの」ではなく、「自己否定を機能として使いましょうよ」ということです。
その指針が、「自己否定できる人ほど、変動する環境で生き延びやすい」ということですね。
自己否定で苦しみやすい人は、たいていが大きめの会社や組織に属していたり、伝統的な業界だとか、価値観が変化しない街や土地、人間関係の中にいるんじゃないかと思います。
その環境を考え直してみましょうよ、ということですね。
すると、自分の能力をうまく使えて、「自己否定は、私を豊かにしてくれるものだった!」と分かるかと思います。
ということで今日は、なぜ人間には「自己否定」という機能が備わっているのか、というお話でした。
今日はここまで~。