今日も人間心理のお話です。

精神科医から見ると、「統合失調気質と、うつ気質」で分類したくなる理由を語ってみることにしましょう。

 

精神科医の性質分類

ちょっとした記事をご紹介。

医師・和田秀樹が警鐘「あなたの調子が悪いのは、スマホのせいかもしれない」(President Online)(2ページ目)

内容は、「統合失調気質の人ほど、スマホが悪影響を及ぼすよ」というものですが。

 

まぁスマホうんぬんは少し置いておいて、この方の性質分類が面白かったので、ご紹介してみましょう。

この精神科医の和田先生は昔から本を多く書いていて、私自身多くを学ばせてもらったりします。

 

そしてこの方は、高共感な人でも「シゾフレ型(統合失調気質)」と「メランコ型(うつ気質)」という2つの分類をしています。(詳細はこちらのページ

それが、以下のような違いになります。

  • シゾフレ型(統合失調気質): 自分軸がないタイプ。ブームに流されやすく、「みんなと同じでいたい」と社会に合わせる。「広く浅く」の人間関係を好む。
  • メランコ型(うつ気質): 自分軸を持つタイプ。ブームに流されにくく、自分の価値観にこだわりたい。「狭く深く」の人間関係を好む。

 

4つの性質分類と同じ

これってまさに、私が提案している性質分類と同じですよね。

私が提案している4つの性質分類(外向型と、3つの内向型タイプ)がありますが、その上側の2つと同じです。

↑ この上側の、共感性が高い側の2つの分類(高共感タイプとHSPタイプ)と同じです。

 

  • 高共感タイプ: 自分軸がなく、自分の価値観と社会の価値観が同じになりやすい。工夫で新たなものを作るよりも、地道な努力で既存のものを学ぶ方が好き。
  • HSPタイプ: 自分軸があり、工夫で好きなことをしたいタイプ。努力で学ぶよりも、工夫で新たなものを作る方が好き。

 

高共感タイプは「統合失調」で、HSPタイプは「うつ」で受診する

ただ、和田さんの定義だと、それを「シゾフレ型(統合失調気質)」と「メランコ型(うつ気質)」と分類しているわけです。

本来なら、共感性が高い側、つまり高共感タイプもHSPタイプも、どちらも統合失調機能が強めな気質だと言えます。

また、どちらも苦しめば、うつになり得るものです。

 

ならなぜ和田さんはこういう定義にしているのかというと、それが精神科医だからだろうと思います。

精神科医に受診するときって、高共感タイプは「統合失調」で受診することが多くて、一方でHSPタイプは「うつ」で受診することが多いように思います。

 

高共感タイプは、統合失調で苦しみやすい

というのも、高共感タイプほど刺激にニブいし、社会と自分の価値観が同じなので、なかなか自己否定に陥りにくいわけです。

言い換えると、価値観が同じなので、ある意味「納得できる」と言えます。

「あの人の方が優秀だからなぁ。当然だな」と受け入れられることで、「成果が出ないこと」に落ち込んでも、「自分を変える苦しみ」はないと。

 

ただ社会維持型(外向型と高共感タイプ)の場合、自分軸がなく、社会からの影響を受けやすいという性質を持ちます。

そしてその「影響を受けやすい」というのは、統合失調にダイレクトに影響します。

というのも、統合失調とは「周囲の感情や、自分のイメージに、自分の感情や感覚が大きく左右されてしまう」という現象ですからね。

 

その場合、「自分軸がない」というのは、「周囲のなすがままにされやすい」と言えます。

「自分はこういう人間だ」と確たる地面に結びつけておく、言うなれば「碇(いかり)」がないわけですね。

だから、ロープが外れた小舟のように、ふらふらと流されるばかりになりやすくて、だから統合失調で苦しみやすいと。

 

なので高共感タイプほど、精神科医を訪ねる時は、うつよりも統合失調で受診しやすいわけです。

 

HSPタイプほど、うつで苦しみやすい

一方でHSPタイプほど、自己否定が起きやすく、だからこそうつで苦しみやすくなります

それは刺激に鋭くて、自分と社会の価値観が違うからですね。

 

「自己否定」とは、「社会の価値観に合わせられずに、憂さ晴らしもできない状況」というストレス下で引き起こる現象です。

ある意味、「自分を性質から変えよう」として、変えられずに限界まで頑張ってしまうと。

そして疲れ果てるまで努力して、ダメで、自己否定を起こしてしまうことになります。

 

なのでHSPタイプほど、精神科医を訪ねる時は、統合失調よりもうつや自己否定で受診しやすいように思います。

 

ただし自分軸はあるので、「こういうのが好き」とか、「こういう風に生きたい」というイメージやビジョンは持ちやすいものです。

すると、「周囲のなすがままにされる」と統合失調で苦しむことは、少なめになると。

 

精神科医っぽい分類!

こういう現象が分かると、「精神科医っぽい分類だ!」と分かって、ちょっと面白いですよね。

実際に私の周囲を見ても、やはりHSPタイプほど、うつを持ちやすいように思います。

 

ちなみに上記の記事では、「高共感タイプは、スマホで精神的な悪影響を受けやすい」と触れています。

それは高共感タイプ(社会維持型)になるほど、「社会と一緒の価値観であること」が重要になるので、社会が気になるからでしょう。

なので、自分軸がない人で統合失調気質の人ほど、目の前の情報に影響されて、感情を持って行かれて疲れやすいと。

 

以前の記事で、「低共感な人は、手軽な刺激があるので、スマホに依存する」と触れましたよね。

一方で社会維持型の人ほど、「社会に触れていたくて、スマホに依存する」と言えるでしょう。

スマホへの依存でも、種類が違うと言えます。

 

タイプで「影響を受ける質と量」が変わる

あと、これは昨日の記事の補足でもありますが、高共感タイプとHSPタイプで、「影響を受ける質と量」が変わるように思います。

つまり、次のような違いがある、ということですね。

  • 高共感タイプ: 親だけでなく、先生や友人、環境からも、幅広く影響を受けやすい。特に「権威者(社会的地位を持つ人)の言葉」に深く影響を受けやすい。
  • HSPタイプ: 親のように、ごく狭い人間から影響を深く受けやすい。特に「幼い頃に、長時間一緒に過ごさなければならなかった相手」に深く影響を受けやすい。だけど「社会や権力者の言葉」からは、さして影響を受けない。

 

だから高共感タイプ側になるほど、昨日の記事のように、「感情表現をしたくて、SNSでクリエイターたちとつながると、『独創性がないといけない』と悩みやすい」と言えるでしょう。

昔なら、「絵を学びたければ、絵の先生に従事する」のが普通で、それなら高共感タイプに合うように、教科書や技術を教えてくれたことでしょう。

 

ですが、スマホってどちらかというと、「自由」な側なんですよね。

自由にコミュニティを作って、自由に環境を作って、自由に出入りできると。

 

「選んだコミュニティ」が、自分向けだとは限らない

なら、その「選んだコミュニティ」が高共感タイプ向けだとは限らないことが多いものです。

HSPタイプほど、自分軸があるので「このコミュニティは合わないな」と分かれば、さっさと離れられます。

 

ですが高共感タイプほど、その辺の「何が自分に合うのか」がよく分かりません。

なので、「そういうものなんだ」と「自分に合わない師(メンター)」を得てしまって、影響されて苦しむように感じます。

 

つまり、高共感タイプは「メンターを選ぶこと」が重要なのに、その部分で間違ってしまうわけですね。

「ちゃんとした絵師や教師」から体系的に学ぶのではなく、「SNSにたむろしている、その辺のゴロツキども」をメンターにしてしまって、影響されて、苦しむんだと。

 

高共感タイプは、ちゃんとした1人のメンターに師事して、体系的に学ぶ方が、安定して力を発揮できるんですよね。

なので、安易な「スマホで、かいつまんで学ぶ」をすると、混乱して「地道に積み重ねる」という強みを発揮できなくなるように思います。

 

まとめ

こういう性質別のメリット、デメリットを深く知ると、「自分はこのタイプでいいんだ」と実感できるんじゃないかと思います。

他のタイプにあこがれたとしても、そこにはデメリットもあるんですよね。

 

なら、「自分の気質に合わせて、心地よく生きられるのが最強だな」と分かります。

すると、手放すものを手放せて、自分にとって大切なものを得られるように思います。

 

ということで今日は、精神科医から見ると、「統合失調気質と、うつ気質」で分類したくなる理由を語ってみました。

今日はここまで~。

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