今日は人間心理のお話です。
中二病は「抑圧の解放」に必要なシステムだと分かると、その存在意義が分かる、というお話です。
中二病の意味
世の中には、中二病ってあるじゃないですか(笑
調べてみると「中二病の特徴30選!」みたいな記事があったので、その内容を紹介してみましょう。
例えば急に反社会的になったり、メジャーなものを嫌ってマイナーなものを愛したり、自分に特殊な能力や使命があると信じたり、「病んでる」系な自分やキャラを愛したり。
それとか、周囲に自分の家族を隠したかったり、親が自分の部屋に入るのを嫌ったり、孤独なのがかっこいいと思ったり。
そういう「変な現象」を起こすのが、中二病だとされているようです。
一方で私は数日前の記事で、抑圧とはどういう状態なのかを図で説明しましたよね。
抑圧というのは、幼い頃に身につけざるを得なかった「他者の価値観」のことです。
だけど、それを14歳ぐらいからの反抗期で手放すことで、自分の価値観で生きられるようになります。
中二病とは、抑圧を解放するためのシステムである
裏を返すと、大人になっても抑圧を抱えているのは、その14歳ぐらいからの反抗期でうまく反抗できなかったからだと言えます。
もし抑圧を解放できなければ、例えば次のような現象を持つことでしょう。
- 何でも我慢してしまう。何でも頑張ってしまう
- 評価されたい、愛されたいという強い欲求を持つ
- 相手の期待を裏切るのが恐怖でしかない
- 暗く長いトンネルを歩いている感覚になる
- 自分と他者の境界が分からない
- フラッシュバックに苦しむ
こういう系統の「生きるのが苦しい」というのは、抑圧に起因することが多いと。
で、よくよく考えると、この中二病の状態そのものが、まさに抑圧を解放するためには最高の状態だと分かります。
すると「中二病って、すごくよくできている人間のシステムだ」と分かって、抑圧を解放しやすくなるかもしれません。
「精神の形」とは
それを説明するために、数日前の記事でも説明した「精神の形」を再度紹介しまししょう。
↑ これですね。
私たちは自分の中に、「自分の価値観」と「他者の価値観」、「代償欲求」という3つの価値観を持ちます。
そしてそれぞれに、ポジティブな状態とネガティブな状態があります。
ちなみに今回は、「自分の価値観」と「他者の価値観」の2つを用いるので、「代償欲求」は無視します。
そして、「他者の価値観のネガティブ側」(中央の下側、不可侵の聖域)に踏み込んで存在意義を疑えると、自分の中から「他者の価値観」は消えます。
それは、ネガティブ側に入ると存在意義を疑えるので、「他者の価値観のネガティブ側」に入ると「この価値観は無意味だ」と理解できるからですね。
だから私たちは、自分の中から、他者の価値観を消したいわけです。
すると自然と自分の価値観で生きられるようになり、抑圧によって起きる様々な症状も消えます。
自分の中から「他者の価値観」を消す、2つの要素
その場合、必要なステップとして、次の2つがあります。
- 自分が感情のネガティブ側に深く落ちること
- 別世界に目を向け、その世界の論理体系を知ること
この2つを満たすには、中二病の状態がまさにうってつけだと分かります。
感情のネガティブ側に深く落ちること
1つめの「自分が感情のネガティブ側に深く落ちること」では、私たちはネガティブになることで、自分の内面を変える準備ができます。
つまり「外部を変える」のではなく、「自分の内面を変える」ことができるようになります。
そして中二病の状態は、まさにそのネガティブな波に乗っていると分かります。
例えば中二病では、「病んでる系」なキャラが好まれるじゃないですか。
精神的に病んでいる系のキャラって、まさに「自分を変えるために自分の内面をいじり倒して、我慢して、それでもどうしようもなくなって限界点を迎えた」という状態のキャラです。
だから、少しのことでバランスを崩すし、欲望も出やすいし、そういうキャラが集まると争いになりやすいと。
そして「膨大な嘘の中から、本音を見つける」という過程が好まれます。
「世の中は、誰もが嘘つきだ」と不信感を持てているので、誰も信じない状態になれています。
そもそも自分自身の内面が信じられないし、「嘘に侵されて、病んでしまった自分」がいるぐらいですからね。
だから誰も信じずに、孤独になれることで、自分に向き合う準備ができます。
その「誰も信じずに、孤独になる」というのは、必要なプロセスだということです。
そしてそこから「嘘(他者の価値観)」を見抜くことで、他者の価値観を排除できるわけです。
象徴としての「太陽より月を好む」現象
それに、象徴として「太陽より月を好む」みたいな、ダークサイドが好きですよね。
これも、「太陽」が「誰もが仮面をかぶって、嘘をついて保っている社会」の象徴だとすると、「月」は「本音を出せる時間帯」の象徴だと言えます。
それだけ、「自分の中にある本音」に向き合う必要があるわけです。
そして私たちも、フラッシュバックは、そういう安らいだ時に起きるものです。
ちなみにフラッシュバックとは、言うなれば「自分の内面にある『他者の価値観』からの脅威や侵略」だと言えます。
過去に起きたトラウマ的な出来事が脳内で再現されて、「自分の中にある他者」が私たちを責めるわけです。
だから、特に「夜」という象徴が、「内面に向き合わざるを得ない時間帯」になると言えます。
フラッシュバックという「自分を否定する敵」は否応なしに襲ってくるので、嫌でも向き合わされてしまう、ということですね。
そんな風に14歳ぐらいからの時期では、「ネガティブな波に乗る」ことができているから、内面を変える準備ができているわけです。
別世界に目を向け、その世界の論理体系を知ること
そして2つめが、「別世界に目を向け、その世界の論理体系を知ること」です。
これによって、生きる場所を変えられるようになります。
中二病では「メジャーを嫌い、マイナーなものを好むようになる」と言われますが、「メジャーなもの」とはまさに「周囲が評価する、他者の価値観」です。
一方で「マイナーなもの」とは、「誰も評価しないけど、自分だけが興味、関心を持てる領域」です。
そして、そもそも「メジャーな生き方(他者の価値観)」が合わないから、抑圧を抱えているわけです。
だからマイナーなものを好み、その設定や世界観を身につけることで、自分に合う世界に移行できると。
また、「家族を隠したがる」とか、「親が自分の部屋に入るのを嫌う」なんてのも、まさに「生きる世界を変えようとしている」と言えます。
普通は、「家族関係の絆は大切なものだ。縁を切ってはならない」と言われていますが、反抗期ではあえてそれを希薄にすることで、自分の道に進めるようにしているわけです。
なので抑圧を解放するには、家族の絆は遠ざける必要があるし、遠ざけるのが自然なんだ、ということです。
「抑圧を手放すためなら、家族のつながりは切っていい」ということですね。
そして「親が自分の部屋に入るのを嫌う」というのも、自分の価値観を守るためだと分かります。
「自分の部屋」とは「自分の価値観」の象徴です。
なら、「他者の価値観」の象徴でもある親が、自分の部屋に入るなんて、まさに「他者の価値観によって、自分の価値観が侵略される」と同義です。
だから、友人や遠い親戚を自分の部屋に入れるのはOKでも、「親」には踏み込まれたくないわけです。
中二病は、よくできた「抑圧解放システム」
すると、中二病というのはとてもよくできた「抑圧解放システム」だと分かります。
それは、上記のように「ネガティブ側に深く落ちること」ができて、「別世界に移行できる」という状態になれるからですね。
ちなみに私の中では、女性においての「ビジュアル系バンドのファンになる」というのも、似たような抑圧解放システムのように感じます。
ああいうビジュアル系バンドって、ダークでネガティブな世界観を持つものですよね。
それによってネガティブな波に乗れて、抑圧を解放できるからです。
まぁ、こういうのは「誰かについて行きたい」という、自分軸がない人の手段のようにも感じます。
自分軸がある人は、むしろ「自分が何かを作りたい」という方向性が多いかなと。
高共感な人ほど、抑圧を解放する必要がある
だからおそらく、中二病にしろビジュアル系バンドのファンって、高共感な人が多いんじゃないかと思います。
つまり高共感な人ほど「精神層が厚い(リスクを考慮できる)」と言えるので、抑圧を抱えやすく、14歳ぐらいから解放する必要があるわけです。
一方で低共感な人で、なおかつ自分軸を持たない人ほど、「精神」が薄いので抑圧を持ちにくいし、自分軸を持たない人ほど周囲と同じで生きられます。
だから、そういう人ほど精神的に病む必要もないし、中二病の現象もなく、ビジュアル系バンドのファンになることもありません。
つまり、世の中は「抑圧を持たない人が多数派」だということです。
だから世の中では、「14歳ぐらいから、ネガティブな波に乗って、抑圧を解放しようとしている子たち」を見て、「変な奴らだ。中二病と名付けよう」と嘲笑しているように感じます。
その性質は、特殊能力である
だけど本当は、それって「精神が他の人よりも厚く、より様々なことを考慮できる」という特殊能力なんですよね。
つまり、精神性というのはある意味「共感性があるタイプ」であり、「未来を考慮できるタイプ」、「弱者救済ができるタイプ」でもあるという、多数派ではない素質を持ちます。
ならば、そういう人が「自分には、周囲とは違う特殊な能力や使命がある」と感じて当然だし、実際に特殊な能力や使命があると言えます。
むしろ「自分は周囲とは違う」と理解する方が、その「精神層が他の人よりも厚い」という能力を大いに発揮できると分かります。
なら、「中二病」という現象には、何も不可解なことはないと分かります。
そして外向型が「中二病だ」と嘲笑する理由も分かるし、その嘲笑は「様々なことを考慮できる能力を持っていて、うらやましい」という羨望の裏返しだと分かるでしょう。
いやまぁ、14歳ぐらいではその辺は理解できないかもしれないので、ただ単純に「自分とは違う種の人間だ」と恐れているだけかもしれません。
こうして「中二病」という「普通とは違う人たちを指す概念」ができあがったんじゃないかな、とも思います。
だから中二病は「病」ではなく、むしろ「治癒途中の副反応」と言う方が適切でしょう。
まとめ
なので14歳ぐらいからの中二病というのは、「一種の抑圧解放システムだ」と分かると、その内容がとても理にかなったものだと分かります。
そして抑圧を解放したい場合、その内容をうまく組み込めばいいと分かります。
その2本柱が、「ネガティブな波に乗る」と「別世界に目を向け、その世界の論理体系を知ること」ですね。
例えば私の場合、この夏は多く海を眺めていたし、夜には夕涼みをして夜空を眺めていたんですよ。
それはひょっとすると、普通の人から見ると「病んでいる。活動するのがポジティブだろう!」と感じることかもしれません。
だけどそれは、今思えばネガティブな波に乗っていたんだろうと思います。
だから、素直に抑圧を解放できたんじゃないかなと。
実際にそれを経た今では、今までフラッシュバックを抱えていたのが、かなりの部分で消滅しましたからね。
私は過去に何度かそういう「抑圧を解放する」という時期を経験していますが、以前の出来事でフラッシュバックが1/30ぐらいに減ったとすると、今回はさらにその1/10ぐらいになった、という感覚です。
もう以前からすると信じられないぐらい、フラッシュバックがなくなった状態です。
ただ、世の中には「ポジティブになろう!」と言って、笑って苦しみに飛び込んでいるような、抑圧を抱えた大人たちは多くいるものです。
そんな大人たちというのは、言い換えると「『嘘に侵されて、病んでしまった自分』にすら気づけなくなった、末期症状の人たち」とも言えるかもしれません。
ならば、「私は嘘に侵されて、病んでしまった」と自覚している人の方が、まだ回復できるようにも感じます。
まぁ、とても中二病的な表現ですが(笑
でも、事実そうですよね。
この辺のメカニズムが分かると、「14歳ぐらいからの反抗期」に抑圧解放システムがあると分かって、うまくそれを利用できるかもしれません。
ということで今日は、中二病は「抑圧の解放」に必要なシステムだと分かると、その存在意義が分かる、というお話でした。
今日はここまで~。