今日は生き方のお話です。
高共感な人ほど、「未来へのイメージ」が「今の気分」を上書きする、というお話です。
少し前にミラーニューロンのお話をしましたが、もう少し補足できることがあるので、それについて触れておきましょう。
高共感な人ほど、「未来のイメージ」に今を左右される
これは私の推測ですが、高共感な人ほど、「未来をつい考えてしまう」というタイプじゃないかと思います。
例えば「明日から連休だ!」と感じると、今が仕事中でしんどくても、元気が出ます。
逆に「明日から仕事かぁ」と思うと、今はまだ休暇中なのに、なんだか落ち込んでしまうわけです。
それとか、「独立できそう!」と希望を持てると、今が雇われで、逆境でも生き生きとできます。
逆に「収入が先細りになりそう」と感じると、今は余裕があっても、今は十分においしいものを食べられていても、どんよりしてしまうと。
そんな風に、「未来のイメージで、今の気分が上書きされてしまう」ということですね。
だから、「今を生きたい」とか、「不安をなくしたい」感じる人も多いんじゃないかと思います。
そして私も実際に、昔は「どうすれば今を生きられるんだろう」とか考えて、試行錯誤していたんですが。
でも、最近分かってきたのが、「高共感な人が今を生きるのは、難しい」ということですね。
むしろ、共感性と「未来をつい考えてしまう」という機能を知って、それを理解して使う方が、自分に合う生き方戦略を作れそうに思います。
「未来のイメージで、今の気分が上書きされる」機能
高共感な人は、「未来のイメージで、今の気分が上書きされてしまう」という脳機能を持ちます。
これは先日説明したように、ミラーニューロンが関係しています。
少しおさらいしておくと、ミラーニューロンとは、「相手の行動を、条件反射のようにまねしてしまう」という脳内神経細胞群のことです。
人間だけでなく、サルやゾウなどの社会性を持つ動物であれば、このミラーニューロンを持ちます。
で、ミラーニューロンで相手の行動を条件反射のようにまねすることで、相手が発見した工夫を自分に取り込めます。
例えばサルでも、誰かが効率的なエサの食べ方を発見したら、他の個体もそれを条件反射のようにまねることで、よりよい食べ方が群れに広がると。
ミラーニューロンとは、そういう「まねをする脳内機能」だということですね。
ミラーニューロンが、共感性や「時間の概念」を実現する
そしてこの機能が、人間に共感性や「時間の概念」の土台となっています。
相手の表情や口調を元に、「相手の姿をまねして、自分に当てはめる」ことで、相手の感情を理解できます。
これが「相手の感情を感じる」という共感性につながっています。
また、ミラーニューロンは視覚・聴覚情報だけでなく、「脳内でイメージした姿」にも共感してしまいます。
つまり「未来にこうなるかも」と脳内でイメージすると、その未来像を今の自分に当てはめることで、「現実ではないのに、今からそんな気分になる」という現象が起きます。
だから、冒頭で触れたような「今は仕事中でしんどいのに、連休が楽しみで元気になる」とか、「今は連休中なのに、明日からの仕事を考えて気分が落ち込む」とか起きると。
「イメージした気分」が、「今の気分」を上書きしてしまうわけですね。
ちなみにこの「イメージした気分が、実際の気分を書き換えてしまうこと」を、「統合失調」と呼びます。
だから共感性が高い人は、だいたいが統合失調気味だということです。
イメージは強制的に上書きする
そしてこのミラーニューロンによる「気分の書き換え」は、強制的に「今の気分」を上書きします。
というのも、上書きしなければ、相手の行動をまねできないからです。
例えば「相手があくびをしていたら、自分にもあくびが伝染した」というのは、「今の気分」に上書きしないと実現できません。
だって、今の自分は眠たくないんですから。
だからミラーニューロンは、常に「共感した情報」を「今の気分」に上書きします。
つまり高共感な人にとっての「(最終的な)今の気分」は、今の状態にかかわらず、「自分が今、どういうイメージを持っている(共感している)のか」で決まる、ということですね。
言い換えると、共感性が低い人のように「今を楽しむだけ」ということはできない、ということです。
ミラーニューロンという機能がある以上、その機能に従った戦略を採らない限り、幸福感は味わえないと。
(改良版)高共感な人の生き方戦略
だから高共感な人ほど、次の2つの戦略が重要になると予想しています。
- 周囲がどういう気分を作るか
- どういうイメージを持つのか
1つめの「周囲がどういう気分を作るか」という点では、「自分が味わいたい空気を持つ場」を選ぶとよいと分かります。
つまり高共感な人ほど、「理屈やビジョン、有利不利よりも、フィーリングが合う場の方が、実際に居心地よくなるし、幸福感に直結する」ということです。
周囲がギスギスするような場にいると、どんなに崇高な理屈や理念を持っていても、強制的に共感してしまって苦しくなります。
逆に少々不利でも、フィーリングが合えば、共感することで心地よくいられます。
もちろん「有利で、かつフィーリングもいい場」が最高ではあるんですけどね。
でも両立できない場合、高共感な人はどちらを優先したらいいのかというと、それはフィーリングかなと思います。
高共感な人に合うものと、合わないもの
裏を返すと、「ここはこんなにも有利になるし、未来のためになるんだから」と自分を説得するようなことは、だいたい合わないし、後悔するものです。
それは、フィーリングで「ここはダメだ」と分かっているから、理屈で自分を説得する必要があるからでしょう。
まぁ「短期だけだ」と割り切るならいいんでしょうが、長期だったり、日常的な環境ほど、フィーリングを優先する方がいいかなと。
そして高共感な人は、「自然に触れる」というのも、一つの共感性を用いた癒やしになるかと思います。
実際に高共感な人ほど、疲れた時に海や山、湖を眺めたりすると、深く心が安らぐかと思います。
それは、自然にも共感できるので、それが心のよどみを取り去ってくれるからですね。
なので高共感な人で、ストレスが強い人ほど、自然が多い場の方が合うようにも思います。
どういうイメージを持つのか
そして気分をよくして生きたい場合、2つめの「どういうイメージを持つのか」も重要になります。
高共感な人は、「目の前の出来事に、自分がどういうイメージ、解釈を持つのか」で、今の気分が変わります。
例えば「目の前の友人が、ため息をついた」という状況があったとしましょうか。
それを、ある人は「友人は仕事で疲れているのかな?」と解釈したとしましょう。
でも別の人は、「私が面白いことを言えないから、友人が落胆してため息をついた」と解釈するかもしれません。
なら、実際は友人がどういう状態なのかに関係なく、「自分の気分」が変わるわけです。
片方はさして何も感じなかったり、もしくは「助けたい」と思うかもしれません。
なのにもう片方は、「私はダメな奴だ」と落ち込むと。
つまり高共感な人は、そういう「自分の思考回路で、今の気分が大きく変わる」という性質を持つわけです。
自分の思考回路を、うまく把握しよう
だから、「目の前の出来事に、どういう解釈や未来予想をしているのか」という自分の思考回路を、うまく把握することです。
そうすることで、生きやすくなると言えます。
言うなれば、高共感な人で「いつも苦しい」という場合、それは多くの場合で「幼い頃の学習で、そういう予測回路ができてしまっている」からです。
なら、一度自分の思考回路を客観的に見てみることで、「あ、私っていつもこういう偏(かたよ)ったとらえ方をしていた」と分かるかもしれません。
すると、「それって偏った思い込みだよね」と分かって、苦しさを大きく取り除けるかと思います。
そういう場合、私がよく言うような「陰と陽」みたいな解釈体系が合うように思います。
というのも、「陰と陽」だと、「何がポジティブで、何がネガティブかは分からない」という前提なので、中立目線でいられるからですね。
だから変に偏ったイメージに左右されずに、「いい面、悪い面、どちらもありうる」と冷静でいやすくなるかなと。
この辺については、またいつか詳しく説明してみましょう。
まとめ
そんな風に、高共感な人は、ミラーニューロンによって「今の気分を上書きされる」という性質を持ちます。
だから、それを前提として生き方の戦略を作る方が、性質をうまく活用できるように思います。
そのために、理屈よりもフィーリングが合う場を優先して、自分が持つ解釈体系をチェックしてみましょうよ、ということですね。
表現を変えると、「高共感な人は、幸せのウェイト付けが違う」と言えるでしょう。
普通の人は、「今の状態」が幸せを多くもたらします。
だけど高共感な人ほど、「自然や周囲との調和」や「希望」が幸せを多くもたらすわけです。
なら、高共感な人ほど「周囲をまねして今を楽しむ」よりも、「自然な調和や、希望を中心に集める」という方が、幸福感を高めやすいと分かります。
これも、一つの生き方戦略かなと思います。
ということで今日は、高共感な人ほど、「未来へのイメージ」が「今の気分」を上書きする、というお話でした。
今日はここまで~。