今日は、精神的なお話です。
「できないことをできるようにしてあげる」って、嬉しいものですよね、というお話です。
「音を振動で擬似的に伝える」という新しいデバイス
いい記事を見つけたので、ご紹介。
「ろう者に音を届けたい」 髪の毛で音を感じる全く新しいデバイスとは(日刊工業新聞)
なんかエヴァンゲリオンに出てくる、頭につけるデバイスっぽい!(笑
簡単に記事の内容を紹介すると、ろう者(ろうしゃ:耳が聞こえない人)向けに、音を振動で感覚的に伝えさせるというデバイスの記事です。
開発者の本多さんは、大学時代に耳の聞こえない人と出会うことで、耳が聞こえない人の不便さを知ります。
そこで、「彼らに音を届けられたらな」と考え始めて、動き始めて、結果としてこのデバイスを仕上げた、という流れになります。
で、このデバイスのすごいところは、音をマイクで拾って、それを振動に変換して体に伝えることで、聴覚の感覚を触覚で味わえるようにした、という新しい発想ですね。
「聴覚を触覚で疑似再現するとか、すごいな!」と思ったり。
振動の大きさ、リズム、パターンを変えることで、大まかな音の種類が分かりますし、このデバイスを頭の左右につければ、大きさのズレから音がした方向も分かると。
それとか、直接体に触れさせるのではなくて、髪の毛にクリップをすることで、心地よく音を感じるように振動を感じることができる、みたいな。
こういう工夫を知ると、「なるほど」、「すごい!」と思いますよね。
「できないことをできるようにしてあげる」というスタイル
私がこういうのを好むのは、「できないことをできるようにしてあげる」というスタイルがあるからのように思います。
これって、競争ではなくて、分かち合いじゃないですか。
「自分が強くなって、より強い人からポジションを勝ち取る」じゃなくて、「今の自分で、自分よりも弱い人に力を分かち合う」というスタイルで。
前者が「新人賞を獲得する」という発想なら、後者は「ファンに自分の知識や感性を与える」という発想です。
自分よりもできない人に対して、できるように手助けしたり、擬似的にそれを味わえる知恵やノウハウ、技術やデバイスを工夫して作って、それを分かち合うわけですね。
こういうスタイルは、やっていて本当に充実感があるんですよ。
この音を触覚で知覚できるデバイスだって、耳が聞こえない人から「生まれて初めて、音の感覚を味わえた」とか感激されると、もうすっごい嬉しくなるじゃないですか。
これは作品作りでも同じで、私の場合、例えば物語を作れば「感動して、涙が止まりませんでした」とか、中には「ずっと自殺したいと思っていましたが、この作品で生きる勇気を得られました」とかいう感想をもらったりしたんですよ。
他にも、本やブログで精神的な話をしても、「読んでいて涙が止まりませんでした」、「こんな自分でいいんだと、心が楽になりました」という反響をもらったりするわけです。
ストーリー技術の本では、「おかげさまで、シナリオライターになれました!」とか、「念願だった出版デビューができました!」という感謝をもらったり。
「もっと優れた自分」になる必要なんてない
すると、「自分が今できること」で十分に喜びを感じてもらえるわけです。
そんな風に「今の自分」で十分に喜んでもらえるのなら、どうして「もっと優れた自分」になる必要があるんでしょうか。
どうして今の自分を否定して、「もっと頑張らなきゃ」と追い詰める必要があるんでしょうか。
実はそんなことをしなくても、十分に世の中に役立つことができます。
別に新人賞を取らなくても、有名人にならなくても、目の前にいる一人の「耳の聞こえない人」のために喜んでもらうように、考えて、工夫をすればいいんですよ。
それで喜んでもらうだけで、もう十分に嬉しいじゃないですか。
その上で、「これは多くの人に役立てられるかも」と思えば、それをもっと広げてゆけばいいんですよ。
で、お金というのは、その喜びの後についてくるようなものですね。
だから、お金そのものを追い求めるよりも、喜びを届けることで、その結果としてお金が返ってくる感覚です。
そして、そういうその喜びの種は、身近な「自分よりもできない人」に分かち合うことで見つかる、ということですね。
まとめ
私が提案しているビジネスというのは、そんな「分かち合い」の延長線上で作られるようなものです。
私たちは、既に何かしらの「優れた点」を持っています。
それは、特徴だとか、好きなことに含まれているものです。
そして、それを自分よりもできない人に分かち合えばいいだけです。
すると、彼ら「自分よりもできない人たち」が感激して、作品を喜んで受け取ってくれます。
その感謝の対価として、お金をもらう、という流れですね。
その分かち合いをどんどん広げていれば、自然と価値のあるポイントが見えてくるし、ビジネスになると。
で、この流れだと、だいたい「世の中で誰もしていないこと」をするようになるので、ニッチな場所に落ち着くわけですね。
まぁ競争が好きな人はそれはそれでいいでしょう。
ただ、私が見るに、そういう人はいつもイライラしていて、不安を抱えていて、自分よりも劣った人や役に立たないものに出くわすと当たり散らすような、余裕のない人ばかりのように思います。
逆に、「自分よりもできない人に分かち合って、喜んでもらえること」が好きな人ほど、優しくて、柔らかくて、心理的に余裕がある人ばかりのように思います。
だから、心穏やかに生きたい場合、こういう「できないことをできるようにしてあげる」という発想がいいんじゃないかな、と思います。
すると、精神的な喜びも、やりがいも、そしてビジネスもお金もやってくるんじゃないかな、と思います。
ということで、今日は「できないことをできるようにしてあげる」って、嬉しいものですよね、というお話をしてみました。
今日はここまで~。