今日は、精神的なお話をしてみましょう。
「うまくいくときは、とんとん拍子にうまくいく」、というお話です。
うまくいくときは、とんとん拍子にうまくいく
私たちは、「作家になれたらなぁ」とか、「こういう状態になれたらなぁ」みたいな夢を持つものですよね。
でも、なかなか現状が変わらないと。
そして焦って、「もっと頑張ろう」として、工夫よりも長時間作業に向かってしまったりするんですが。
でも、実はうまくいくときって、とんとん拍子にうまくいくんですよ。
それを、ちょっとしたお方とのやりとりで気づいたことがあったので、お話ししてみようかと思います。
先日、私の本を読んでくださっている方から、「おかげさまで出版社のレーベルから、出版デビューすることになりました!」という喜びの声をいただいたんですよ。
で、その作家さんのたどった経緯が興味深かったので、いただいたメールの内容からご紹介してみましょう。
TL(ティーンズラブ)というジャンルを書いたのは今回の仕事が初めてでして、それでデビューするなんて、ほんと、人生はわからないものだなぁ、と思います。
それまではホラーやBLを書いては公募に応募していたのですが、箸にも棒にも…の状態でした。
特にBL業界は作家が余っていて飽和状態で、新人賞からデビューするのも元プロや現プロの再デビューがほとんど――。
どうあがいても将来の展望がない、という状況でした。「もう商業デビューはあきらめて、kindle作家として活動していこうか…」と悩んでいたところ、ネットで交流があったTL作家から、
「自分が書いてるレーベルが新人募集をしてるから、問いあわせてみては?」とすすめられ、それからはとんとん拍子に出版契約がまとまりました。はじめは「書いたことのないジャンルだし、長編だし、締め切りまでに書けるだろうか?」と心配になり、躊躇する気持ちがありました。
ですが、「ただで出版させてもらえるんだ、チャンスじゃないか」と考えて、思い切って仕事を受けましたが、正解でした。
いまは、このジャンルで書ける間は書き続けていこうと思っています。
クリエイティブに生きる人ほど、「予想外の流れ」でうまくいく
うまくいくのって、こういうノリなんですよね。
「あれ? こんなところに抜け道があるやん?」みたいな。
クリエイティブに生きる人ほど、こういう「予想外の流れ」でうまくいくことが多いんですよ。
というのも、「誰もがイメージしやすい道」ほど、激しい競争になりやすいわけです。
多くの人が、最初は「私はこういう道をたどって、こうやって成功する」ってイメージするじゃないですか。
でもそれって、「イメージできる道」イコール「誰かが通ったことがある道」なんですよ。
そして、「簡単に成功までのステップが見通せる道」ほど、「多くの人が通った道」になります。
すると、多くの人がその道に殺到して、競争になって、狭き門になってしまうわけですね。
一方で、クリエイティブな人ほど、「こっちはどうかな? こっちはいけるかな?」と、いろいろ試してみるわけです。
それは骨の折れる時間で、行き止まりのことも多いものです。
でも、あるときふと、「あ、この狭い道が、行きたい場所につながってる!」と見つかるんですよ。
その道はほとんど誰も通っていないので、競争もなく、するするっと目的地にたどり着いちゃった、みたいな。
だから、クリエイティブであればあるほど、「想定外の解決方法」をその時々で見つけることになります。
目的地に行きたい場合、渋滞とか工事中とか、いろいろあるんですよ。
そういう前に進めない状況で、「私はこの道でなきゃいけない」と思うか、「他に道はないかな?」と思うか、という違いですね。
前者が競争世界のマインドで、後者がクリエイティブなマインドです。
私が小説で収入を得たい場合、どうするか
じゃあ、私の場合、どう考えるかを紹介してみましょう。
例えば私が「大好きな小説を書いて、十分な収入を得たい」と思ったとしましょうか。
なら、まずはメインルートの新人賞に応募してみると。
それでかすりもしなければ(2年以内にデビューできると明快に見込めない程度であれば)、メインルートはさっさと手放します。
まあ別の出版社への戦略も考えていいかもしれませんが、ここではそれはやめるとしましょう。
なら、まずは自分に取り得る流通形態を試してみます。
電子書籍で無料・有料配布をしてみたり、同人誌(電子媒体、実物両方)としての配布、投稿サイトへの投稿、ホームページやブログの利用、SNS、雑誌や新聞への投稿(大小規模かまわず)、プリントアウトして人に渡す、などの方法をいろいろ使ってみるでしょう。
流通形態は制限が多くて、しかも自由に変更がきかないことが多いので、一番最初に把握しておく方がいいものです。
実際に使ったり売らなくてもよくて、使い勝手を確認する程度でもかまいません。
そして、「閲覧数が多い媒体」、「売り上げが高い媒体」、「フィードバックが得られる媒体」みたいに、それぞれの特徴を把握しておきます。
この自分に取り得る流通形態(利用媒体)を知っておくことが、後々に役立ってきます。
その上で、よりニッチなジャンルで攻めていくことになります。
ジャンルを制限して、得意分野で戦おうとするでしょう。
ジャンルは狭めるだけでなく、「自分らしい組み合わせ」も試してみます。
それでもうまく売り上げが伸びない場合、「好き」をもっと突き詰めて考えて、自分の形態を変えます。
すなわち、「小説」というくくりにとらわれずに、もっと大きな「物語を作る」という視点で、だけど大好きなことだけができる内容を考えていきます。
小説の何が好きなのか、どの部分を表現したいのか、どういう働き方がいいのか、そういう「これさえ実現できればいい」というポイントを、ピンポイントで見抜くわけですね。
なら、「プロットさえできればいい」とか「感動できるものを作れればいい」、「人の下で動くのではなくて、いつでもトップで動ければいい」と見えてきます。
その上で、さらに自分の素質を元に、形式を試してみます。
「私は自己啓発が好きだから、自己啓発方向で攻めてみるのはどうだろう?」とか、「私は教えるのも好きだから、教材として表現できないだろうか?」、「プロットそのものを作品として公開できないだろうか?」、「自分にはデザイン能力もあるから、簡単な漫画形式で表現できないだろうか?」、「子ども向けも好きだから、幼稚園のお遊戯会向けの脚本ができないだろうか」、「地元のヒーローショー向けで、脚本を書けないか」、「地元ケーブルテレビのレベルの低いオリジナル番組で、脚本を手伝えないか」、「誰か脚本を欲している漫画家や映像作家の原作を手伝えないか」……みたいな。
こういう新しいアプローチは、もう無限にあります。
だって、「物語」なんて普遍的なものは、どこにでも使われていますからね。
すなわち、「抜け道」になりうる道は無限にある、ということです。
道がいくらでもあるから、希望と自信が持てる
すると、「方法はいくらでもある」と分かってきます。
ならば、自然と「一番売れそうな方法は何だろう?」って考えますよね。
そこから「今の時代は、どういう場所が売れるだろう?」と、世の中の状況に目を向けるようになります。
そして、世の中の変化に興味を持って、「こういう変化があるから、この辺が売れそうだ」と、時代に応じた戦略を立てられるようになります。
私の経験では、「レベルの低い場所」と感じられる場所ほど、多くの人に喜んでもらって、しかもお金になります。
というのも、「レベルが低い」イコール「圧倒的に勝てる場所」ですからね。
すると、簡単に英雄になれます。
新人賞とか持ち込みみたいに、「自分にはレベルが高い」と感じられる場所ほど、喜んでもらえませんし、お金にならないというのが私の経験則です。
私の場合、自分を高く見せようとして上に挑む(競争に勝とうとする、入れてもらおうとする)ほど、お金にならないと。
逆に、自分よりもできない人に手を貸してあげる(分かち合う、助けてあげる)ほど、お金になりました。
そんな風に「自分よりもレベルが低い人たち」に対していろいろ試していると、小さくヒットするものが出てくるんですよ。
なら、そのヒットを起点にして、「この方向で攻めてみるか」と、もっとヒットしそうなポジションを探すことができるでしょう。
もしその場所の収益が落ちてきても、特に心配することはありません。
というのも、「方法はいくらでもある」からですね。
またいろいろ試してみると、必ずヒットをする部分が見つかるので、次はそこを起点にすればいいだけです。
私がゲームとかアニメ、3Dゲーム、写真加工技術、自己啓発本、作家向け本とかいろいろやっていますが、全部そんなノリです。
アニメみたいに失敗するものもありますが、写真加工技術とか、作家向け教材でヒットすることもあると。
そしてそれらは全部、私が本質としてやりたいことです。
私は研究が好きなので、そういうことができていればいいんですよ。
なので、どれをやったとしても、楽しみながらヒットするポイントを模索できる、ということですね。
そしてそういう「方法はいくらでもある」と分かることが、自信につながるんですよ。
ある意味、「自信がない」とか「拒絶されるのが怖い」と感じるのは、「この道がダメだった場合、自分は全ての道を失い、希望を失う(絶望する)」と感じているからかもしれません。
他に夢を叶える方法が山ほどあると分かっていれば、「行けるかどうかを、早めに確かめられればいい」という感覚になりますからね。
言うなれば、迷路と同じです。
私たちは、抜け道がいくらでもある迷路を歩いているようなものです。
迷路では、行き止まりをさっさと塗りつぶせばいいだけです。
迷路の行き止まりになって、「ああ、だから私はダメなんだ」なんて思わないのと同じです。
そんな「抜け道がたくさんある」という現実を、早めに知ることかな、と思います。
すると、あるときするするっと、欲しいものが得られるんですよね。
「あ、この道が抜けられる」と気づけば、とんとん拍子にうまくいくと。
まとめ
そんな風に、ちょっと「この道でなきゃ」という方向から目をそらしてみるといいかと思います。
あまりガチガチに考えずに、もっと身軽になって、「ダメでもいいから、こっちを試してみよう」みたいなノリですね。
すると、「意外と抜け道はあるな」と分かってきます。
そうやって工夫をし始めると、今まで全然進めなかったのに、気がつけばするするっと目的地にたどり着けちゃうわけです。
おかげさまで私は大好きなことだけをして、自由に暮らしていますが、当初考えていたルートとは全く違う道をたどりましたから。
「こんなルート、誰も思いつかんわ!」みたいに、思わず笑ってしまうほどに(笑
先の作家さんも、そういう軽いノリで試してみるということで、道が開けたんですよね。
そんなノリだと、進まない状況を打開できるんじゃないかと思います。
最後に、この作家さんが言っていた言葉でいい言葉があったので、ご紹介。
とりあえず飛び込んでみる、経験してみる――ということは、本当に大切ですね。勇気がいりますが……。
こういうちょっとした「脇道にそれてみる」、「遠回りをしてみる」というのが、新たな道、新たな希望を見つけるきっかけになるかと思います。
ということで、今日は「うまくいくときは、とんとん拍子にうまくいく」、というお話をしてみました。
今日はここまで~。