今日もクリエイティブなお話をしてみましょう。

個性をうまく使う人は、根本的な発想が違う、というお話です。

 

工夫はマニュアル的にはできない

自由に生きたい人ほど、「社会のレールから外れて生きたい。自分なりの収益を作って、自由に生きたい」ってこと、あると思うんですよ。

その場合、自分なりの方法で、収益を「工夫で作る」必要があります。

 

でも、世の中では「あなたの工夫は、具体的にこうすればいい」というマニュアルはありません

だって、工夫とはマニュアルに従うものではなく、むしろ「マニュアルを作る側」なんですから。

だから、工夫はマニュアル的にはできないわけです。

 

社会に染まった人ほど、具体的なマニュアルを求める

なのに、今まで社会の価値観に染まってきた人ほど、「工夫」ではなく「マニュアル」を欲しがちのようにも感じます。

例えば、自由になりたいのに、「雇われが嫌なので、会社をやめてフリーランスになろうと学んでます」みたいに言う人がいるわけです。

でも、フリーランスも会社員も、「自分の上に上司がいて、その指示に従って動かなければならない」ということでは同じなんですよ。

つまり、「会社に属して従うか、1つの受注ごとに従うか」という違いでしかないと。

 

すると、「実は自由時間は、会社に属する方が多かった。フリーランスになって、自由がない上に、時間までなくなった」みたいなことにもなりえるわけです。

だって、会社はいろんな雑務を肩代わりしてくれますからね。

 

そして、そういう「マニュアル的な発想」が、レールに縛り付けるわけです。

その象徴が、「もっと売れるための能力が欲しい」という発想かなと思います。

例えば「このスキルを身につけると有利」とか、「この業界が売れやすい」、「一番人気のプログラミング言語を学習しよう」とか、「今一番人気の動画配信を学ぼう」みたいな。

こうして、「独自の道」を見失っていって、競争に明け暮れてしまうと。

 

工夫する場合、根本的に考え方が変わる

一方で工夫をする場合、それとは根本的に考え方が変わります

これは、「みんなが得ている有利を学んで利用する」ではなく、「自分が持つ強みを元に、独自の戦略を組み立てる」という発想です。

 

そしてそれを説明するために、今日は一つ、昔の思い出話をしてみましょう。

私の制作仲間だった、とある作曲屋さんのお話です。

この人のスタイルが分かると、「工夫を楽しんで、独自戦略で生きる」という発想やスタイルが分かるかと思います。

 

とある作曲屋さんのミニライブ

私は学生時代にいろんな制作を楽しんでいたんですが、その中で音楽をしている制作仲間がいたんですよ。

その人はほぼ同い年の人でしたが、一つの同人音楽チームのリーダー的作曲屋さんでした。

ちなみに私は、当時少しずつ他者に発注を始めたぐらいの、小さな個人制作チームのリーダーです。

で、その人とはなんか感性が合って、互いに制作物の感想を言い合ったり、たまに私が表紙デザインを協力したり、それぞれのチームでイベントに出て、帰りに合同で飲み会をしたりしていたんですが。

 

で、ある時、その作曲屋さんが、とある同人音楽イベントに出たんですよ。

サークル参加で曲も売るし、会場にはちょっとしたステージもあって、事前申請すれば、ライブ演奏とかステージを披露できると。

そしてその作曲屋さんから「ステージに出て演奏するから、見に来て!」と誘われて、面白そうなので見に行ったんですが。

 

選んだ楽器が「テルミン」だった

すると、彼は電子音楽が好きだったんですが、彼が選んだ楽器が「テルミン」だったんですよ(笑

テルミンというのは、まぁ「楽器に触れずに、センサーに手をかざして、そのセンサーと手の距離で音を作る」みたいな、ド級のマイナー楽器です(笑

知る人は知っているんですが、知らない人は全然知らないものですね。

 

そして、その扱いも、超絶難しいと。

センサーもしっかりとした感度ではないので、ふわーっとした音になって、どうしても「音楽のメロディを奏でるもの」としては厳しいと。

そもそも、楽器なのに「聴けるメロディにするのが難しい」というぐらいの次元です(笑

 

だから、誰もそんな楽器は使わないし、ド級でマイナーな楽器なんだと。

でも、すっごい独自の雰囲気がある楽器です。

 

一番の見せ場で、テルミン演奏

それで彼は、ライブ本番では最初はキーボードだとかで演奏していたんですが、そのテルミン演奏を一番の見せ場に持ってきたわけです。

もちろん、曲も彼自身が編曲して、テルミン演奏を一番よく聴かせる構成です。

 

で、テルミンの見せ場をそれなりにうまく演奏しきると、きっと今までの中でも一番会心のできだったんでしょう、彼は小さくガッツポーズするんですよ。

すると、一部のマニアからは「うおおお! あのテルミンを、それなりに聴けるメロディで演奏しきった!」と大興奮で、立ち上がって拍手喝采で。

「それなりに聴けるメロディ」だけで、この興奮ですからね(笑

その興奮から、テルミンを知らない観客も「なんかすごいっぽい」と肌で分かったのか、興奮が伝播して、感動したようで。

 

そしてそのライブはそのまま一直線に盛り上がって、彼らの演奏はその日一番の盛り上がりになったんですが。

 

「ファンになりました! サインしてください!」

で、演奏後、「面白かった」みたいにその作曲屋さんと話していると、ふと数人の女性から声をかけられたんですよ。

「あの、私、さっきの演奏で感動しました! ファンになりました! CDもさっき買いました。だからサインをしてください!」みたいな。

 

もちろん、その作曲屋さんはサインを求められるなんて思ってもいないし、今までサインなんてしたこともないぐらいで。

なので、「嘘でしょ!? サインなんてしたことありませんよ!」と困惑しつつ、「どうしても!」というので、カタカナでぎこちなくCDにサインしたと(笑

そして、「こんなこともあるんだ」と、互いに笑ったりしたんですが。

 

独自の道を進む人の発想

でも、これが工夫だし、独自の道を進む人の発想だと思うんですよ。

 

言うなれば、テルミンという楽器は、「私たちの個性」です。

普通は、「有名な楽器会社の、有名で評価が高いモデルが欲しい」ですよね。

ギターなりピアノなり、ドラムセットなり、「みんなが評価するものが欲しい」とか、「みんなが使っているもので、いいものをそろえよう」みたいな。

 

だけどその作曲屋さんは、そんなのどうでもいいんですよ。

「テルミン? 何それ、面白そう!」

これが原動力なんですから。

そうして、自分の中核となる個性を選ぶと。

 

有利不利ではなく、「面白そう」で選ぶ

そしてその「中核となる個性」を中心に、どういう曲にするかとか、見せ方、構成、編成を練り上げていきます。

で、それなりに独自のスタイルを作って演奏して、それなりに聴ける形で披露すると、それだけで「なんかすごい!」となるんですよ。

 

というのも、そこには「独自スタイル」があるからですね。

特にこれは、「工夫ができないタイプ」の人からあこがれられやすいように思います。

 

きっと、そういう工夫ができない人は、普段から「工夫をして独自スタイルを作れる人ってすごいな」というあこがれがあると思うんですよ。

だから、「独自スタイルで、誰もがやらないことをやって、一つの形として仕上げる」だけで、強烈にあこがれになるんだと。

なので、ライブ後に「ファンになりました!」という人たちが出てきたんじゃないかな、と思ったりもします。

 

だから、根本的な発想が違う

そういう場合、「誰も使っていないからダメ」とか「みんなが評価するからいい」とかいうのは、まったく関係ありません。

単純に、奇抜な個性を前にして、「これ、面白そう!」と好奇心を発揮しているだけです。

 

だから、根本的な発想が違うわけです。

有利とか不利、売れやすいかどうか、評価が高いか低いか、そういうものからは切り離されていると。

で、「どうすれば面白くなるか」を考えて、個性を元に表現方法を練り上げていきます。

 

自分の個性をそういう観点でとらえる

私たちは個性を持っていますが、自分の個性をそういう観点でとらえるわけです。

そして独自なものを仕上げて、「それなりに聴ける形」で演奏するだけで、結構反響があるものなんですよね。

 

それは、完璧に仕上げる必要はありません。

「それなりに形になる」だけでいいんですよ。

それだけで、最初は少しだけだったとしても、確実に「人の心に届くもの」、「魂に響くもの」ができます

 

逆に「有名な楽器で、あの有名バンドのようになりたい」、「みんなに受け入れられる形にしなきゃ」とするほど、個性無視になるものです。

そして知名度の高い楽器や曲、技術を取り込んで、競争になって、比較されて、「いったい自分は何を表現したいのか」を忘れ去ってゆくように思います。

 

まとめ

これが、「自分が持つ独自の強みを元に、独自の戦略を組み立てる」という発想ですよね。

「みんなが得ている有利を学んで利用する」ではなく、自分の個性を元に、周辺を練り上げていく発想です。

 

私はこういうのが、工夫のように思います。

なら、こういう工夫って、「マニュアルで、具体的に学ぶ」というものではないと分かります。

むしろ、「マニュアルを作る側になる」とも言えます。

 

「ここに珍しい、よく分からない変なものがある。なら、この変なものをうまく使って、それなりに味わえる新しいものを作っちゃおう!」という発想です。

そのために、その特性をよく見て、いろいろ原理を考えて、反応や性質を試して、「こういうことに向いているかも」と予測してゆきます。

そして、それが一番輝くように構成や編曲をして、発表すると。

 

そういう風に、マニュアルではなく、工夫を土台にする発想もいいかと思います。

すると、「人の指示に従ってエサを得る」ではなく、「自分発で独自な力を発揮して、自由に生きる」という道が見えるかもしれません。

 

ということで今日は、個性をうまく使う人は、根本的な発想が違う、というお話でした。

今日はここまで~。

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