ここんとこまじめなお話が続いていたので、今日は穏やかに日記です。
最近見て面白かったWeb漫画をご紹介~。
ってことで、面白かったものを4作品ほど、pixivもしくはpixivコミックからご紹介。
ちなみに全部、おとなしい系の恋愛物語です。
あ、最近は女性向けの物語構成にはまっているので、女性向けが多いです。
「ヲタクに恋は難しい」
オタク系な主人公と恋人役の、恋愛物語ですね。
笑いの取り方(いわゆる「外し方」)が素晴らしいですよね。
ちなみにメインプロットは、典型的な「三角関係を持つ」(「ストーリー作家のネタ帳」第3巻掲載)です。
主人公の少女(成海)が、他の男とか、いろんな「叶うべきではない夢」を持つわけです。
そんな少女を、恋人役の青年(宏嵩)が陰から支えていきます。
でも、少女は青年の好意には全く気づかないで、「叶うべきではない夢」を追い続ける、という構図ですね。
こちらのオンラインコミック版もおすすめ。
「ヒメひろ」
ラブラブ系な、コメディの恋愛物語(4コマ漫画)です。
シチュエーション先行で作品を作るとなると、こういう形になるかと思います。
この作品では、あえて全体の構成とかプロットを手放して、単発で状況を描いて作品に仕上げています。
「プロット作りとか、全体の構成が苦手でたまらない!」という人には、何十ページも物語を書くんじゃなくて、こういう数ページで状況を描くスタイルもいいんじゃないかな、と思います。
メインプロットがなくても、状況だけでも面白く仕上げられますよ、ということですね。
もしこれにメインプロットを加えて物語にする場合、「好きになる」(ネタ帳1巻)、「三角関係を持つ」(ネタ帳3巻)、「最悪の事態だと誤解する」(ネタ帳5巻に掲載予定)あたりを加えるといいでしょう。
「好きになる」で構成する場合、今の両者を「友人的な好き同士」として扱って、もう一段階高い「恋人的な好き」というのを入れて、恋愛物語として仕上げます。
「三角関係を持つ」で構成する場合、少女側に「叶うべきではない夢」を持たせて、青年側がそれを支える、という形にすると。
「最悪の事態だと誤解する」で構成する場合、二人が互いに「他に好きな人がいるのではないか」と誤解をすることで、すれ違ってゆく流れになります。(この構成法は、第5巻リリースをお楽しみに)
「僕はお姫様になれない」
思わず赤面してしまうような、キャラのリアクションが輝く恋愛物語です。
ドキドキをたった数コマで沸点まで引き上げる、その持って行き方が素晴らしいなと。
メインプロットは、「最悪の事態だと誤解する」(ネタ帳5巻に掲載予定)です。
ほぼ全て誤解だけで物語を展開している、結構珍しい作風です。
誤解で物語を進めるって、王道ですよね。
誤解の構成を学びたい場合、いい参考作品になるかと思います。
「にぶんのいちボーイフレンド」
古今東西、「性別が入れ替わっちゃった!」的なネタは一定数の需要があるものですが、この作品はちょっと毛色が違うんですよ。
それが、「入れ替わった後の状態が、正常な状態」だということです。
これはもう、ありとあらゆる意味で危険で、すごい発想だなと思ったり(笑
ある意味、トランスジェンダー(性同一性障害)の人向けの、ニッチな(もしくはフェチシズム的な)作品ですね。
普通、「性別が入れ替わっちゃった!」って場合、最後に元の性別に戻るのが正常なエンディングじゃないですか。
でもこの作品はそうでなくて、「入れ替わった後の状態が、正常なエンディングになる」という構成になってます。
ここからネタバレになるんですが、主人公は「性別が入れ替わる」という問題を抱えつつも、基本的に男性として育ってきているわけです。
でも、その主人公の本質は、思いっきり女性なんですよ。
友人からも、「お前は女の方が幸せに生きられていたのに、なんで男として生きてんの?」と言われるほどで。
そんなあるとき、自分と同じように性別が入れ替わる、女性として育ってきた少女(恋人役)と出会います。
その女性が男前で、本質が男性なわけですね。
そして互いに性別が入れ替わった状態で、恋愛をしてゆくと。
すなわち、男として育ってきた主人公が、女として目覚めていく……みたいな流れになるわけで。
もう、これを聞くだけで、危険な響きでしょ(笑
「アカン! それはアカンでぇ!」みたいな(笑
しかも、性別は入れ替わりまくるので、BL、百合、何でもアリでやりたい放題やな!みたいな(笑
何も知らずに見始めると、第2話中盤までは、見ていても「支離滅裂なキャラ設定だなぁ」と思うかもしれません。
でも第2話ラスト2コマで「全てがこのための前振りだったのか!」とメインプロットが見えるんですよ。
これが分かったときは、すごい衝撃でしたね~。
ある意味、新しい時代の作品ですね。
最近の作品は、性差がなくなってきた
で、思うのが、最近の作品はもはや、性別が関係なくなってきましたよね。
男性にしか見えない女性キャラとか、男装している女性キャラとか、女子力が高い男性とか、女装している男性キャラとか。
例えば昔の男性主人公は、髪の毛が短くて、前髪を上げていて、筋肉質で、「いかにも男」とキャラが多かったですよね。
でも今の男性主人公は、髪の毛も長くて、前髪を下げていて、スリムで、中性的なキャラが多いものです。
これは、現代社会がもはや、性別による役割分担がなくなってきたからじゃないかな、と思います。
昔(50年前より昔、もしくは産業革命よりも昔)は、男性と女性で社会的な役割が違っていたんですよ。
男性は力を使うことで、女性は細やかな作業をすることで、農作物や獲物がより多く得られるので、効率的に食べ物を得ることができていました。
そんな風に役割分担をする方が、より豊かになっていたわけですね。
でも現代では、力はほとんど必要なくなりました。
力はロボットとか機械に任せればいいんですからね。
今では知恵や創造性(クリエイティビティー)が豊かさを決める大きな要因になっていて、実際に知恵や創造性を持つ人ほど豊かになっています。
男性性と女性性が、社会では重要ではなくなってきた
すると、男性と女性で役割分担をする必要がなくなるので、どっちでもよくなるんですよね。
男性性と女性性が、社会的に重要ではなくなると。
むしろ、知恵や創造性の発動こそが、豊かさを実現する上で重要になります。
だから、30年以上昔の漫画とか物語は、男性向けの漫画でも「馬鹿にされて、でも陰で努力をして、打ち勝つ」という構図が王道でした。
それは、社会が男性に努力と根性、特訓と訓練を求めていたんですよね。
でも現代では、「陰で努力をして打ち勝つ」というのは社会が求めていないんですよ。
だって、これだけ変化の大きい時代であれば、ちょっとした工夫や知恵で、大きな「コツコツとした努力」を逆転できるんですから。
そのため現代では、男性向けのバトルものでも、若者向けほど「自分の特性を生かすことで、敵に打ち勝つ」という構図が王道になっています。
ライトノベルでも、バトルものでも、最初の状態で主人公は「自分にはろくな特殊能力しかない」、「ゴミのような武器しかない」、「扱いきれない力しかない」という状態です。
でも、その真の力を発動・制御する方法を知ることで、英雄になっていくわけですね。
努力をして自分にない力を得るのではなくて、既に自分に備わっている素質を才能として発露させることで、問題を解決してゆくと。
未来はもっと、性別が融合してゆく
で、未来はもっとこの性差がなくなって、性別が融合してゆくかと思います。
それは、一個人が、「男性のいいところ、女性のいいところを融合していく」という流れに象徴されるでしょう。
男性だったとしても、状況的に女性性が求められる場合、女性性(女性らしさ)を発揮するようになります。
同じように、女性だったとしても、状況に応じて男性性(男性らしさ)を発揮するようになるでしょう。
それは外見だけでなく、心理としても、完全に「時と状況に応じて、別の性別らしさを発揮する」ということですね。
だって、その方が「効率的」ですからね。
その方が社会的に優位になれて、生産的になれて、豊かになれるんですから。
過去は女性が子育てをする方が効率的でしたが、今の知識社会では、女性が知恵や創造性を発動できるのであれば、男性が子育てをした方が豊かになれると。
見た目を求められるのであれば、男性でも女性的な化粧とか、美しさを演出する方が豊かになれると。
歴史的に、生命は自然と効率的な仕組みを作り、発展してきました。
現代の「性差がなくなっていく」というのも、その延長線上にある流れかなと思います。
まとめ
そんな感じで、今日はウェブ漫画から時代の流れを語ってみました。
なんか話しているうちに壮大になりましたが(笑
ってことで、今日はここまで~。
追記
「S渡さんとM村くん」 :こちらは典型的な「上下関係を持つ」(ネタ帳3巻掲載)なので、事例として参考にしてみるといいでしょう。
「シスターミニッツ」 :兄弟姉妹ものは基本的に大好物です(笑)。これも性別入れ替わりものですが、ちゃんと意味のある設定なので素晴らしいですね~。いいメタファー(暗喩)の作品です。