最新本の無料配布も明日(水曜日の夜)に迫っているということで、今日は本についてのお話でもしてみましょうか。
本を書くときに、どんな点に気を配っているか、ということと、私のこだわりについてです。
私が最近書いている本は、ほとんどが「~を作る方法」とか「~する方法」みたいなノウハウ系の本ですよね。
こういう本って、「使える」と「分かりやすい」の二つがキモになるんですよ。
じゃあ、どうやってこの二つに対して考えているのか、ということですね。
で、結論から言うと、次のような感じで作ってます。
- 使えるものにするために、自分にとって役立つことを書く。
- 分かりやすくするために、身近な具体例で言う。
以下で、それぞれ説明してみましょうか。
使えるものにするために、自分にとって役立つことを書く
ノウハウ系の本を作る場合だけでなく、何かを作る場合って、「他の人に役立つかどうか」って重要になりますよね。
だから、世の中にはアンケートとか市場調査とか、山ほどあるものです。
それに、「お客のニーズをつかむのが大切だ」みたいな言葉は、ビジネスではすごく基本で、重要のように思えますよね。
でも実際に何かを作ろうとしたら分かると思うんですが、「他の人に役立つかどうか」なんて、ほとんど分からないものなんですよ。
もしそれが分かったら、倒産する会社なんて出ませんし、赤字になる製品なんかありませんから(笑
逆に、「お客のニーズをつかもう」とすると、何をやったらいいのか分からなくなるんですよ。
そして、結果として既に売れているもののまねっこしかできなくなるわけです。
じゃあ私の場合はどうしているかというと、「自分にとって役立つことを書く」ってことをしています。
もう、他の人のことなんか知らないと(笑
でも、自分にとって使えるものなら、少なくとも自分は助かるわけです。
それを、他の人にも使えるようにしたり、楽しめるようにするわけですね。
それがニッチなものを導き出して、そして独自性のある、オンリーワンなものを作り出すんじゃないかと思っています。
分かりやすさを作るのは、難しい
で、分かりやすさについては、実は結構考えていたりします。
この「分かりやすさ」って、シンプルですけど、奥が深いんですよ。
私は「難しい概念を分かりやすくする」ってのが重要だと思っているので、とにかく分かりやすさを追求しているわけです。
だいたい、この「分かりやすさ」って、難しさが分かりませんよね。
だって、分かりやすいんですから(笑
分かりやすいものは、難易度が分からないわけです(笑
でも難しいことを説明しようとすると分かりますが、「分かりやすくする」って、実は相当難しいんですよ。
例えば「お金は『最もやりたくないこと』~」で説明したもので、「私たちの価値観には、狩猟採集的価値観と農耕的価値観の二つがある」ってのがあります。
この概念は、あの本で説明されたときは、「なるほど」って分かりましたよね。
でも、人間全体にある幾億もの価値観を、たったこの二つにまでシンプルにするのって、自分で言うのも何ですがとてつもなく難しいことなんですよ。
言うなれば、「なぜ私たちはお金で苦しむのですか?」と問われても、答えは山ほど出せるじゃないですか。
やってみたら分かりますが、「答えは山ほどある」という状況から、「その全ての答えを正解にする答え」を見つけることって、簡単ではないんですよ。
でも、私の本は、だいぶ分かりやすくできているかなと思っているんですよね。
この分かりやすさを作る難易度、というものを知れば、私の本がどれぐらい、毎回すごいことをしているのかが分かるようになるかと思います。
自分で言うのも何ですが、芸術的なまでにシンプルにしていますから。
分かりやすくするために、身近な具体例で言う
で、その「全ての答えを正解にする答え」って、実はすっごい抽象的な概念になっちゃうんですよ。
先の「価値観には、狩猟採集的価値観と農耕的価値観がある」だって、これ単体で言われたら「何のこっちゃ」でしょ。
すなわち、分かりやすくシンプルにすればするほど、抽象的になって分かりにくくなるんですよ(笑
人によっては、こんがらがっちゃうかもしれませんが(笑
アインシュタインの「e=mc^2」みたいな公式だって、シンプルだけど、「何のこっちゃ」でしょ。
だから、その限りなく抽象的にしたものを、再度翻訳して分かりやすく説明する必要があるわけです。
で、そこで、その抽象的な概念を、分かりやすい身近な例に具現化して説明するわけですね。
例えば、「女性って、新しいカフェに入ってよかったら、友達に教えたくなるよね。男性は野球とかサッカーとか、空間と道具を使った遊びが好きだよね。これって、狩猟採集時代の名残なんだよ。現代では役に立たないけど、楽しいことだよね」とか説明すると。
で、「成果が重要だって言うのは、作物ができなきゃ生きていけない、農耕時代に初めて生まれたんだよ。それまでは、食べ物は落ちているほど豊かだったんだからね」とかも説明するわけです。
すると、「狩猟採集的価値観で生きたいけど、農耕的価値観でなきゃ食べてゆけない。私たちはその間で苦しんでいるんだ」と言うと、すっとイメージができて、頭に入ってきますよね。
すなわち、「究極に抽象化したもの」と「究極に具現化したもの」の二つを、本の中に入れて説明しているわけです。
こうすることで、その「中間」が全て分かるでしょ。
すなわち、その二つが分かれば、世の中の全てが分かるということです。
ほとんどの本は、「適度に抽象化したもの」と、「適度に具現化したもの」程度なんですよ。
でも、私の本は、抽象化の度合いが高いので、具現化の度合いも高めないといけなくて、その幅がすっごい広いと。
だから、結構普遍的な法則を説明できていると思っているんですが、これは裏を返すととっても説明しにくいことなんですよね。
だから、分かりやすくすることが重要になるわけです。
具体例を見つけるのも難しい
で、そんな「適切な具体例」を見つけるのが、これまたやっかいなんですよ。
だいたい、「その法則を適切に具現化した現象を見つけ出せ」とか言われても、分からないんですよ(笑
「運がいいことは、その人の能力である、ということを具現化した現象例を思いつき、説明せよ」とか言われても、これこそ「何のこっちゃ」でしょ(笑
「どこかの小論文か!」みたいなお題でしょ。
それを、項目ごとに、一冊の本で何十個、時には百個以上と考える必要があるわけです。
そんな風に、具体例で格闘しているわけですね。
本を書いていて悩むのは、ほとんどがこの「具体例を何があるだろうか」、「説明にぴったりあった具体例の現象は何だろうか」ですから。
この難しさが分かると、「この著者の抽象度は高くて、でも具体例は分かりやすくて、洗練されてるな~」というのが分かるようになります。
まとめ
まぁこんな風に、見えないところでいろいろ技術を使っているわけです。
特に「分かりやすさ」という点では、ほとんどの人が意識していないけれども、実は大きな威力を発揮している、ということが分かるかと思います。
でも、やっぱり分かりにくい場所があるもので、そういう場所は「それぐらい説明が難しいところだったんだな」とでも思ってください(笑
なので、明日(水曜の夜)に無料公開予定の新作本でも、この辺を意識して読むといいかもしれません。
すると、「分かりやすさの技術って、すごいんだな」と分かるようになる、かもしれません(笑
ということで、今日は本を書くときに、どんな点に気を配っているか、ということと、私のこだわりについてお話してみました。
今日はここまで~。