今日も人間心理のお話です。

創作にも「評価されるため」、「憂さ晴らしのため」、「癒やしのため」、「楽しみのため」の4タイプがある、というお話をしてみましょう。

 

クリエイターのモチベーション源

クリエイターの場合、モチベーションが問題になることが多いじゃないですか。

「情熱が持てなくなってきた」とか、「昔は魂から作れたのに、最近は嫌になってきた」みたいな。

なので、「やめた方がいいのかな」と悩んだりするもので。

 

一方で、無限に出てくるような高エネルギーで活動しているクリエイターもいるものです。

そしてそういう人を見ると、「ああいう風に、無限にエネルギーを出せるといいのにな」とうらやんだりすることもあって。

 

その場合、「創作エネルギーで、どういうエネルギー源を使っているのか」を知るのもいいかと思います。

この「創作エネルギー源のタイプ」が分かると、「やめる方がいい、続ける方がいい」という基準が分かるかもしれません。

 

エネルギー源の4タイプ

実のところ、「続けられるエネルギー源」と「衰退してゆくエネルギー源」があります。

そしてそれぞれに、「続ける方がいいエネルギー源」と、「やめる方がいいエネルギー源」があります。

つまり、合計4種類のエネルギー源タイプがあるわけですね。

 

それが、次のような4種類になります。

  1. 「評価されるため」のエネルギー源: 衰退してゆくエネルギー源。短期ではいいが、長期創作には向かないので、長期ではやめる方がよい。
  2. 「憂さ晴らしのため」のエネルギー源: 無限に続けられるエネルギー源。永遠に満たされないので、長期ではやめる方が健康的。
  3. 「癒やしのため」のエネルギー源: 衰退してゆくエネルギー源。作るほど抑圧を解放して癒やされてゆくので、続けられるだけ続けて、自然とやめたくなったらやめるのでよい。
  4. 「楽しみのため」のエネルギー源: 境地開拓をする限り、無限に続けられるエネルギー源。続けるほど発展できるので、変化しつつ続けるとよい。

 

(補足)抑圧に関連して説明しておくと

最近は抑圧について語っているので、一応関連づけておきましょう。

私たちには次のような「自分の中にある、様々な価値観」があります。

 

創作は基本的にポジティブな活動なので、「他者の価値観」、「代償欲求」、「自分の価値観」のポジティブ側として、3つほど創作スタイルがあります。

また、「癒やしのため(抑圧を解放するため)の活動」という場合、「ネガティブになって、内面を見つめるため」という創作もあると言えます。

結果として合計4つのタイプがある、ということです。

 

それぞれ、次のように当てはめられるでしょう。

  1. 「評価されるため」のエネルギー源: 「作らなきゃ」と義務感に感じるもの。「他者の価値観ポジティブ」に相当。
  2. 「憂さ晴らしのため」のエネルギー源: 別のストレスをごまかすための、憂さ晴らしや、気晴らしとして作るもの。「代償欲求ポジティブ」に相当。
  3. 「癒やしのため」のエネルギー源: 「苦しみに向き合うことで、自分の内面が癒やされてゆく」と実感できるもの。
  4. 「楽しみのため」のエネルギー源: 「新たな世界、イメージした世界や作品を実現できる」という喜びを実感できるもの。「自分の価値観ポジティブ」に相当。

 

では以下で、このエネルギー源の4タイプについて説明してみましょう。

 

(タイプ1)「評価されるため」のエネルギー源

最初が、「評価されたいから」で行うエネルギー源です。

これはもう、すぐに「衰退してゆくな」と分かるかと思います。

 

新人賞とかベストセラーを得てキラキラ輝いている人を見て、「自分もあんな風に優越感を得たい!」、「売れたい!」という動機で始める活動です。

だから「創作が好きかどうか」はさして関係なく、「優越感やお金がより得られるかどうか」が重要になります

 

ただ、創作活動は競争ではありませんからね。

「競争=決まった一つの価値観で比較すること」、「創作=新しい価値観でものを作り出すこと」だと言えます。

つまり、「競争」と「創作」は矛盾する概念だということです。

 

まぁ「なんちゃらコンクール」みたいに「競争的な創作」という自己矛盾した世界もあるものです。

ですがそういう比較は、「創作」ではなく「作業」と言えるでしょう。

それは「単調作業がうまくできる人の評価」でしかないと。

 

なのでこのエネルギー源は、「作業」では適用できるでしょうが、「創作」においては衰退しやすいエネルギー源だと言えます。

 

もちろん、全体の流れとして見ると、例外もあります。

例えば「最初は評価されるために始めたけど、次第に面白さを見つけてのめり込んで、自分に合うと分かった」という流れもあるでしょう。

また、ごく一部の人の場合、継続的に評価や優越感を得て、続けられることもあるでしょう。

ですがほとんどの場合で、この「評価されるため」というエネルギー源は長期創作では向かないので、使うのは短期に限って、長期ではやめる方がいいかと思います。

 

(タイプ2)「憂さ晴らしのため」のエネルギー源

2つめのエネルギー源が、「憂さ晴らしのため」で行うエネルギー源です。

 

これは、「常軌を逸して狂った創作家」というスタイルになりやすいでしょう。

だから抑圧を持つ限り永遠にエネルギー源は続きますが、続けるほど不健康になるように感じます。

 

例えば「狂ったように幼女の人形を作り続ける創作家」みたいな人がいますよね。

そういう人は、もっと別の場所に心理的な抑圧を持っていて、その憂さ晴らしとして「幼女の人形を作る」という活動をしているわけです。

 

例えば「若い頃に、初恋の人にフラれてしまった」という抑圧を持っていたとしましょう。

本来なら、それは「フラれてしまった。哀しい」で泣けば、心理的に解決することです。

 

ですがその時に、自尊心を粉々に打ち壊されるような、あまりにもひどいフラれ方をしてしまったとします。

ならばその「ひどい現実」を直視できない場合、その苦しい感情を胸の中に押し殺して、抑圧としてしまいます。

 

するとその過去をごまかすために、「自分にとって理想の、絶対に自分を裏切らない、純粋な美少女の幼女」を求めたりするものです。

そして現実にはいないので、自分で作り出すことになります。

 

つまりその創作は、こじれていると言えます。

本当は「自分にとって理想の幼女を作ったとしても、自分の内面を癒やしはしない。現実逃避をしているに過ぎない」という状態です。

なのに本人は、「幼女の人形を作って、それに触れることが、自分を満たしてくれる」と錯覚して、作り続けているんですから。

 

だから永遠にエネルギーは続きますが、これは続けるほど不健康になるエネルギー源です。

周囲から見ると「無限のエネルギー源でうらやましい」と感じるかもしれませんが、これは本人には「幸せではない」と言えます。

ある意味、「自分の価値観による創作」ではなく、「他者の価値観に抵抗するための創作」、「自分の本当の感情をごまかし続ける創作」という、自分を見失った創作だと言えます。

 

(タイプ3)「癒やしのため」のエネルギー源

3つめのエネルギー源が、「癒やしのため」で行うエネルギー源です。

これは作れば作るほど内面が癒やされてゆきますが、同時に創作への情熱も失ってゆきます。

これは特に、内面を見つめるようなストーリー作りで起きやすいでしょう。

 

なのでこのエネルギー源は、続けられるだけ続けて、自然とやめてゆくのでよいものです。

それは抑圧を解放するための手段で、抑圧を解放すれば役目を終えるものですからね。

 

すると、その活動から離れた後で、「自分の価値観」で本当にやりたいことが見つかるでしょう。

 

(タイプ4)「楽しみのため」のエネルギー源

最後が「楽しみのため」のエネルギー源です。

これは、自分の価値観で、楽しみのために行う活動です。

なので長期的に続くし、幸福感も十分に味わえるものになるでしょう。

 

特に創作活動は、「社会維持」というよりも、「境地開拓」という方向に向きやすいものです。

だからこういう「楽しみのための創作」というのは、「次々と新境地開拓をして、新たな表現や方法、新世界を見つける」もしくは「その新たなイメージを現実にする」という活動になりやすいでしょう。

 

なのでこういうスタイルの人は、場合によっては周囲から見ると「やっていることがころころ変わる」ということもありえます

それは、次々と新境地を見つけて挑戦できるからですね。

 

例えばピカソの場合、若い頃から成長してゆくにつれて、どんどん画風が変わって行きました。

それは「絵という同じことをやっている」ようにも見えますが、「画風をころころ変える」という変化を作っているとも言えます。

まぁ当然、広い視野から見れば「同じことをずっとやっている」という風に見えることもあります。

 

そうすることで「次々と新たな境地を楽しみ、自分を満たす」という、心地よい状態です。

なのでこういう状態は、ある種の創作モチベーションでも理想のように感じます。

 

まとめ

そんな風に、「評価されるため」、「憂さ晴らしのため」、「癒やしのため」、「楽しみのため」という4つのエネルギー源があると分かります。

この4タイプが分かると、自分がどのエネルギー源を用いているのかが分かるかと思います。

 

で、これが分かると、自然とやめるのでいいのか、続けるのでいいのかが分かるかと思います。

 

私の中では、「境地開拓が好きな人は、ころころ変わっていい」と思います。

自分ではころころ変えているように思っていても、周囲からは「いつものこの人の世界観だ」と喜ばれることも多いんですよね。

私が人間心理を語るのも、金融や社会を語るのも、ころころ変わっているように見えて、実は同じ「本質を語って目からウロコを楽しんでいる」とも言えますからね。

 

すると無駄なエネルギー源は手放せるし、自分に合うエネルギー源を見つけられて、楽しめるかもしれません。

 

ということで今日は、創作にも「評価されるため」、「憂さ晴らしのため」、「癒やしのため」、「楽しみのため」の4タイプがある、というお話でした。

今日はここまで~。

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