今日は、人生で1ミリも役に立たない、どうでもいいお話です(笑

「アキレスと亀のパラドックス」を、分かりやすく説明してみることにしましょう。

 

「アキレスと亀のパラドックス」のお話

アキレスと亀のパラドックス(ゼノンのパラドックス)って、聞いたことがある人も多いかと思います。

「パラドックス」というのは、一言で言うと「矛盾」のことです。

 

とりあえず簡単に内容を説明しておくと、これは足が速い象徴であるアキレスと、足が遅い象徴である亀の、矛盾を引き起こす考え方のお話です。

アキレスと亀が競争するんですが、ハンデとして亀はアキレスよりも少しゴールに近い場所からスタートすることになりました。

なら、アキレスが亀の場所に到達するまでに、亀は少しだけ前進しますよね。

で、その亀が前進した場所までアキレスが到達する間にも、さらに亀は少しだけ先に進むことになります。

これがずっと繰り返されるので、結果として「アキレスは永遠に亀を追い抜けない」という論理が成立してしまいます。

 

でも、現実では「それはおかしい」って分かりますよね。

アキレスは簡単に亀を追い抜けるんですから。

 

でも、なぜ矛盾になるのか、分かりやすく説明できない!

この問題の難しいところは、「なぜアキレスは亀を追い抜けないことが矛盾なのか」という、その矛盾点を説明しにくいことなんですよね。

実際、私がこの問題を知ったのはだいぶ昔なんですが、ずっと「なぜこの論理がおかしいのか」を説明できませんでした。

ウェブで調べてみても、ロジックはそうだとしても、実感として分かりにくいんですよね。

時間と回数の誤認だ」とか、「『アキレスが亀に追いつくまでは』という前提条件が抜けている」とか言われても、実感ではなんかよく分からないと。

 

私は「分かりにくいことを、分かりやすく説明する(シンプルにする)」というのが好きなので、こういうネタは大好きなんですよ(笑

で、ようやくこれを理屈で分かりやすく説明できるようになったので、今日はそのお話をしてみましょう。

 

部分から全体を予測すると、間違うこともある

この問題の本質は、「部分から全体を予想したこと」にあります

普通、結果を予想するには、そのものの全体をカバーできるだけの領域が必要になります。

例えば100メートル走で考えるなら、普通は少なくとも100メートル以上の世界を定義した上で考えますよね。

だって、途中で何が起こるか分からないんですから。

先行逃げ切り型もいれば、後発追い抜き型もいるわけで、それぞれの状態は変化します。

 

なのに、アキレスと亀の話は、100メートル走の結果を「10メートルの世界」だけを見て予想したわけです。

「100メートルも走らせる必要なんかないよ。10メートル走らせれば、結果は分かる」としてしまったと。

 

この予想が真として成立するには、「10メートルの世界がずっと続くこと」という条件が必要です。

でも、現実では「順位」という状態は変わります。

すなわち、「10メートルの世界の法則(アキレスは亀の後ろにいるという状態)」という前提は、壊れうるわけです。

だから、その予想は偽となって、矛盾が説明できます。

 

いや、もちろん結果は亀が勝つこともありえますよ。

「実は亀がターボエンジンを積んでいて、後半から超スピードでぶっちぎった」なんてこともありえるでしょう(笑

それも、「状態が変わりうる」ということが問題なわけです。

だから、「状態が変わりうる場合、100メートル走は、100メートルを走りきるまで分からない。10メートルの結果から予想しただけでは、100メートルの結果は予測できない」となって、「その説明は、結果が違うこともありうる」となります。

 

「サトル君は、ゴジラになる」というお話

似たような問題で、「サトル君は、ゴジラになる」というお話があります。(これは私の創作話です)

サトル君は、5歳から11歳までの間に、年平均で5%ほど身長が伸びました。

5歳で110cmだったのが、11歳で145cmにもなったわけですね。

だから、100年後には身長が145メートル近くにもなり、ゴジラと同じぐらいの脅威になってしまうと(笑

 

でも実際は、そうではありませんよね。

だって、身長の伸び率は止まっていくわけですから。

 

「あおり立てる不安」を冷静に見よう

こういう錯覚は、実は現実でもよくあります。

そして、「このままでは世の中はこうなってしまう!」とか不安をあおり立てる人がいますが、そういうものの中にこれがよく潜んでいます。

で、この原理が分かれば、冷静に考えられて、そんな不安や脅しに左右されなくなります

 

例えば情報爆発と呼ばれる現象があるんですが、これはインターネットが登場してから急激に情報量が増えたことを指します。

で、たまに変にスピリチュアルな人が、「このままではこの日までに情報量が無限大に爆発して、世の中に大革命が起こる」とか言っているわけです。

 

でも実際では、そんな「情報が無限大に爆発する」なんてことはありえません。

だって、世の中にあるハードディスクの容量は有限ですからね。

それに、情報量の上昇率も、次第に落ちていきます。

 

じゃあなぜそんな風に「情報が無限大に爆発する」なんて感じるのかというと、それが「状態変動を考慮せずに、小さい部分から大きい全体を予測しようとした」からです。

急激に増えた部分だけを抽出して、その上昇率が永遠に続くと思い込んでいると。

つまり、「このままでは、サトル君がゴジラになる!」と言って騒ぐのと同じです。

 

そうではなくて、100メートル走であれば、10メートルを元に考えるのではなくて、少なくとも100メートルという幅を考慮した上で、考えることです。

すると、冷静な判断ができるようになります。

気温の変動とか、気候の変動、環境の変化、絶滅量、人類の人口、貧困率、死亡率、そういうものに、これはよく紛れ込みやすいものです。

 

人生を120年で考えよう

これは、私たちの人生でも起こりえます。

私たちはよく、自分で自分の過去を抽出して、悲観してしまうことがあります。

その象徴が、「今までがこうだったから、これからもこうだ」とか、「この1年間で売り上げがこれだけ落ちた。このままだとこうなって、私は破滅する」というものです。

そして絶望して、「私の人生は終わった。二度と上向くことなどない」と思ってしまうんですが。

 

でもそれは、過去の10年間、もしくは1年間から、人生100年間を予測しようとしているのに過ぎません。

5歳の子が「今までひらがなしかできなかった。だからずっと僕は、ひらがなしかできないんだ」と言って、嘆いているようなものです。

私たちから見ると、「それは違うよ」と言いたくなりますよね。

実際は、どんどんと状態は変化していくんですから。

人生を考えるなら、少なくとも100年、私たちの世代なら120年は生きるとして考える必要があるわけです。

 

変化はちょっとしたことで起こる

なら、ちょっとしたことで、人生は変わると分かります。

私の知人はタバコをやめたかったんですが、何年かけてもずっとやめられなかったって言うんですよ。

普通なら、「何年もダメだったんだから、もう無理だ」と思いますよね。

 

でもその人は、ある時を境にすぱっとタバコをやめられました。

そのきっかけは何かというと、「欲しい車ができた」ということです。

マツダのRX-8という格好いいスポーツカーに心から惚れ込んで、来る日も来る日もパンフレットを眺めて、欲しくて欲しくてたまらなくなったわけです。

で、「これは、タバコを吸ってる場合じゃないぞ」と感じて、すると不思議とすぱっとやめられたと。

 

人生が変わるタイミングって、こういうものですよね。

あるとき不意に、「これすごい!」みたいに、何かにべた惚れすることがあったりするんですよ。

すると、その瞬間からがらりと変わったりするわけです。

今まで苦しいばかりだったとしても、そんな一つのきっかけで、毎日が色とりどりになることもあると。

 

まとめ

そういう風に、「アキレスと亀のパラドックス」は、私たちの日常で、結構いろんなところに潜んでいます。

「部分から全体を予測する」という場合、ついそれが続いてしまうと錯覚してしまうと。

 

でも、本当に全体をひっくるめて考えると、冷静になれます。

人生120年、人類500万年、生命40億年で考えると、多くの変化がちっぽけなものです。

すると、物事の本質が見えてきて、冷静な判断ができるんじゃないかと思います。

 

うーん、この理屈で分かりますかね。

分かりにくかったら、また別のアプローチを考えます(笑

 

なんか「1ミリも役に立たない」とか言いながら、つい話を展開してしまいましたが(笑

 

ということで、今日は「アキレスと亀のパラドックス」を、分かりやすく説明してみました。

今日はここまで~。

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