今日は、未来のお話です。
漫画業界の無料化傾向について、お話ししてみましょうか。
どんどん無料化されてゆく漫画業界
まあこれまで何度も触れたように、ゲームや漫画、本などは、どんどん無料に近づいていくものです。
音楽業界では既にこの変化が起きていて、昔はCDを買っていたのが、今ではYoutubeとかニコニコ動画で無料で視聴するのが当たり前になってますよね。
正確に言うと、「音楽そのものを目的としない音楽」、すなわち暇つぶしだったり、移動や休憩などの別目的がある時に聴くような音楽は、どんどん無料のものを求めるようになります。
一方で、「音楽そのものを目的とする音楽」、すなわちライブだとか音楽イベントとかカラオケだとかは、どんどんお金をかける傾向になっているものです。
カラオケでも、現在は「歌う」だけでなく、「歌って表現して聴いてもらう」みたいな部分にお金をかけるようになりました。
表現する側は、今はもうただカラオケボックスに行くだけじゃないんですよね。
動画の「歌ってみた」みたいに、お金を出してしっかりとしたマイクや環境を揃えたりして、こだわって表現してゆくようになったと。
そんな風に、「突き詰めた趣味」と「プロのアーティスト」の境界が、どんどん交わってきている、ということです。
もはや、プロのアーティストよりも上手いアマチュアの歌い手さんとか、山ほどいますよね。
それが、他の業界でもどんどん起こってきている、ということです。
で、私は最近Kindleで漫画を見始めたんですが、もうどんどん無料化されているんですよね。
たった1年半前までは、Kindle版は「第1巻の最初だけ、少しだけ長く読める無料版ですよ」みたいなスタンスで公開されていたんですよ。
でもそれがすぐに第1巻だけまるまる無料配布になって、今では期間限定でも、長い漫画なら3巻ぐらいまでは無料公開するのが当たり前になってますしね。
「期間限定なしで3巻まで無料」も普通に出てきてますし。
たった1~2年でこの変化ですからね。
おそらく近いうちに、シリーズタイトルをいくつも持っている漫画家から、「古いシリーズは期間限定で全巻無料」が出てくるでしょう。
その後は、「いつでも古い作品は全巻無料」に行き着くと。
次の波は、漫画業界に起こりそう
音楽業界は、既に音楽が「無料で当たり前」になりましたが、次にその波を食らうのは漫画業界のような気もします。
この無料化のページ数が増える速さは、ひょっとすると今、漫画家が連載するページ数よりも早いんじゃないか、とか思ってしまうほどなんですよね。
だから、数年後には「連載分は無料公開」、「少し古い漫画は全巻無料」が当たり前になっているかもしれません。
で、もう少し後になると、メジャー作品に限りますが、「新作コミックも基本無料」になるでしょう。
ならメジャー漫画家はどこで稼ぐようになるのかというと、特典とかグッズとかイベントとか展示会とか同人誌とか、その辺で収益を上げるようになるかなと思います。
ゲーム業界で言う、「基本プレイ無料」に近くなっていくかな、と。
そして、付加的な価値で利益を出してゆくかと思います。
音楽で言う、ライブとか音楽イベントと同じです。
CDが売れなくなった音楽業界ですが、逆にライブとか音楽イベントは毎年記録更新をするほどの盛況ぶりだって言うんですよ。
それぐらい、お金を稼げる場所が変わっている、ということですね。
CD売り上げだけに依存していたミュージシャンが消えていったように、原稿料だけに依存しているメジャー漫画家は、これから苦しくなっていくかと思います。
逆に、マイナーでニッチを攻める漫画家ほど、当分は安泰かなと思います。
ゲーム業界では、メジャーがごく一部の大手を除いて売れなくなった代わりに、インディーズが上がってきましたよね。
それと同じで、インディーズに近い、ニッチな人たちが、これから脚光を浴びていくことでしょう。
同時に、作品の売り上げだけでなく、いろんな場所から収益を上げることが求められるようになるかな、と思います。
まとめ
そんな感じで、漫画業界は予想以上のスピードで無料化が進んでいるので、私の中では注目している業界だったりします。
まあ、漫画家さんは、海外市場がありますからね。
まだまだチャンスは残ってます。
海外市場は可能性が大きいので、早めに動いた人ほどチャンスを得られることでしょう。
この時代の流れを見抜けて、早めに行動した人ほど、上手く波を乗り越えていけるんじゃないかな、と思います。
何度も言いますが、キーワードは「ファンの存在」ですね。
売り上げでもなく、発行部数でもなく、知名度でもなく、「ファンの存在が多い人」と「熱狂的なファンを増やせる人」ほど、これから上がっていくことでしょう。
そしてファンは、作品の質を高めればできるというものではない、ということですね。
逆を言うと、作品の質がなくても、ファンを作ることはできると。
Twitterでフォロワーを持っているだけでも、全然違ってゆくことになるでしょう。
他人軸ではなく、自分独自の世界観を与えて、ファンに喜んでもらっている人ほど、報われる時代になるかなと思います。
言い換えると、ようやく「嫌いなことをしなければ売れない時代」が終わりつつあると。
そしてついに、「本当に大好きなことをしなければ、勝てない時代」が訪れつつある、ということですね。
これがいい時代か悪い時代かというと、私はとてもいい時代になりつつあるんじゃないかと思ったりもします。
ということで、今日は漫画業界の未来についてお話ししてみました。
今日はここまで~。