今日はクリエイティブなお話です。
「合理的な発想っていいですよね」というお話です。
「スモールビジネスの方が好き」というタイプ
私はスモールビジネスが好きなんですよ。
制作でも、個人や少人数で作るのが好きで。
それは私の性格に起因するところが多くて、大人数を組織するとやっぱり疲れるんですよね(笑
私はゲーム制作監督時代に何十人という人を指揮して作っていたこともありますが、人数が多いと、やっぱりしんどいと。
このブログでも、そういう「大きなストレスは嫌なので、規模が小さくてもいいから、心地よく生きたい」という人は多いんじゃないかと思います。
「質素でも、規模が小さくていいから、好きな人や好みの合う人と一緒にやって、好きに心地よく生きたい」みたいな。
規模が小さいと、弱者になりやすい
そういう場合、規模が小さいと、やっぱり業界では弱者になりやすいわけです。
世の中では、大手がじゃんじゃん広告を売ったり、大規模生産かつ安売りで攻勢を仕掛けているものです。
すると個人とか少人数でやっている場合、大規模な広告とか価格、時にトータルクオリティでも太刀打ちしにくいことが多いと。
じゃあ、そういう場合にどうすればいいのか、ということです。
そこで、「合理的な考え方で工夫して、独自なものを作ってゆく」という戦略があります。
その実例として、今日は弱者が強者に対抗したという、ウイスキー業界の例を見てみましょう。
すると、「弱者は合理的な発想でも、戦いうる」と分かるかなと思います。
イギリスとアメリカのウイスキーの違い
お酒の種類にウイスキーがありますが、ウイスキーにも国ごとに違って、イギリスのウイスキーとか、アメリカ、カナダのウイスキーとかあるようで。
それで、イギリスのウイスキー(スコッチ)と、アメリカのウイスキー(バーボン)の違いが面白かったんですよ。
元々ウイスキーは、イギリスでの発祥でした。
だから、イギリスのウイスキーが伝統的な大手ポジションなわけです。
その後、ヨーロッパ全土が不景気になって、人々がどんどんアメリカに移民するようになって、アメリカでもウイスキーが作られるようになります。
でも、アメリカではイギリスのような材料が得られないわけです。
ウイスキーでは、樽に使う木とか、香り付けのための泥炭とか、小麦とか、いろいろ「これでなきゃ」という種類があるようで。
だから、イギリスと同じようには作れないし、美味しくできないと。
すなわち、アメリカはウイスキー作りにおいては、完全な弱者だったわけです。
こうして工夫をしていった
でもそこで、アメリカ人たちは、いろいろ工夫をしてゆきます。
「イギリスの木がなければ、アメリカの木とか、材料を使おう」として、手に入れやすい木とか、小麦ではなくてトウモロコシを多く使うようになったと。
そして、ウイスキーって樽で何年も寝かせることで、樽の香りをお酒に移すこともできるし、お酒もまろやかになるんですよね。
「12年もののウイスキー」とか、「50年もののウイスキー」とか、聞いたことある人もいるかもしれませんが。
すなわち、「長く寝かせたウイスキーほど、高級」という常識があったわけです。
でもそこでアメリカ人は、合理的な工夫で、それを乗り越えます。
香りについては、「要は樽の香りを移せばいいんだから、樽の中をバーナーの火であぶって焦がせば、香ばしい香りが早くつくやん」と思いつきます。
他にも、「炭でろ過すれば、何年も寝かさなくても、お酒がまろやかになるやん」と気づきます。
すると、イギリスのウイスキーだと12年ぐらい寝かせないといけないのが、アメリカのウイスキーだと6~8年寝かせるぐらいで、同じようなクオリティになっちゃったと。
だからアメリカのウイスキーは、年数が若くても美味しいものがあるし、イギリスのものよりもだいぶ値段が安いと。
それで、弱者だったアメリカのウイスキーは、一気に地位を確立した、という流れだったりします。
手元にあるもので、独自な良質なものを作る発想
こういう合理的な発想が、いいですよね。
イギリスのものは、イギリスのウイスキーブランドを守るために、「こういう製法でないと認めない」とがんじがらめに縛っているわけです。
言うなれば、伝統的に洗練してきた製法をずっと守り続けることで、クオリティを確保していたと。
でも、アメリカではそういう伝統的なものでは、戦えなかったと。
正規の材料も得られないし、環境も全然違って。
なら、自分の手元にふんだんにあるもので、工夫をして組み合わせて、全く新しいものを作っちゃったわけです。
すると、本家よりもよっぽど利益率が高いものができちゃったと。
全然違う楽しみ方がある
実際に私も両者を飲み比べたことがあるんですが、味も香りも全然違うんですよ。
もちろんウイスキーなんですが、かなりの別物で。
で、アメリカのウイスキーは、バニラとかキャラメルの香りがすると。
だから、コーラと混ぜると、なんかもうすっごい美味しいわけです。
普通、アメリカのウイスキー(バーボン)とか言うと、男性が飲むもののような響きがあるじゃないですか。
でも実際は、とても女性ウケしそうな甘い香りで、バニラとかキャラメルが合うようなものに添えると最高に素晴らしいと。
ほら、「バニラアイスにラム酒とかバーボンをかけて味わう」みたいな大人な食べ方もあると思うんですが、そういう感じです。
「自由に楽しんでもらう」というスタイルもある
ちなみにイギリスのウイスキーは、「こういうグラスで、こういう分量を入れて、こうやって飲むのがウイスキーの作法だ」みたいにがんじがらめなんですよ。
日本でも、抹茶みたいに「これがしきたりだ」みたいなものって、ありますよね。
それはそれで洗練された楽しみ方なんでしょうけど、自由が好きな人にとっては、「お酒とかお茶ぐらい、自由に楽しませてよ!」と言いたくなったりすると。
でも、アメリカのウイスキーはかなり自由だったりします。
「好きなように飲めばいいよ。グラスも好きに選んで、好きなジュースで割ってもいいし、アイスにかけてもいい。ホームパーティーだろうが書斎で飲もうが、好きに楽しんで」みたいなノリで。
試行錯誤が好きな人ほど、こういう「好きにしていいよ」というノリの方が、いろいろ試せて楽しめるようにも感じます。
だから、どんどん工夫ができるし、発展もすると。
まとめ
なので、個人とか少人数で何かをしたい場合、合理的に考えてみるのもいいかなと思います。
「要は美味しいお酒を作れればいいんだから、手に入りにくい高価なものを使うよりも、手元にある安くて簡単に手に入るものを使えばええやん」
「要は何かいい香りをお酒に移せばいいんだから、バーナーの火で炙れば、香ばしさっていう楽しみを味わえるやん」
「要はお酒をまろやかにできればいいんだから、長時間かけなくても、炭でろ過すればええやん」
そうやって原理を考えて、自分なりのスタイルを作っていくわけです。
もちろん、原型とは全く違うものになるので、最初こそイギリスからは「貧乏人が作る、みすぼらしいもの」みたいな評価を得たかもしれません。
でも、着実に美味しいものに仕上げていくと、利益率の高い、しかも短期間で美味しくできるものにできちゃったと。
そしてしっかりとした地位ができた、ということですね。
こういう流れを知ると、弱者がどう戦えばいいのかが分かりやすくなるかと思います。
大手と同じ戦い方をしたら、負けるだけなんですよね。
「大規模にしよう」なんてしなくても、自分の手元にあるものを使って、合理的に工夫をしてゆくことで、ファンを得られると。
こういう発想も、いいかなと思います。
ということで今日は、「合理的な発想っていいですよね」というお話をしてみました。
今日はここまで~。