今日は日記というか、雑記です。

目覚めない少女の寝息を聞きながら廃墟を進むゲーム「CORNEA」のストーリーを考えてみる、ということでお話ししてみましょう。

 

廃墟系ゲームコンセプト「CORNEA」のストーリーを考える

おとといの日記で、すてきな世界観のコンセプトアートがありましたよね。

↑これです。

 

で、今日は、この世界観から、実際にストーリーを考えてみましょうか。

 

ゲームには、いろいろ制約がある

ゲームって、音楽とか映像、システムの関係もあって、いろいろと制約があるんですよ。

そんな「できることと、できないこと」というしがらみの中から、最適解を見つけていくことになります。

なので人生でも応用できて、「自分の個性で、できること、できないことを含めて、能力を発揮してゆく」という具体的な考え方としても参考になるかと思います。

まぁ私は一応、ゲーム制作監督として独立した人なので、多少は参考になるかなと。

 

なら、実際に具体的な部分を語っていきましょうか。

例えばこういうゲームの場合、3Dで実現しますよね。

すると、3Dモデルでキャラを作る場合、キャラを1体作るだけでもだいぶコストがかかってしまうので、キャラ数をあまり増やしたくないと。

なので、できる限り少人数で、できれば「主人公+背負っているキャラ」の2人だけ、ぐらいで物語が進む方が、開発費としても楽になります。

 

それに、キャラも「服装を変える」とかするとコストがかかるので、服装は可能な限り変更させない必要があります。

ただし、汚れとか、血のエフェクトみたいなテクスチャ変更だけでできるものは、すぐにできるので可能です。

シナリオライター側は、その辺も考慮して物語を作る必要があるわけですね。

 

アクション系ゲームの場合、シンプルなストーリー構成がいい

で、こういうアクションを含むゲームの場合、イベントシーンは増やしたくないので、シンプルなストーリー構造の方が好まれます

イベントシーンを作るのって、結構なコストですからね。

それに、ゲーム中ではパズルなり戦闘なりのゲーム性を楽しみたいので、無駄にややこしい関係とか思惑は必要なくて。

すなわち、「この目的地へたどり着く」とか、「この敵を倒す」、「このアイテムを得る」みたいな、明快な目的を作って、それを階層的に組み合わればいいと。

 

なので、イベントシーンは「オープニング、エンディング、中盤の盛り上がり」の3つぐらいでいいかなと思います。

そのほかは、ゲーム中で短い会話として説明すればいいかなと。

 

イメージするなら、PlayStation用ゲーム「ICO」とか「ワンダと巨像」のようなスタイルですね。

知っている人もいるかもしれませんが、3Dマップの中で、戦闘やギミックを操作しつつ、目的地へと進んでゆく流れです。

 

ストーリーの大枠を作る

なら、まずはシンプルに、ストーリーの大枠を作ってみましょう

コンセプトアートから、必要な制約を抽出します。

ここでは「廃墟の中」、「高度に発達した未来的建築物」、「目覚めない少女を背負って歩く」、「主人公は義足」、「動物の登場はOKっぽい」という制約があるので、その辺を含めるように設定を作ります。

 

とりあえず、最終目的を決めます

ここでは、「目覚めない少女を、目覚めさせるために、目的地へと向かう」としましょうか。

ゲーム途中でヒントを得てもいいし、最初から目的地を決めてもいいでしょう。

 

なら、次のような骨組みにできるでしょう。

「廃墟となった世界で、主人公たちは目覚める。だけど、パートナー役の少女は、いつまで経っても目覚めない。

だから主人公は、少女を背負い、目覚めさせることができる場所へと向かうことになる。

そして敵を倒し、ギミックを解きつつ、目的地へとたどり着く。

最終的に少女を目覚めさせて、人類がまだわずかに生き残っていることも確認して、ハッピーエンド」

 

詳細な設定を作り込む

大まかな骨組みができれば、その骨組みを補強する設定を追加します

「なぜ人類が滅亡したのか」、「なぜ主人公たちだけが生き残ったのか」、「少女はどういうメカニズムで眠っていて、どういうメカニズムで起こせるのか」みたいに、その辺を仕上げていきます。

 

なら、ここではこういう設定を作りましょう。

「主人公と少女は、生まれながらにして自由を奪われた、生物科学研究所の人体実験モジュールだった。だから、様々な実験や改良テストを施され、人とは少し違う生命体になった。

何百年と生きることができるし、ゲーム内で必要な特殊能力(戦う力とか、情報を得る力、素養など)も持つ。

そんなとき、別の研究室で、驚異的な生物兵器もしくはウイルスが暴走して、人類は滅亡することになった。

だけど、主人公とパートナーの少女だけは特殊な生命体になっていたので、生き残ることができて、人類滅亡から100年後ぐらいに目覚めることになる。

ただし、パートナーの少女だけは、目覚めない事情を持つ」

 

後は、どんどん設定を突き詰めていきます。

ゲームで戦闘性を重視するなら生物兵器にして、ギミック性を重視するならウイルスがいいでしょう。

で、「ボスを倒せば、他の生物兵器も死ぬ」とか、「この装置を発動させれば、ウイルスは滅ぶ」みたいにすればいいと。

 

「なぜパートナー役の少女が目覚めないのか」という部分では、主人公と少女の過去を設定します。

ここでは、「人類滅亡前の人体実験中、病気の主人公をかばって、少女は主人公を助けるために、自分から願って、負荷のかかる実験を引き受けた。だからその反動で、目覚めなくなった」としましょう。

主人公は、そんな少女の優しさを、恩に感じていると。

なら、主人公が「背負ってでも歩き、少女を助けようとする」という動機にもつながります。

 

実際のストーリー

なら、クライマックスの盛り上がりも含めて、以下のように仕上げられるかと思います。

 

(オープニング)

主人公は、人類滅亡から100年ほど経過した、研究室のベッドで目が覚める。

この研究室だけは自前の発電プラントがあり、生命維持装置が生きていたため、主人公とパートナー役の少女の2人だけは、生きながらえることができた。

しかし、少女はいつまで待っても目覚めない。(50年ぐらい待つ、とかしてもいいかも)

 

そんなとき、研究所の崩落なり、電力を失うなりで、主人公たちは研究所にいられなくなる。

研究所の外は、人類が滅んだ廃墟の世界。

だから主人公は、眠り続ける少女を背負い、「少女を目覚めさせ、ふたりが幸せに生きられる場所」を求めて、廃墟の中をさまようことになる。

 

(ゲーム中)

戦闘なり、ギミックを解決しつつ、この世界の情報を得てゆく。

なぜこのような高度な技術を持ったのか、なぜ人類が滅んだのか、なぜ主人公たちだけが生き残ったのか、その辺を少しずつヒントアイテムなどで明かしてゆく。

同時に、他の研究所があるという情報を得て、なおかつそこには少女を目覚めさせる方法(薬とか装置)があると知り、そこに向かうことになる。

 

唯一の仲間として、死にかけの野良犬と出会い、治療してエサを与えると元気になり、なつかれる。

主人公は犬に「わんこ」とか適当な名前をつけて、かわいがる。

すると、犬も戦闘に参加したり、ギミック解決に協力してくれるようになる。

 

エンディングでの解決への伏線として、主人公は旅の日記を書くことにする。

また、その日記を通して、主人公と少女の過去を、少しずつプレイヤーに説明してゆく。

生まれた時から人体実験モジュールだったこと、少女が眠り続ける原因のこと、少女の深い優しさや、主人公との信頼関係など。

 

(ラスボスへの前振り)

主人公はラスボスの情報も得て、ラスボスを倒せば人類への脅威となった根源が消えると分かる。

一方でラスボスは、主人公たちの存在を知り、「主人公もしくは少女を食べることで、完全体になれる」と分かる。

なので、ラスボスは主人公たちを狙ってゆく。

主人公たちは、ラスボスから逃れるようにして、生き延びてゆく。

 

(中盤の盛り上がりイベント)

中ボス、もしくはギミックによる脅威で、主人公は危機的状況を向かえる。

そんな中、わんこが自分の命を呈して主人公を救う。

 

で、わんことの別れが中盤の盛り上がり場面。(廃墟という孤独の中なので、中盤の盛り上がりには、別れが効果的)

演出例としては、致命傷を負ったわんこが、急に主人公に吠えるようになり、拒絶する。

主人公は急に嫌われるようになり、さみしくわんこと別れる。

で、主人公と別れたわんこは、血を吐き、主人公のくれた毛布にくるまるなり、主人公との幸せな記憶を回想しつつ、しっぽを振り、幸せそうに死んでゆく。

わんこは「主人公を大好きだった。主人公を哀しませたくなかったから、そうした」と分かるように演出することで、わんこの優しさを描く。

 

(ラスボス戦)

主人公は目的となる研究所にたどり着き、少女を目覚めさせるために、必要な装置に少女を設置でき、装置を起動できる。

しかし、ラスボスが襲来することで、最後の戦闘になる。

ちなみにラスボスが人類を滅亡させたり、街を破壊し尽くせるほど強い相手なら、主人公は何か特殊アイテムを使って大ダメージを与えて、対等に戦えるようにする。

 

(エンディング)

主人公はラスボスを倒すが、ラスボスの「滅びの前の、最後の一撃」を食らってしまい、致命傷を負う。

そしてもう少しで目覚める少女の横で、「起きたら一緒にこうしよう。一緒にこう楽しもう」と幸せな夢を描きつつ、目を閉じ、意識を失う。(死んだように見せる)

主人公が目を閉じ眠ったすぐ後に、少女が目覚めて、起き上がる。(ロミオとジュリエットみたいな演出)

それで、死んだ主人公の、幸せそうなほほえみを写しつつ、エンディングロールへ。

 

(エンディングロール後)

主人公が目を覚ますと、春の陽気に照らされた病室だと分かる。

病室の外からは、子供たちの笑い声も聞こえる。

 

枕元には、自分の日記と、新たな日記がある。

その日記を読むと、あれから500年経過していること、そして少女は主人公を目覚めさせるために、500年ほど主人公を背負い、歩き続けたことを知る。(主人公を救うために、主人公の100倍ぐらい苦しんだ、みたいなことが分かるといいかも)

そしてついに主人公を救える装置を見つけて、残った人類の協力を得て修復し、目覚めるのを待ち始めたこと。

 

ふと見ると、ベッドのすぐ下に、少女が眠っている。

そして少女が目を覚ますと、主人公の目覚めを知る。

で、「君が目を覚ますのを、待っていたんだ」、「待ったのは、私の方だよ」みたいに言って、ふたりは抱きしめ合って喜んで、ハッピーエンド。

(もし永遠に生きることへの懸念があるなら、主人公と少女の生命維持装置が残り100年ぐらいしかない、という寿命を設定してもいいかも)

 

まとめ

こんな風に、シンプルにストーリー構成ができると分かります。

これなら、分かりやすいし、キャラも少なく、実現しやすいかなと思います。

いやまぁ、「エンディングロール後のふたりの服装はどうすんねん」とかツッコミを入れられると、困るんですが(笑

 

とはいえ、「作るなら、おそらく開発費用の80~90%は、ビジュアル作りに配分されるだろうな」と予想したりもします。

まぁ、ゲームの制作費用なんて、やっぱりそうなるものですよね。

特に、今回のように廃墟的なコンセプトの場合、いろいろマップとか風景作りが大変そうだな、と思ったりもします。

 

でもまぁ、こういう企画を考えるのは面白いですよね。

作るのは大変ですが、妄想するのは簡単ですからね!(笑

 

ということで今日は、目覚めない少女の寝息を聞きながら廃墟を進むゲーム「CORNEA」のストーリーを考えてみる、ということでお話ししてみました。

今日はここまで~。

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