今日は、ビジネスのお話をしてみましょう。
「今まで無料で提供していたものを、どのようにして有料化してゆくのか」という内容です。
無料で提供しているものを、どうやって有料化していくのか
こういう質問を受けたので、ご紹介。
商品の作り方についてあやえもさんの本やブログを読んで思ったのですが、
改めて有料用の商品を作るのではなく、すでに無料で公開していて
みんなに喜ばれているものを有料にすればいいのでしょうか?
私の本の「大好きなことでお金を稼いで、独立する方法」でも、「まずはどんどん無料で分かち合いましょう。で、ファンができたり人気が高まってから有料化するといいよ」と説明してますよね。
で、実際にある程度のファンもできて、アクセス数も確保できたと。
なら、どうすれば自然と有料化できるのか、という部分で悩んでいる人も多いかと思います。
実際に私が知っている制作監督さんでも、もう十分すぎるほど高いクオリティのゲームを作っていて、ファンも多くいるのに、フリーから有料化を決断しきれずにいる人がいましたからね。
この結論から言うと、「新たにできるようになった部分を元に、改良版を作って、有料化すればいい」ということをおすすめします。
もしまだファンができていない場合、「今の実力で出せるものは、全て無料で出しちゃいましょう。で、『未来の自分』ができるようになった領域で改良版を作って、有料化すればいい」ということになります。
この「時間差」を考えるのがコツですかね。
「プレミアム化」で有料化する
言うなれば、「プレミアム版」みたいなものを作って、そこで売ればいい、ということです。
無料で提供していたそのものを何の変化もなしに有料化すると、お客は「価値を奪われた」と感じるので、あまりおすすめしません。
例えば昔、「ペイントツールSAI」というペイントソフトがあったんですよ。
ペンタブレットですごくスムーズに線を描けるというので、有名になったソフトなんですが。
これは最初フリーで公開していたのをそのまま有料化したんですが、これがもう大逆風を生んで、開発掲示板でも荒れたんですよ。
というのも、いいソフトだったからこそ、お客は「今まで無料だったものが、使えなくなる。そんなのひどい!」と感じて、抵抗したわけですね。
なので、「無料で配っているそのもの」を有料化するのではなくて、「ちょっと新たに追加した改良版」を有料で提供するといいでしょう。
そして、しばらくは両者を平行して走らせて、時期を見て無料版の提供をストップしてゆくと。
もし既にファンがいると分かっていて、すぐにでもお金にしたい場合、「無料体験版」もしくは「無料お試し期間」みたいなものを作るといいでしょう。
それで、期間や回数を制限するわけですね。
ゲームなら「メインの1キャラのみ攻略可能」にしたり、サービスなら「カウンセリング5回無料券進呈中」みたいにしたり。
すると、ファンがいると分かっていれば、すぐにでもお金に換えていくことができます。
そして、無料部分を少しずつ減らしていくと。
早くお金にしたいほど、まずは無料で出す方がいい
ただ、ファンがいなくて「早くまとまったお金が欲しい」という場合ほど、どんどん無料で提供する方が早いと思います。
すなわち、「最初からお金は取らない方が、早くまとまったお金になる」ということですね。
普通、「早くお金が欲しい」という場合、すぐにお金を取り始める方を選びがちです。
でもそういう目先のお金を得ると、結果としてまとまったお金が入ってくるのは遅くなります。
重要なのは、目先のお金よりも、ファンの存在です。
なので、これはある意味、「お金をどこに投資するのか」という考え方になるかと思います。
「どんどん無料で提供する」というのは、「得られるはずだった目先のお金を、自分のビジネスに再投資する」ことを意味します。
言うなれば、「得られるはずだった目先のお金」というのは、ファンを作るための広告費みたいなものです。
宣伝や広告にもなりますし、ファンからのフィードバックも得られて、モチベーションも上がって、ビジネスの初期段階をうまく回していく原動力になります。
でも、その「目先のお金」を取って浪費してしまうと、ビジネスへの投資額が実質減るわけですね。
だからビジネスがなかなか成長せずに、いいものを提供していたとしても、いつまで経ってもファンができずにいることになりがちです。
もしその「目先のお金」を取ったとしても、初期の段階では全てビジネスに再投資することをおすすめします。
そして、ある程度の利益を上げられるようになって初めて、自分のために回す率を上げてゆくとよいでしょう。
まずは、全てを無料で出し切るのでいい
で、ファンがいない状態の場合、とりあえず全部無料で出してみるといいかと思います。
こういうことを言うと、「自分が知っている全部を無料で出しちゃうと、お金を受け取れる部分がなくなる」って思いますよね。
例えば、自分が持っているノウハウを全て出してしまうと、お金を受け取る部分のノウハウが残らなくなると。
でも、それでいいんですよ。
というのも、好きなことをしていれば、未来の自分は、もっと深いノウハウを得ているからです。
それを元に、有料化すればいいわけです。
そういう「未来の自分」を信じることですね。
例えば私の場合、写真加工技術は、もう全知識とノウハウを無料で公開しました。
全てを出し切ったので、その時点でお金にできるノウハウなんか残っていません。
で、満足して他の3Dゲーム制作をしていたんですが、その3Dキャラや背景の質感を作っていたら、「あれ? この3Dの色彩構成技術って、写真加工技術に応用できるぞ」っていうのに気づいたんですよ。
3Dという全く異質のものから、写真加工技術のヒントを得られたと。
それを元に有料版を作ってリリースして、お金を得るようになった……みたいな流れですね。
既にその写真加工技術はそれなりに広まっていたので、口コミで広がって、有料版のリリースから1ヶ月後ぐらいにブレイクして売れました。
作家向け教材でも同じで、私はその時々で全て出し切ります。
でも、好きで研究していれば、しばらくすると新たな理論ができるんですよ。
本でも同じで、私はこのブログで全てを出し切ります。
しばらくすると、新たに気づくことが出てくるので、それをまとめて有料化すると。
言うなれば、「好きなこと」というのは筋肉と同じです。
出し切ると一時的に何も出せなくなりますが、少し時間が経てば復活して、新たな次元の力を発揮できるようになります。
出し切ることで、成長する、ということですね。
その「成長した自分」が新たにできるようになった部分を元に、有料化してゆけばいいでしょう。
まとめ
そんな風に、有料化したい場合、「プレミアム版」を作って移行してゆくといいでしょう。
もしまだファンができていない場合、「まずは全てを無料で出し切って、『未来の自分』が新たにできるようになった部分を元に、有料化すればいい」ということですね。
重要なので繰り返しますが、大切なのは「ファンの存在」です。
とにかくファンを最優先で確保することですね。
ファンさえいれば、何を出したとしても売れます。
そしてファンの存在が、定期的な売り上げになって、安心と安全を生んでくれます。
ファンのいない売り上げは、砂上の楼閣です。
売り上げを追うのではなくて、ファンを大切にする、ってことですね。
そう考えると、自然と有料化に移行できるかと思います。
ということで、今日は「今まで無料で提供していたものを、どのようにして有料化してゆくのか」というお話をしてみました。
今日はここまで~。